同社は9月末、不適切な完成検査の原因究明と再発防止策を盛り込んだ報告書を、国交省自動車局長に提出した。勧告が例示する直近の不適切行為とは、報告書の提出後の10月16日、17日、22日に自動車局が立入検査を行い、その指摘で発覚したことだった。その後、SUBARUはリコール対象とする期間を今年10月まで拡大して対応したが、国交省はこれを含む経営陣の後手に回った不手際を重く見た。
勧告書の申し渡しと共に、SUBARU報告書の精査結果が公表されているが、その中で同社の不適切行為はこう断じられた。
「長年にわたり続いた一連の完成検査の不適切事案に対する、SUBARUの経営層を含めた組織の責任は極めて重いと言わざるを得ず(中略)SUBARUにおける完成検査の現場の把握・管理は、深刻な状態にあると言わざるを得ない」
勧告書は、不適切事案の発見・検出能力の抜本的強化を含めた再点検、経営層のリーダーシップのもと、現場の第一線までコンプライアンス重視を浸透させることを含めて、再発防止策の徹底と実効性確保を図ることなど6項目をSUBARUに求める。
勧告書を受け取ったSUBARU(スバル)中村社長は「完成検査部門に対する経営陣の関与、関心が薄かった。しっかりと受け止めたい」と語る(撮影=中島みなみ)
中村社長は勧告を受けとった後、報道陣に心中を語った。
「完成検査部門に対する経営陣の関与、関心が薄かった。勧告にも『再発防止をさらに見直して徹底すること』という言葉があったので、しっかりと受け止めて努めたい」
また、完成検査不正だけでなく、エンジンや燃料計のリコール対応を迫られていることについては「販売店をどうやって支援できるか継続して考え、しっかりとしたお客様対応をとっていきたい」と述べたが、その前途はかなり険しいものになりそうだ。(取材執筆/撮影:中島みなみ/中島南事務所)
(編集部)なお同日15日・16時51分発信の同社リリースでは、「完成検査の不適切事案の再発防止に関する国土交通省からの勧告等を受けて」と題して、下記内容の文面を掲示した。
本日、当社の完成検査に関わる一連の不適切行為に関し、国土交通大臣より再発防止策の見直し及び徹底など6項目に渡る勧告を受けたことを、極めて厳粛に受け止めています。
今後、当社は「品質第一」の意識を徹底し、法令遵守の推進と再発防止策の確実かつ迅速な実施によって、皆様からの信頼を可及的速やかに回復すべく、全力で努めて参ります。