5世代・45年て560万台を生産、世界150か国で販売中
三菱自動車工業は12月21日、新型1トンピックアップトラック「トライトン」を2024年2月15日から発売すると発表した。同社が1トンピックトラックの日本での販売を復活するのは12年ぶり。年間数千台の販売をめざす。(佃モビリティ総研・松下次男)
1トンピックアップトラックの新型「トライトン」は2024年7月26日、タイ・バンコクで公開、披露し、まず同国から販売を開始した。車両はタイで生産する。
12年ぶりに日本に導入することになった要素について商品戦略本部の増田義樹チーフ・プロダクト・スペシャリストは商品説明会で新型車開発とSUVやミニバンが拡大する日本の市場動向との「タイミングが合った」と強調した。
ピックアップトラックは商用ユースからレジャーユースまで多様な用途に対応できるが、日本ではアウトドアブームなどを背景に「まずレジャーユースをターゲットにしたい」と話す。
新型トライトンは1978年に発売された「フォルテ」をルーツとする1トンピックアップの世界戦略車。初代以来45年間、5世代にわたり約560万台を生産し、世界約150か国で販売されている。
高い走破性実現の背景はパジェロの4WDシステム搭載にある
こうした中、登場した新型トライトンは「パワー・フォー・アドベンチャー」を商品コンセプトに、耐久性と信頼性を向上するとともに、安全・快適性を磨いた新世代ピックアップトラックと位置付ける。
商品の特長は、高い堅牢性とSUV並みの快適性、ハンドリング性能を兼ね備えたピックアップトラックとし、独自開発の大型ボディと新開発ラダーフレームを採用することで重量増を最小限に抑えながら大幅な剛性アップを実現したという。
パワートレインには150キロワットの高出力と環境性能向上を両立した新開発の2・4リットル・クリーンディーゼルを搭載。
走りでは、ローレンジを含む4つの4WD(四輪駆動)モードを選べる「スーパーセレクト4WD―Ⅱシステム」による高い走破性を実現。加えて、舗装路から砂利路、雪道、泥寧路など、様々な路面状況に最適な走行性能を発揮する7つのドライブモードを搭載する。
さらにブレーキ制御式のアクティブヨーコントロールやアクティブLSDの採用で、大柄なボディを感じさせない操縦性能を発揮するとした。
こうした走破性について三菱自の一時代を風靡した「パジェロ譲り」の高い走行性能と表現。実際に、4WDシステムはパジェロに搭載していた機能を踏襲したという。
車両サイズは全長5320ミリ、全幅1865ミリ、全高1795ミリ
日本に導入するボディタイプはダブルキャブで、駆動方式は4WD。デザインは「BEST MODE(勇猛果敢)」をコンセプトに、頼もしく存在感のあるフロントフェイスとワイドで厚みのあるプロポーションを醸し出す。車両サイズは全長5320ミリ、全幅1865ミリ、全高1795ミリ。
安全機能では、衝突被害軽減ブレーキやレーダークルーズコントロールシステム、踏み間違い防止アシスト、車線逸脱警報システム、後側方車両検知警報システム、ふらつき警報などの先進安全装備を搭載する。
また、先進のコネクティッドサービス「ミツビシ・コネクテッド」を採用し、リモートエアコンやリモートドアロックなどの便利機能に加え、万が一の際のSOSコールやドライブ見守り通知機能など、ドライバーの負担を軽減するとともに、安全・安心を提供する機能を備える。
過去に日本で発売したピックアップトラックの販売が尻すぼみしたのはリーマンショックなどの外部環境悪化の要因も重なった。
だが、近年はSUVやミニバン市場が拡大し、再投入のチャンスと判断した。現状、日本で対抗車種となるのはトヨタのハイラックスで、市場規模は年間1万数千台とみている。
まず、マリンスポーツやウインタースポーツ、キャンプなどのアウトドアアクティビティ分野などの用途を期待している。日本で発売するグレードは「GLS」と「GSR」の2つで、それぞれ車両価格(消費税込み)は498万800円と540万1000円。