三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、12月14日、ベルリン市において、電気小型トラック「eCanter」を欧州市場で初めて、DHL社、DBシェンカー社、レーノス社とダクサ社に納車した。
これらベルリンの顧客には、ダイムラーグループのリース会社のチャーターウェイ社を通じて、長期間の車両リースにより車両を提供。また、MFTBCは「eCanter」のドライバーに、車両の操作方法のトレーニングを提供する。今回計14台の「eCanter」が納車される。
「eCanter」は、三菱ふそうによって開発された電気小型トラックで、今回欧州で発表した車両は、車両総重量7.5トンクラス、1.5時間の直流急速充電、あるいは、11時間の交流200V充電で、航続距離は100km以上になると云う。
電気駆動システムには、モーター(最大出力129kW <連続定格115kWh>、最大トルク420Nm <連続定格285Nm>)と、360V・82.8kWh(13.8kWh x 6個)の高電圧リチウムイオンバッテリーを搭載している。
MFTBCによれば、従来のディーゼル車と比較して、走行1万キロメートルあたり、最大1,000ユーロのコスト削減を可能にしたとのことだ。
納車に際して、MFTBC代表取締役社長・CEOのマーク・リストセーヤは、「私たちは欧州の最初のお客様へ世界初の電気トラックを納車します。9万km以上にわたる走行試験は、お客様へ提供する“eCanter”が信頼性と経済性に優れていることを保障します。“eCanter”はお客様に対し、静かな配送とCO2排出量の削減のみならず、運用コストの削減も提供します。これが都市内配送システムの未来です」とコメントした。
[これまでの「eCanter」の歩みと、今後のビジョン]
2010年9月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ)IAA 2010に初出展
2011年12月「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) 東京モーターショー2011年に出展
2013年6月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) 第二世代を発表
「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) NEXCO中日本様に実用共試
2014年7月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) ポルトガルにて実用共試
2016年4月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) ドイツにて実用共試
2016年9月 「eCanter」(プロトタイプ) IAA 2016にて世界初公開
2017年5月 川崎工場にトラック用急速充電設備「EVパワーチャージャー」開設
2017年7月 川崎工場にて「eCanter」(量産型)生産開始
トラマガル工場(ポルトガル)にて「eCanter」(量産型)生産開始
2017年9月 ニューヨーク市にて「eCanter」世界に向けて発表
2017年10月「eCanter」セブン-イレブン・ジャパン、ヤマト運輸への車両引渡し式
「eCanter」東京モーターショー2017へ出展
E-FUSOの車両に搭載するバッテリーは、ダイムラーの子会社であるドイッチェ・アキュモーティヴ社が供給。蓄電システムに特化したメルセデス・ベンツ・エナジー社がバッテリーの二次利用のスキームを提供する予定だ。また、ダイムラーは充電ステーションとインフラ整備のプロバイダーであるChargePoint社と新型の急速充電バッテリーを開発するStoreDot社にも出資している。
MFTBCは、新ブランドの「E-FUSO」を立ち上げについて、これは、大型トラックの開発だけにとどまらず、今後、ふそうのトラックとバスの全車種に、電動パワートレインのオプションを追加していく明確な意思であると表明している。
また、各車両の発表時期は、求められる技術力と実現の可能性を検討し決定していくとのことだ。
E-FUSOサイト : http://efuso.jp/jp/