三菱自動車は1月31日、東京・田町の本社で2020年3月期第3四半期連結決算(2019年4~12月累計)を発表した。売上高は世界的な新車販売台数の減少を受け、前年同期比7.1%減の1兆6669億1400万円となった。(佃モビリティ総研・間宮 潔)
営業利益は販売台数減や車種構成の変化、加えてユーロ安など為替の影響を受け、同95.7%減の36億3400万円となった。営業利益率でみると、前期の4.7%から0.2%に大幅に後退した。この「減収減益」をうけ、当期純利益は117億6000万円の赤字となった。
850億円あった営業利益がわずか36億円規模に圧縮した理由は3つある。中国や北米を中心にした台数減・車種構成の変動により、187億円が下振れした。また対ユーロ・対バーツにおける円高影響額が349億円、さらに「研究開発費/間接員労務費/規制対応・品質関連等」で368億円のコスト増があった。
これに対し企業努力で販売費や工場経費の圧縮(100億円)に努めたが、カバーしきれなかった。ただ通期の業績予想では、中間決算期で公表した数値(当期純利益50億円の黒字)に据え置き、修正を見送った。
池谷光司代表執行役副社長CFOは中国で猛威を振るっている新型コロナウイルスについて、「武漢への出張中止など適切に対応する」とともに部品調達面でも「臨機応変に対応する」と指摘、ただし業績への影響については言及しなかった。
また1月21日にドイツのフランクフルト検察がディーゼルエンジン車両(プジョー・シトロエン製)の規制値不正で現地・研究開発拠点や販売拠点を立ち入り調査したことへのコメントは避け、30日同社が発表した正式見解(不正があったと考えるべき理由はありません)にとどめた。
同社の業績は、第4四半期に比重が高く、昨年11月に投入した新型エクスパンダ―クロスや新装のアトラージュ/ミラージュ、近く投入するeKスペース/eKクロススペースを追い風にして年度末の増販に期待。また昨年来、実施してきた流通段階での車両在庫は「3カ月の適正レベル」に抑え、新モデル投入の環境を整えつつある。
構造的な固定費にも引き続きメスを入れ、限られた経営資源を同社が「得意とする技術、強い地域に有効に使い、収益力を高める」とし、日産自動車とラアライアンスを強化する。近く持続的成長に向けた新たなプランを示す。
新車販売は世界的に鈍化しはじめているが、三菱車の2019年度販売見通し(小売り)は前年度比2%増の127万4000台と年度後半での新型モデル投入に期待を寄せる。
主力のアセアンでは同4.7%増の33万3000台、中国では同6.8%増の17万3000台、欧州では同0.8%増の23万8000台、北米では同0.8%増の17万4000台、日本では同9.5%増の11万5000台、豪州・NZその他市場では唯一マイナスを見込んで、同4.6%減の24万1000台としている。