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2020年12月4日【イベント】

三菱自動車、新型エクリプスクロスをオンライン会見で発表

松下次男

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7月発表の中期経営計画で掲げた環境製品強化の第1弾

 

 三菱自動車は12月4日、クロスオーバーSUV「エクリプス クロス」のデザインを一新するとともに、新たにPHV(プラグインハイブリッド)モデルを設定し、同日から発売したと発表した。同車は7月に発表した中期経営計画に盛り込んだ環境技術を生かした商品強化策の第1弾となり、三菱自動車の再建を担う重要なモデルに位置づけるものだ。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 

オンラインによる新車発表会で加藤隆雄CEO(最高経営責任者)は世界的に電動車の普及施策が前倒しされる中、三菱自動車は「世界初の量産EV(電気自動車)i-MiEV(アイ・ミーブ)を2009年に発売し、このEV技術をベースにしたアウトランダーPHEV(商品名)を2013年に発売した」と述べ、PHV販売で先鞭をつけたと強調。

 

これらを踏まえ、「当社の命題は得意とする環境技術をさらに強化し、魅力的な商品を世界中に提供すること」と電動車を推進させるともに、人気カテゴリーのSUVで一段と磨きをかけ、拡販を目指す意向を示した。

 

三菱自動車工業、来る2030年に電動化比率50%を目指す

 

 同社はPHVを中心に2030年に電動化比率50%を目指す。加藤CEOは同車のPHV技術はEV、HV(ハイブリッド車)のどちらにも進化できるものだとの考えを示し、急速に市場が膨らむEVの新商品展開へもつなげていく方針を示唆した。

 

エクリプス クロスは2017年にグローバルモデルとして発売したクロスオーバーSUV。スタイリッシュなクーペフォルムとSUVの機動力を融合させ、好評を博す。

 

 

今回の改良では伸びやかで流麗なフォルムとしながら、SUVとしてのダイナミズムを高めた外観へと一新。加えて、新たにPHVモデルを設定。PHVカテゴリーの累計販売台数で世界ナンバー1の「アウトランダーPHEV」と同様のツインモーター4WD(四輪駆動)方式のVシステムを採用した。

 

販売目標は月間1000台。すでに10月15日から予約を受け付けており、11月末時点で月販目標の2倍となる約2000台を受注ずみという。

 

 「エクリプス クロスPHEV」(商品名)モデルは、ベーシックの予防安全機能を標準装備した「M」、100ボルトAC電源(最大1500ワット)やヘッドアップディスプレイなどを装備した「G」、専用外観に加えスマートフォン連携ナビゲーションなどを標準装備した上級モデル「P」の3グレードを展開。

 

 

 ガソリンモデルは、ベーシックの「M」、ヘッドアップディスプレイやレーダークルーズコントロールシステムなどを装備した「G」、スマートフォン連携ナビゲーションなどを標準装備した上級仕様「G Plus Package」の3グレードを設定。

 

「Daring Grace(大胆にして、優雅)」にデザインを一新、PHVモデルを新たに設定

 

 デザインコンセプトは「Daring Grace(大胆にして、優雅)」。全長を延ばし、前後デザインを一新することにより、より流麗で上質なフォルムを実現した。

 

性能、機能をみると、PHVモデルは前後1基ずつの高出力モーター、大容量駆動用バッテリー、2・4リットルエンジンでパワートレインを構成。ツインモーター4WD方式のPHVシステムをエクリプス クロスに合わせて最適化させ、電動車ならではの滑らかで力強い加速、軽快感を実現した。

 

 

駆動用バッテリーは13・8キロワット時で、EVでの航続距離57・3キロメートル(WLTCモード)を実現。日常生活では、ほぼEVモードで走行できるという。

 

走行モードは、駆動用バッテリーの電力でモーター駆動する「EV走行モード」、エンジンで発電した電力でモーター駆動する「シリーズ走行モード」、エンジンで発生した動力で走行し、モーターがアシストする「パラレル走行モード」の3モードがあり、走行状況に応じて自動で切り替え、様々なドライブが楽しめる。

 

また、車内に設置した100ボルトAC電源から電化製品への電力供給が可能で、アウトドアレジャーや非常時の電力源として活用できる。満タン・満充電の状態ならば、一般家庭の最大約10日分の電力供給が可能とした。

 

 

グローバル展開では、すでにASEAN(東南アジア諸国連合)の一部地域へ投入済み

 

 ガソリンモデルは、1・5リットル直噴エンジンを搭載。前後輪へ最適なトルク配分を行う電子制御4WDをベースに、前輪左右の制動力を調整して旋回性を高めるアクティブヨーコントロール(AYC)、制動力を制御するABS(アンチロックブレーキシステム)& アクティブスタビリティコントロール(ASC)を協調させたS-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)を採用。安心感のある車両挙動を実現した。

 

 

ドライブモードは「ノーマルモード」のほか、雪道などの滑りやすい路面走行の「スノーモード」、悪路での走破性や安定性を発揮する「グラベルモード」を設定。PHVモデルでは乾燥舗装路での旋回性と安定性を両立した「ターマックモード」も設定し、ドライバーに楽しさや安心感を提供する。 

 

 新設定の「スマートフォン連携ナビゲーション」は、内蔵地図によるルート案内やVICS交通情報対応機能に加え、アンドロイドやiPhoneのアプリケーションが楽しめる。

 

 新型エクリプス クロスはグローバル展開する計画で、すでにASEAN(東南アジア諸国連合)の一部地域へ投入済み。車両価格(消費税込み)はPHVモデルが384万8900円から447万7000円。ガソリンモデルが253万1100円から334万6200円。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。