今回の一連の問題でも、コネクテッド・インダストリーズの考えの下で、製造データや品質データを繋ぎ、ウソのつけない、また、改ざんのできない仕組みを構築し、信頼性の高い品質保証体制を構築していれば、未然に防止できた面もあるのではないかと思います。
今日のパネルディスカッションでは、このコネクテッド・インダストリーズの観点からの取組により、品質保証と生産性向上の両方を実現しておられる事例をご紹介いただく予定になっています。こうした優良事例を参考にし、各企業で多様な取組が行われていくことを期待したいと思います。
一方、こうした取組には、一定の設備投資が必要です。経済産業省として、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたシステムやロボットの導入によって、企業内外でのデータ利活用を図り、生産性向上を図る取組に対して、税制面からの支援も用意をさせていただいています。
第3の柱は、ガバナンスの実効性向上です。さきほど申し上げた、システムやロボットなどを利用した現場での仕組みづくりに加えて、やはり、経営層・経営トップの皆さんに品質管理に対する意識を強く持っていただき、その意識を現場に浸透させる組織的な仕組みづくりが重要だと思います。
私の感覚では、トップが頻繁に現場を訪れ、品質保証体制の重要性をトップ自らの声で訴えておられるような企業では、こうしたデータ改ざんといった事例は発生していないという風に考えます。
また、経済産業省としても、昨年12月から、グループガバナンスに関する研究会を立ち上げました。今回の事案が、子会社などを舞台に起きていることを踏まえ、子会社管理を含めたガバナンスの実効性向上に向けたベストプラクティスの収集整理を通じた検討を進めており、来年春頃を目処に実務指針を策定する予定です。
さらに、今回の一連の事案のなかで、規格値を満たさないJISマーク製品の出荷という、非常に残念な事例も認められました。登録認証機関によるJISマーク認証の取消しが行われた事案も出ていることも踏まえ、JISマークを用いた企業間取引の信用性確保を図るための罰則強化などを盛り込んだ法律が、今国会で5月23日に成立しました。
4. これからのものづくりにおける危機感の共有