三菱自動車工業が11月6日発表した2020年3月期第2四半期(4~9月)連結決算は、営業利益が前年同期比82%減となるなど減収減益となった。米国や中国をはじめ、グローバルの販売台数が落ち込んだことや円高が響いた。下期も厳しい環境を見込み、通期予想を下方修正した。本社で決算発表会見した加藤隆雄CEO(最高経営責任者)は「合理化を一段と加速する」と述べ、来年度にかけて間接人員の削減に踏み切る考えを明らかにした。(佃モビリティ総研・松下 次男)
減収減益で、営業利益は82%減
20年3月期連結決算の通期見通しは売上高が2兆4500億円(前年比2・6%減)、営業利益300億円(同73・2%減)、当期純利益50億円(同96・2%減)予想に修正。期初の見通しから売上高で1300億円引き下げ、営業利益、当期純利益をそれぞれ600億円ずつ引き下げた。
20年3月期第2四半期の累計連結業績は売上高が1兆1280億円で前年同期比3・5%減、営業利益が102億円、当期純利益が26億円で同95%減となった。上期の新車販売台数は59万2千台で同2%減の実績。北米、中国、オーストラリア、ASEAN(東南アジア諸国連合)などで前年を割り込んだ。
これら販売台数減に伴う台数・車種構成で109億円悪化したことや為替で222億円の減損、それに研究開発費、間接員をはじめとした労務費の負担増が重なり、上期、大幅な営業減益となった。
下期も米中貿易摩擦などに伴いグローバルの市場環境は良くないと判断。とくに中国、米国、オーストラリアなどはさらに悪化すると予想し、通期の販売台数(小売台数)計画についても前回見通しから3万1千台引き下げ、127万4千台(前年比2%増)へと下方修正した。
通期予想を下方修正、間接人員削減へ
地域別みると、同社の主力市場であるASEANでは新型モデルを投入するなど商品力を強化するとともに、販売網の拡充に取り組み通期33万3千台(前期31万8千台)の販売を目指す。上期もインドネシアで苦戦したものの、主力工場のあるタイで堅調だったほか、ベトナムなどでは伸長した。
日本については、新型軽自動車のekクロス/ワゴンの拡販や年末に東京モーターショーにも出展した次期スーパーハイト軽ワゴンを投入し、前年越えを目指す。北米では、市場が成熟していることもあり、台数増は厳しいものの、在庫の健全化や販売改善に取り組み、収益向上を図っていく考えだ。
加藤CEOは自動車を取り巻く環境について「世界の自動車市場の落ち込みは想定以上だ」とし、「もう一段、踏み込んだ改革に取り組んでいく」と強調。とくに三菱自動車は固定費が膨らんでいることを問題点に掲げ、「聖域なく、コスト改善を進める」方針を示した。
具体的には、間接人員削減やモデルの絞り込みなどに着手する。間接人員削減については、今年度中に方向を決め、来年度実施する方針を表明した。モデル絞り込みについては、地域の特性に合わせて検討を進めていく考えで、来年度スタートさせる新中期経営計画に盛り込む。ただし、生産態勢については一昨年、昨年と着実に販売が伸びてきており、撤退・縮小はしない方針だ。