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2019年2月25日【エネルギー】

マイクロソフト、自動車業界も改革するホロレンズを刷新

坂上 賢治

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2月25日、スペインのMWCバルセロナで「Microsoft HoloLens 2」発表

 

 米マイクロソフトは欧州時間の2月25日の夜、バルセロナで開催されたMWC(Mobile World Congress )のプレス向けキックオフイベントの壇上で、新型MR(Mixed Reality/複合現実)デバイスのHoloLens2(ホロレンズ2)を発表した。(坂上 賢治)

 

 このHoloLensシリーズは2015年にマイクロソフトがリリースしたMRデバイスで、日本国内でも広く産業領域で利用されているほか、自動車業界に於いても車両の開発環境だけでなく、自動車整備などの業界で最も川下にあたるアフターケア分野でも、新たな働き方や稼働率向上を実現するデバイスとして試験導入が進んでいる。

 

ちなみに2月25日のキックオフイベントでは、マイクロソフトのサティア ナデラCEO(Satya Nadella)にアレックス キップマン ・テクニカルフェロー(Alex Kipman)が登壇。

2世代目のデバイスに進化したことでさらに加速化されるインテリジェントクラウドや、インテリジェントエッジに関するマイクロソフト独自の世界観を説明した。

 

 

 それによると実質的に限界の無いクラウドの演算能力と、現実の世界に組み込まれたエッジデバイスを組み合わせることで、数年前であれば、想像すらできなかった体験ができるようになっているという。またそれにはMR体験との組み合わせが新たなフレームワーク誕生の鍵だと示唆している。

 

これを前提に2016年に同社がリリースしたHoloLensは、建設現場から工場のフロア、さらには手術室から学校の教室に至るまで新たなコンピューティングの時代を創り出しているのだと語る。

 

それはデジタルな世界が2次元スクリーンを超えて、3 次元の世界へと足を踏み入れる時代であるという。この新たな時代の到来により、人々は3D を用いて境界を超え、より簡単かつ迅速に共同作業ができるようになったと述べている。

 

 

 しかし製品発表後2年を経てHoloLensの利用顧客から、主に3つの分野にフォーカスしてほしいとの意見を得たという。それは、より没入感を持たせ、より快適に、そして価値を創造するまでの時間を早めてもらいたいというもの。

 

そこで同社では、まず没入感については、映像ディスプレイシステムを大幅に強化させ、1度あたり47ピクセルという業界最先端のホログラフィック密度を維持しながら、視野角を2倍以上に広げ、ホログラムをより鮮やかでリアルにした。

 

 またHoloLens2では、ホログラムとの対話方法も刷新した。新たなTOFデプスセンサー(time-of-flight depth sensor)を内蔵AI と意味論的理解(semantic understanding)と組み合わせて利用。さらにアイ トラッキング(視線追跡)センサー搭載でホログラムとの対話がより自然に行えるようにし、直感的なジェスチャーでホログラムを自然に操作できるようにした。

 

 

快適性の向上はホログラムだけに留まらず、軽量のカーボン ファイバー素材採用で重心を再設計し、新しい蒸気密封技術(vapor chamber technology)を利用し温度管理も改善されている。

 

顧客からの最後の要望である価値創造時間の短縮では、Dynamics 365やRemote Assist、Dynamics 365 Layout、Dynamics365Guides を介して時間短縮を図っている。

 

 なおこの新たなHoloLens 2は、2019年中に3,500ドルで提供される予定だ。Dynamics 365 Remote Assist がバンドルされたものは月額125ドルで利用可能。提供地域は日本を筆頭に、米国、中国、ドイツ、カナダ、イギリス、アイルランド、フランス、オーストラリア、ニュージーランドで先行発売される予定という。HoloLens 2のプレオーダーは、同日より以下のWebサイト(英語のみ。日本向けサイト)で開始されている。

https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens/buy 

 

( MOTOR CARSから転載  )

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。