国土交通省は6月25日、令和3年版国土交通白書を公表した。
国土交通白書は、国土交通省の施策全般に関する年次報告として毎年公表されている。現在日本は、新型コロナウイルス感染症と、災害の激甚化・頻発化に直面しているが、日本が過去の危機を契機として、よりよい社会を実現してきたように、これらを乗り越え、「豊かな未来」を実現するべきというのが、今回の白書の基本的な考え方だ。
この考え方に基づき、加速化している変化や顕在化した課題について整理し、これに対応する具体的施策と、目指すべき「豊かな未来」の姿を展望。現在直面する2つの危機により加速化した変化及び顕在化した課題について、以下の5つの観点で分析・整理している。
1.社会の存続基盤の維持困難化
– 公共交通の維持困難化と人口減少等により生活サービスの維持も困難化
病院、銀行、コンビニの存続が困難になる可能性のある市町村の割合
病院:53%→66% 銀行:26%→42% コンビニ: 7%→20% (2015→2050年)
2.災害リスクの増大や老朽化インフラの増大
– 災害リスクエリアは国土の21.5%であるのに対し、全人口の67.7%が居住
3.多様化を支える社会への変革の遅れ
– コロナ禍の影響によりテレワーク利用率が増加したが、世界各国と比較して利用率は低い。
・東京圏のテレワーク利用率 2020年1月:10%→12月:26%
・世界8か国におけるテレワーク利用率※ 中国都 市部:75%、米国:61%、日本:31%
※「新型コロナ以前からテレワークしていた」人の割合と「新型コロナ後に初めてテレワークした」人の割合の合計値。2020年7月時点。
4.デジタルトランスフォーメーションの遅れと成長の停滞
– 我が国のDXは遅れているが、コロナ禍を契機にDXが加速化している。
・世界デジタル競争力ランキング 調査対象国中27位/63カ国
・企業の75.5%がコロナ禍を契機にデジタル施策を推進
5.地球温暖化の進行