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2024年2月1日【新型車】

三菱自動車、タイで2台のクロスオーバーHEVを販売

坂上 賢治

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エクスパンダーHEVモデル

 

クロスオーバーMPVエクスパンダーとエクスパンダー クロスのHEVモデル

 

三菱自動車工業は2月1、クロスオーバーMPVの「エクスパンダー」と「エクスパンダー クロス」にハイブリッドEV(HEV)モデルを新設定。タイ・バンコクで初披露し、同国での販売を開始した。なお同車は、タイ生産・販売会社のミツビシ・モーターズ・タイランドのレムチャバン工場で生産される。

 

エクスパンダーは、居住性と多用途性を提案するクロスオーバーMPV。2017年にインドネシアで発売した後、アセアン、中南米、中東などへ展開を拡大。2019年には最上位モデルの「エクスパンダー クロス」を追加した。

 

これらエクスパンダーシリーズの2022年度のグローバル販売台数は、トライトン、アウトランダーに続く3番目の13万台以上となり、三菱自動車の世界戦略車として役割を担っている。

 

エクスパンダー クロスHEVモデル

 

今回追加するHEVモデルでは、三菱自動車が得意とする電動化技術と四輪制御技術を融合することで、エクスパンダーシリーズの魅力をいっそう高めたという。

 

そもそも同社にとっては技術的に、プラグインハイブリッドEV(PHEV)から派生させたHEVシステムであるため、車種展開が容易であること。更に市場の成長に合わせてHEVモデルの製造・販売環境を育むための先兵役ともいえるもの。

 

機構的にはFF方式の2WDをベースに、アクティブヨーコントロールを始めとした独自の四輪制御技術も組み込み、悪天候のみならず、様々な路面状況に応じた最適な走りが提供できるのも強みのひととなっている。

 

またHEVでありながらも、任意でEV走行も選択できる仕様のため、早朝の閑静な住宅街でエンジン音が気になる時など、シチュエーションに応じた走りも可能としている。

 

今発表の主な商品特長は以下の3点となる

(1)PHEV派生のHEVシステムで環境に優しく力強いモータードライブ
(2)積極的なEV走行、悪路での安全・安心を保証する7ドライブモード
(3)家族や仲間が快適な室内空間と特別感を演出する専用エクステリア

 

上記を踏まえた商品概要(タイ仕様)
(1)PHEV派生のHEVシステムで環境に優しく力強いモータードライブ

新開発のHEVシステムは、EVモード、ハイブリッドモード、回生モードの3構成。走行状況や駆動用バッテリー残量に応じてシステムが自動で最適な走行モードを選択し低燃費を実現。力強く気持ちのよいモータードライブも実現している。

 

発進時や低速域では、駆動用バッテリーからの電力でモーター駆動するEVモードによって、電気の力だけで走行できる(図1)。登坂時や加速時は、エンジンを発電用として動かして駆動用バッテリーの電力と合わせてモーターで走行できる(図2)。高速域では、エンジンの動力で走行してモーターがアシストするハイブリッドモードに切り替わる(図3)。

 

 

ハイブリッド走行時にはエンジンがシームレスに始動するためモーター駆動を組み合わせた滑らかな出力特性が愉しめる。一方で回生モードで減速エネルギーを回収して駆動用バッテリーへ蓄電する(図4)。

 

パワーユニットは、1.6Lガソリンエンジン+ジェネレーター+最高出力85kWのモーターを組み合わせた。ガソリンエンジンは新開発の1.6L DOHC 16バルブMIVECで、高膨張比サイクル(アトキンソンサイクル)化することで燃焼効率を向上させると共に、三菱自車として初搭載の電動ウォーターポンプを採用したことで機械損失も低減させている。

 

 

これにより、ガソリンエンジンのCVTモデルと比べてエンジン単体燃費を約10%改善。NEDCモードで市街地走行の燃費は約34%、市街地走行と高速走行を組み合わせた燃費は約15%の低燃費化を実現したとしている。

 

(2)積極的なEV走行、悪路での安全・安心を保証する7ドライブモード

新開発の7ドライブモードでは、EV走行のための2つのモードと路面状況に応じて最適な走行制御を行う5つのモードが設定された。

 

まずEV走行のための2つのドライブモードでは、ドライバーがシチュエーションに応じて積極的にEV走行を選択することができる。エンジンを始動させることなく、駆動用バッテリーからの電力でモーター駆動する「EVプライオリティ」は、静粛性が高く早朝の閑静な住宅街などでも周囲に気兼ねなく走行できる。

 

 

また駆動用バッテリーの残量が少なくなっても、「チャージ」に切り替えれば、バッテリーに充電することができ、再びEV走行を楽しむことができる。

 

路面状況に応じて使う5つのドライブモードは、日常走行でのバランスが取れた「ノーマル」、ワインディングロードなどでキビキビとした走りとハンドリングを実現する「ターマック」、未舗装路で滑りやすさを抑えて安心感のある操縦性を発揮する「グラベル」、ぬかるんだ悪路でも力強い走破性を発揮する「マッド」、大雨などでもタイヤのスリップを抑えて高い安定性を発揮する「ウェット」。

 

 

この5つのモードを、FF方式の2WDをベースとしながら前輪左右の制動力を制御するアクティブヨーコントロール、前輪のスリップを検知し駆動力を制御するトラクションコントロール。加速時のモーターやエンジン出力を調整するアクセルレスポンス制御、速度域や路面状況に応じてステアリングの手ごたえを調整するステアリング制御などを統合制御して様々な路面状況に対応することを可能にした。

 

インテリアでは8インチカラー液晶メーターを採用し、スクリーンを広く使ってコンテンツを表示させることで使い易さを向上させた。

 

 

例えばアクセル操作に連動して「エコ」「パワー」「チャージ」状態を示すパワーメーターや、エネルギーフロー、EV走行比率、バッテリー残量など、HEVならではの情報が表示される。

 

またドライブモード切り替え時には、ディスプレイ中央に選択したモードのグラフィックを表示させることで、運転中でも直感的にドライブモードを選び易いよう配慮した。なお画面は、好みに合わせて先進的なエンハンスモードと、アナログメーターを模したクラシックモードを選択することができる。

 

(3)家族や仲間が快適な室内空間と特別感を演出する専用エクステリア

EV走行を優先させたHEVシステムによって、力強く静かなモータードライブを楽しむことができる。またボディの要所に吸音材や防音材を追加することで、EV走行時だけでなく加速時や高速走行時などでエンジンが始動した時でもストレスなく会話を楽しめるよう配慮した。

 

なおHEVシステムを搭載するにあたって、駆動用バッテリーを前席フロア下に配置することで、エクスパンダーシリーズならではの取り回しし易いボディサイズのままで、3列7名乗車に十分な居住空間を確保した。

 

 

更にエンジンルームやバッテリー周りの床材を変更し、バッテリー保護のためにフロントサイドメンバーとフロントクロスメンバーで囲うことで、ボディ全体の剛性が向上。サスペンションにも専用チューニングを施すことで優れた操縦安定性と良好な乗り心地を実現した。

 

最後となったエクステリア面では、「HEV」バッジをフロントグリルとテールゲートに。「HYBRID EV」バッジをフロントドアにあしらうと共にフロント下部、サイドガーニッシュ、リヤバンパー、ホイールにブルーのアクセントカラーを追加。

 

ボディカラーは、硬質で高輝度かつ鮮明なカラーリングによって電動車らしいクリーンなイメージを与えるホワイトダイヤモンドを新たに設定。ブレードシルバーメタリック、グラファイトグレーメタリック、ジェットブラックマイカに加え、エクスパンダー クロスHEVモデルでは、グリーンブロンズメタリックも設定した。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。