総合化学メーカーの三井化学は、5月23日から5月25日、神奈川県のパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」に出展。様々な自社製品等を展示する中、特に注目を浴びていた素材のひとつが「形状記憶シート(開発品)」だ。
同社のグループ企業である三井化学東セロが開発したこのシートは、温度依存性があり、温度によって性質が変化するポリオレフィン系樹脂の新素材だ。
持ち上げると自重で変形するほどしなやかなこのシートは、ガラス転移点が28℃。そのため、体温程度の温かさで柔軟性が増し、冷やすと硬くなる特徴を持つ。
実際に、シート両端を指でつまみ伸ばしてみると、かなりの長さに伸ばすことができた。また、雑巾のように絞ったり、丸めたりしても、その形状を一定時間保持するのだ。
しかも、このシートは、冷えると元の形状にフェルトのように緩やかに戻る。この性質が「形状記憶シート」と呼ばれる所以だ。
さらに、印刷にも対応。展示ブースには、黒や黄色、花柄などの色とりどりのシートも展示。
また、メッシュタイプに加工することもできるため、通気性が必要な製品に使用することもできる。
他にも、真空成型にも対応する他、一般的な天然素材(革、麻、ウール、綿など)や人工素材(ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、塩化ビニル、PMMAなど)で作られた生地やシートと貼り合わせたり、縫い合わせることも可能だ。
では、このシートを使うとどんな製品ができるのか? ブースでは、製品化の例として、自動車用シートの緩衝材を展示していた。
同社によると、低反発ウレタンとこのシートを組み合わせた緩衝材を使うことで、
「座る人それぞれの体型にフィットする形状にシートが変形し、体圧分散性も向上するので、より快適なシートを作ることができる」
という。
ブースには、他にも鞄や靴のインナーソール、ジョッキなど、様々な使用例を展示。
同社では、現在、このシートを使った製品のアイデアを募集中だ。また、開発や生産、販売等の事業を他企業と協業することも念頭においている。
【参考動画】
形状記憶シート【sms-01】曲がる・折れる・伸びる・戻る・和らげる 三井化学東セロが開発した新素材・新材料(三井化学東セロ オフィシャルチャンネルより)