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2023年12月21日【新型車】

三菱自動車工業、新型「トライトン」を日本でも発売へ

松下次男

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5世代・45年て560万台を生産、世界150か国で販売中

 

三菱自動車工業は12月21日、新型1トンピックアップトラック「トライトン」を2024年2月15日から発売すると発表した。同社が1トンピックトラックの日本での販売を復活するのは12年ぶり。年間数千台の販売をめざす。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 

1トンピックアップトラックの新型「トライトン」は2024年7月26日、タイ・バンコクで公開、披露し、まず同国から販売を開始した。車両はタイで生産する。

 

12年ぶりに日本に導入することになった要素について商品戦略本部の増田義樹チーフ・プロダクト・スペシャリストは商品説明会で新型車開発とSUVやミニバンが拡大する日本の市場動向との「タイミングが合った」と強調した。

 

ピックアップトラックは商用ユースからレジャーユースまで多様な用途に対応できるが、日本ではアウトドアブームなどを背景に「まずレジャーユースをターゲットにしたい」と話す。

 

新型トライトンは1978年に発売された「フォルテ」をルーツとする1トンピックアップの世界戦略車。初代以来45年間、5世代にわたり約560万台を生産し、世界約150か国で販売されている。

 

 

高い走破性実現の背景はパジェロの4WDシステム搭載にある

 

こうした中、登場した新型トライトンは「パワー・フォー・アドベンチャー」を商品コンセプトに、耐久性と信頼性を向上するとともに、安全・快適性を磨いた新世代ピックアップトラックと位置付ける。

 

商品の特長は、高い堅牢性とSUV並みの快適性、ハンドリング性能を兼ね備えたピックアップトラックとし、独自開発の大型ボディと新開発ラダーフレームを採用することで重量増を最小限に抑えながら大幅な剛性アップを実現したという。

 

パワートレインには150キロワットの高出力と環境性能向上を両立した新開発の2・4リットル・クリーンディーゼルを搭載。

 

走りでは、ローレンジを含む4つの4WD(四輪駆動)モードを選べる「スーパーセレクト4WD―Ⅱシステム」による高い走破性を実現。加えて、舗装路から砂利路、雪道、泥寧路など、様々な路面状況に最適な走行性能を発揮する7つのドライブモードを搭載する。

 

さらにブレーキ制御式のアクティブヨーコントロールやアクティブLSDの採用で、大柄なボディを感じさせない操縦性能を発揮するとした。

こうした走破性について三菱自の一時代を風靡した「パジェロ譲り」の高い走行性能と表現。実際に、4WDシステムはパジェロに搭載していた機能を踏襲したという。

 

 

車両サイズは全長5320ミリ、全幅1865ミリ、全高1795ミリ

 

日本に導入するボディタイプはダブルキャブで、駆動方式は4WD。デザインは「BEST MODE(勇猛果敢)」をコンセプトに、頼もしく存在感のあるフロントフェイスとワイドで厚みのあるプロポーションを醸し出す。車両サイズは全長5320ミリ、全幅1865ミリ、全高1795ミリ。

 

安全機能では、衝突被害軽減ブレーキやレーダークルーズコントロールシステム、踏み間違い防止アシスト、車線逸脱警報システム、後側方車両検知警報システム、ふらつき警報などの先進安全装備を搭載する。

 

また、先進のコネクティッドサービス「ミツビシ・コネクテッド」を採用し、リモートエアコンやリモートドアロックなどの便利機能に加え、万が一の際のSOSコールやドライブ見守り通知機能など、ドライバーの負担を軽減するとともに、安全・安心を提供する機能を備える。

 

過去に日本で発売したピックアップトラックの販売が尻すぼみしたのはリーマンショックなどの外部環境悪化の要因も重なった。

 

だが、近年はSUVやミニバン市場が拡大し、再投入のチャンスと判断した。現状、日本で対抗車種となるのはトヨタのハイラックスで、市場規模は年間1万数千台とみている。

まず、マリンスポーツやウインタースポーツ、キャンプなどのアウトドアアクティビティ分野などの用途を期待している。日本で発売するグレードは「GLS」と「GSR」の2つで、それぞれ車両価格(消費税込み)は498万800円と540万1000円。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。