ミシュランとエンバイロの共同開発技術で使用済みタイヤが良質な原材料に再生されるイメージ図
ミシュランは2月19日、エンバイロ社との合弁事業*として、ミシュラン初のタイヤリサイクルプラントを南米チリのアントファガスタ地域に建設すると発表した。プラントは、2021年に建設着工、2023年生産開始予定で、投資額は3,000万ドル以上となる。
*契約締結の前に、臨時総会(EGM)でエンバイロ所有者の承認手続きがある。エンバイロのEGM報告は別途公開される。
使用済みタイヤのリサイクル技術はタイヤ産業にとって重要な柱であり、ミシュランの持続可能な原材料調達の取り組みのひとつだ。エンバイロは、使用済みタイヤからカーボンブラック、熱分解油、ガス、スチールを回収する特許技術を有しており、このプラントで年間3万トンのアースムーバー*用タイヤをリサイクルできる見込み。これは、チリで毎年廃棄される当該タイヤの約60%に相当する。
*大量の土を動かす大型土工機械(ブルドーザー、パワーショベルなど)
プラントでは、使用済みタイヤを直接顧客の敷地から回収、運搬・切断し、リサイクルを行う。回収された材料の90%は、タイヤ、コンベヤーベルト、防振製品などさまざまなゴム製品に、残りの10%はプラントが自社の熱や電力として再利用する予定だ。
ミシュランのハイテクマテリアル新規事業、マーケティングおよび事業開発責任者兼副社長 サンダー・フェルミューレンは次のように述べている。「エンバイロとの合弁事業で、ミシュラングループ初のリサイクルプラント建設について発表できることを大変誇りに思います。これは、新しいビジネスを開発しながら、お客様へ新世代のリサイクルソリューションを提供するための大きなマイルストーンです。現在、チリの鉱業顧客数社と長期契約に関する交渉を進めています。ミシュランは、エンバイロの技術をさらにスケールアップすることで、環境目標をサポートしながら循環経済発展のためのソリューションを提供していきます」
タイヤリサイクルプラントの建設は、VISIONコンセプトの実用化を進め、タイヤ生産に持続可能な原材料を増やすというグループの取り組みと完全に一致している。ミシュランは、この分野のイノベーションには新しい形のコラボレーションが必要であることを認識し、多様な技術分野の革新的なパートナーシップを構築していくという。
■VISIONコンセプトとは
2017年のMovin’Onサミットで発表された、持続可能なモビリティを具現化するためのミシュランの経営・開発戦略。VISIONコンセプトのイノベーションの4つの大きな柱は ①エアレス ②コネクテッド ③3Dプリンティングの活用 ④100%の持続可能原料の使用(すべて再利用できることまたは生体材料を使っていること)であり、この4つを最終的に実現することを目指している。
2017年Movin’On で発表された VISIONコンセプト