NEXT MOBILITY

MENU

2019年11月6日【アフター市場】

三菱自動車、2020年3月期第2四半期連結決算

松下次男

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

 三菱自動車工業が11月6日発表した2020年3月期第2四半期(4~9月)連結決算は、営業利益が前年同期比82%減となるなど減収減益となった。米国や中国をはじめ、グローバルの販売台数が落ち込んだことや円高が響いた。下期も厳しい環境を見込み、通期予想を下方修正した。本社で決算発表会見した加藤隆雄CEO(最高経営責任者)は「合理化を一段と加速する」と述べ、来年度にかけて間接人員の削減に踏み切る考えを明らかにした。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

 

減収減益で、営業利益は82%減

 

 20年3月期連結決算の通期見通しは売上高が2兆4500億円(前年比2・6%減)、営業利益300億円(同73・2%減)、当期純利益50億円(同96・2%減)予想に修正。期初の見通しから売上高で1300億円引き下げ、営業利益、当期純利益をそれぞれ600億円ずつ引き下げた。

 

 20年3月期第2四半期の累計連結業績は売上高が1兆1280億円で前年同期比3・5%減、営業利益が102億円、当期純利益が26億円で同95%減となった。上期の新車販売台数は59万2千台で同2%減の実績。北米、中国、オーストラリア、ASEAN(東南アジア諸国連合)などで前年を割り込んだ。

 

 これら販売台数減に伴う台数・車種構成で109億円悪化したことや為替で222億円の減損、それに研究開発費、間接員をはじめとした労務費の負担増が重なり、上期、大幅な営業減益となった。

 

 下期も米中貿易摩擦などに伴いグローバルの市場環境は良くないと判断。とくに中国、米国、オーストラリアなどはさらに悪化すると予想し、通期の販売台数(小売台数)計画についても前回見通しから3万1千台引き下げ、127万4千台(前年比2%増)へと下方修正した。

 

 

通期予想を下方修正、間接人員削減へ

 

 地域別みると、同社の主力市場であるASEANでは新型モデルを投入するなど商品力を強化するとともに、販売網の拡充に取り組み通期33万3千台(前期31万8千台)の販売を目指す。上期もインドネシアで苦戦したものの、主力工場のあるタイで堅調だったほか、ベトナムなどでは伸長した。

 

 日本については、新型軽自動車のekクロス/ワゴンの拡販や年末に東京モーターショーにも出展した次期スーパーハイト軽ワゴンを投入し、前年越えを目指す。北米では、市場が成熟していることもあり、台数増は厳しいものの、在庫の健全化や販売改善に取り組み、収益向上を図っていく考えだ。

 

 加藤CEOは自動車を取り巻く環境について「世界の自動車市場の落ち込みは想定以上だ」とし、「もう一段、踏み込んだ改革に取り組んでいく」と強調。とくに三菱自動車は固定費が膨らんでいることを問題点に掲げ、「聖域なく、コスト改善を進める」方針を示した。

 

 具体的には、間接人員削減やモデルの絞り込みなどに着手する。間接人員削減については、今年度中に方向を決め、来年度実施する方針を表明した。モデル絞り込みについては、地域の特性に合わせて検討を進めていく考えで、来年度スタートさせる新中期経営計画に盛り込む。ただし、生産態勢については一昨年、昨年と着実に販売が伸びてきており、撤退・縮小はしない方針だ。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。