国土交通省は3月30日、2025年度までを計画期間とする「事業用自動車総合安全プラン2025」を策定したと発表した。
このプランでは、重傷者数、各業態の特徴的な事故に対する削減目標を新たに設定し、依然として発生する飲酒運転、健康起因事故等への対策、先進技術の開発・普及を踏まえた対策、超高齢社会におけるユニバーサルサービス連携強化を踏まえた事故防止対策等を盛り込んでいる。
ポイントは以下の3点。
・依然として発生する飲酒運転、健康起因事故等への対策、先進技術の開発・普及を踏まえた対策、超高齢社会におけるユニバーサルサービス連携強化を踏まえた事故防止対策
・新型コロナウイルス感染症拡大、激甚化・頻発化する災害等に対し、新たな日常への移行に伴う事業環境変化における安全対策
・重傷者数に対する削減目標とともに、業態毎に一層の事故削減を図るため、各業態の特徴的な事故に対する削減目標を設定
事業用自動車の交通事故については、平成29年に策定した「事業用自動車総合安全プラン2020」に基づき、事故防止対策に取り組んでいたが、今般の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響、大規模水災害・雪害の激甚化・頻発化、高齢社会の進展、ICT・先進安全技術の急速な発展等、当該プランの策定時から状況は大きく変化している。
「事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会」(座長:野尻俊明 流通経済大学学長)において、令和2年度に、事業用自動車が置かれている社会環境、事故状況、重点的に検討する事項等について議論され、新たなプランついて検討が行われてきた。
国土交通省は、行政・事業者・利用者の「安全トライアングル」により、総力を挙げて事故の削減に取り組み、安全な輸送サービスの提供の実現を目指すとしている。
■重点施策
1.「新たな日常」における安全・安心な輸送サービスの実現
・新型コロナウイルス感染症拡大に伴う運送労働環境の変化と附帯作業の増加への対応
・激甚化・頻発化する災害への対応 等
2.抜本的対策による飲酒運転、迷惑運転等悪質な法令違反の根絶
・飲酒運転事故件数の近年の下げ止まりへの対応
・社会的関心の高まる「あおり運転」への対応 等
3.ICT、自動運転等新技術の開発・普及推進
・ICTを活用した高度な運行管理の実現
・無人自動運転サービスに向けた安全確保 等
4.超高齢社会におけるユニバーサルサービス連携強化を踏まえた事故の防止対策
・依然として多発する乗合バスの車内事故への対応
・高齢運転者事故への対応 等
5.原因分析に基づく事故防止対策の立案と関係者の連携による安全体質の強化
・各業態の特徴的な事故への対応
・健康に起因する事故の増加への対応 等
6.道路交通環境の改善
・高速道路から生活道路に至る道路ネットワークを体系的に整備し、道路の適切な機能分化を推進する 等
■事故削減目標
<全体目標>
①24時間死者数225人以下、バス、タクシーの乗客死者数ゼロ
②重傷者数2,120人以下
③人身事故件数16,500件以下
④飲酒運転ゼロ
<各業態の個別目標>
【乗合バス】車内事故件数85件以下
【貸切バス】乗客負傷事故件数20件以下
【タクシー】出会い頭衝突事故件数950件以下
【トラック】追突事故件数3,350件以下