NEXT MOBILITY

MENU

2024年7月29日【新型車】

三菱ふそう、国内初のEVダンプ小型トラックを導入

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

今回、福尚が導入した新型「eCanter」ダンプ車

 

鹿児島県指宿市拠点の福尚が新型「eCanter」ダンプ車の初号車を導入

 

三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は7月29日、国内初となるEVダンプ小型トラックを鹿児島県で導入した。

 

この三菱ふそう、新型電気小型トラック「eCanter」ベースのダンプ初号車(MFTBC調べ、2024年7月時点)は、新明和工業が架装を行い福尚(本社:鹿児島県指宿市、代表取締役社長:福永 昭一)に納車された。

 

2023年3月に発売された新型「eCanter」は従来モデルから架装バリエーションを拡大してきたが、今モデルからダンプ架装が新たに加わった。

 

 

同モデルは、同車の一連の稼働そのものが、電気駆動であることで騒音や振動が少なく、「eCanter」ダンプ車は、荷台の上げ下ろしの際にエンジンを回転させる必要がなく、架装側への動力は全て電気駆動のモーターで伝達する。

 

そのため、ディーゼルエンジンのダンプ車と比較して音が静かだ。従って周囲の騒音や環境に配慮しなければならない早朝や住宅地などでの稼働に応えられる。また振動が少ないという特性により、ドライバーの疲労も軽減できるというメリットも生まれる。

 

より具体的には構造的に新型モデルは、モーター駆動の動力取り出し装置「ePTO」をオプションで搭載し、車載リチウムイオンバッテリーから「ePTO」を通じて動力を架装側に伝達することでダンプ、キャリアカー、脱着車、リヤクレーンなどの架装に対応する。

 

 

そんな「eCanter」に装着する動力取り出し装置「ePTO」 は、ディーゼル車の動力取り出し装置と同等の性能を持つため、「eCanter」ダンプ架装専用車の場合、新たなシステムの開発が不要となる。

 

ゼロエミッションの「eCanter」で地域の環境に配慮した建設サービスに貢献

 

こうした行政府と自動車メーカーの動きに着目した福尚は、車両総重量(GVW)6トンクラスでSバッテリー・標準キャブモデルの新型「eCanter」ダンプ車を導入した。また「eCanter」は普通充電にも対応させたことで、Sバッテリーサイズ・標準キャブモデルの一充電当たりの航続距離は116km(国土交通省審査値)となり、日々の市街地での輸送や稼働に十分な走行距離が提供できると謳っている。

 

一方で鹿児島県指宿市を拠点に建設サービス業を提供する福尚は、指宿市内で積極的な社会・地域貢献活動を行っており、SGDs(持続可能な開発目標)や地域活性化の取り組みの一環として「eCanter」を導入した。

 

同社が導入した「eCanter」ダンプ車は、今後指宿市内での同社の建設サービス業務で活用される予定。このような強力な取り組みを実施した理由は、指宿市が、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを表明した「ゼロカーボンシティ」自治体で、その活動が広く反映されていることなどがある。指宿で同社の「eCanter」が、指宿市内での企業活動や地域のゼロエミッション化に貢献することが期待されている。

 

 

MFTBCは、このような地域に於ける環境負荷低減の動きに呼応し、利用ユーザーがEVトラックへスムーズに移行できるよう、EV導入にあたっての検討から充電、走行距離やメンテナンス、各種補助金申請などの様々な側面をサポートするサービスやツールを提供している。

 

 

より詳細としてMFTBCは、電気小型トラック「eCanter」の仕様やサービスを疑似体験できるオンラインシミュレーター「FUSOコンフィギュレーター」を用意。EVトラックの導入を検討する上で必要となる情報を提供することに腐心しているという。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。