2019年3月期連結決算および2019年度業績予想、2019年度は、先進領域にも注力。これに合わせ、経営方針を修正。減益予想へ
三菱自動車が5月9日発表した2019年3月期連結決算は主力のASEAN(東南アジア諸国連合)や豪州・ニュージーランド、それに日本など地域で販売台数を伸ばしたことから2期連続で増収増益を達成した。
半面で、2020 年3月期の業績予想は世界経済の不透明感などから一転、増収減益を見込む。東京都内の本社で会見した益子修会長兼CEO(最高経営責任者)は「V字回復軌道は実現しつつある」としながらも、2020年度から次期中期計画策定に向け、新たな領域への開発投資を積極化するなど経営戦略の「思い切った修正が必要。2019年度はこのための助走期間したい」と述べた。
2019年3月期連結決算は売上高が2兆5146億円で前期比15%増、営業利益が1118億円で同14%増、当期純利益が1329億円で同24%増となった。グローバルの販売台数は124万4千台で同13%増。ASEAN・豪州・ニュージーランドの主力地域で同14%増となったほか、回復地域とする日本でも同7%増を達成した。
副社長執行役員(財務・経理担当)CFO、池谷光司氏
2020年3月期は売上高2兆5800億円、営業利益900億円、当期純利益650億円の見通し。グローバルの販売台数は130万5千台を計画。ASEAN・豪州・ニュージーランドで4%増を予想するほか、期後半に新型軽ハイトワゴンを投入する日本で26%増を見込んでいる。
2019年度の減益予想は、為替の影響やCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に対応した開発費用の増加による経費負担増などを見込んでいるため。益子会長は2019年度の見通しについて、米中貿易問題やブレクジット(英国のEU離脱)など「結論の出ない問題が多く、なかなか計画を立てづらい。一方で、将来に向けた投資も必要」との認識を示した。
(最高執行責任者)COO、アシュワニ グプタ氏
ルノー、日産自動車、三菱自の3社のアライアンスについては「アライアンスは必要。(経営統合の話し合いは)全く聞いていない。しかし、無理を押し付けてもうまくいかない」と述べ、経営統合については否定的な見解を示した。
なお、三菱自は同日の取締役会で「監査役会設置会社」から「指名委員会等設置会社」へ移行することを決議した。6月下旬に開催予定の定時株主総会の承認を得て、実施する。(佃モビリティ総研・松下 次男)