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2018年11月14日【オピニオン】

石井国交相、完成検査不正でSUBARUに勧告書

中島みなみ

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 同社は9月末、不適切な完成検査の原因究明と再発防止策を盛り込んだ報告書を、国交省自動車局長に提出した。勧告が例示する直近の不適切行為とは、報告書の提出後の10月16日、17日、22日に自動車局が立入検査を行い、その指摘で発覚したことだった。その後、SUBARUはリコール対象とする期間を今年10月まで拡大して対応したが、国交省はこれを含む経営陣の後手に回った不手際を重く見た。

 

 勧告書の申し渡しと共に、SUBARU報告書の精査結果が公表されているが、その中で同社の不適切行為はこう断じられた。
「長年にわたり続いた一連の完成検査の不適切事案に対する、SUBARUの経営層を含めた組織の責任は極めて重いと言わざるを得ず(中略)SUBARUにおける完成検査の現場の把握・管理は、深刻な状態にあると言わざるを得ない」

 

 勧告書は、不適切事案の発見・検出能力の抜本的強化を含めた再点検、経営層のリーダーシップのもと、現場の第一線までコンプライアンス重視を浸透させることを含めて、再発防止策の徹底と実効性確保を図ることなど6項目をSUBARUに求める。

 

勧告書を受け取ったSUBARU(スバル)中村社長は「完成検査部門に対する経営陣の関与、関心が薄かった。しっかりと受け止めたい」と語る(撮影=中島みなみ)

 

 中村社長は勧告を受けとった後、報道陣に心中を語った。
「完成検査部門に対する経営陣の関与、関心が薄かった。勧告にも『再発防止をさらに見直して徹底すること』という言葉があったので、しっかりと受け止めて努めたい」
 また、完成検査不正だけでなく、エンジンや燃料計のリコール対応を迫られていることについては「販売店をどうやって支援できるか継続して考え、しっかりとしたお客様対応をとっていきたい」と述べたが、その前途はかなり険しいものになりそうだ。(取材執筆/撮影:中島みなみ/中島南事務所)

 

(編集部)なお同日15日・16時51分発信の同社リリースでは、「完成検査の不適切事案の再発防止に関する国土交通省からの勧告等を受けて」と題して、下記内容の文面を掲示した。

 

本日、当社の完成検査に関わる一連の不適切行為に関し、国土交通大臣より再発防止策の見直し及び徹底など6項目に渡る勧告を受けたことを、極めて厳粛に受け止めています。

今後、当社は「品質第一」の意識を徹底し、法令遵守の推進と再発防止策の確実かつ迅速な実施によって、皆様からの信頼を可及的速やかに回復すべく、全力で努めて参ります。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。