マクラーレン・オートモーティブは12月19日、新型スーパーカー「GTS」を発表した。GTSは「GT」の後継モデルで、スーパーカーのドライビング・ダイナミクスに加え、快適な乗り心地、洗練性、ラゲッジスペースを望むドライバーに満足してもらえるよう、日常的なドライブや長旅にも適した設計になっているという。(経済ジャーナリスト 山田清志)
0-100km/h加速はわずか3.2秒
GTSを支えるのはカーボン・ファイバー製モノコック・シャシーの「モノセルII-T」で、ミッド・エンジンのマクラーレン・スーパーカーに求められる強度、超軽量構造、剛性を誇る。しかも標準のコンポジット製ルーフは、再生カーボン・ファイバーが使用されている。こうした選択は、軽量スーパーカーならではの刺激的なドライビング・エクスペリエンスを実現しつつ、乗り心地を損なうことなく、不要なノイズ、ハーシュネス、振動を排除するうえで役立っているという。
DIN車両重量は1520kgとクラス最軽量で、パワーウェイトレシオはセグメントトップの418PS/tを誇る。4.0リッターM840TE型V8ツインターボ・エンジンの最高出力は635PSで、GTより15PS向上した。GTSにはローンチコントロール機能が標準装備され、これを稼働させると、0-100km/h加速をわずか3.2秒、0-200km/h加速を8.9秒で達成できる。最高速度は326km/hだ。
7速SSGトランスミッションを搭載し、始動時のデフォルトであるコンフォード・モードではなめらかでシームレスかつ素早い変速が可能で、リラックスしながら軽快な加速を実現する。これ以外に、ドライバーがスーパーカー・エクスペリエンスを強化できるドライビング・モードとして、スポーツとトラックの2つがある。
スポーツモードはドラマチックな緊迫感を高め、瞬間的なイグニッションカット技術によって、一層速くアグレッシブな変速ができる。トラック・モードはそれをさらに一段階高め、ギアボックスのパフォーマンスを最大化しつつ、シフト間のトルク・ロスを最小限に抑える。どのドライビング・モードでも、ステアリング・ホイールに装着するシフトパドルを使って。マニュアルでのギアチェンジが可能となっている。
ブレーキディスクはフロントが390mm、リアが380mmで、すべてカーボン・セラミック製。ブレーキシステムには6ピストンの軽量アルミニウム製キャリパーを備え、驚異的なフィールとパフォーマンスを実現したそうで、100km/hからわずか32mで停止する制動力を誇る。
荷室容量は実用的な570リッター
また、前方の視界も良好で、広々としたガラスのテールゲートやガラス張りのCピラー、大型リア・クォーターウィンドウにより、後方視界も良くなっている。アンダーボディのグランドクリアランスは、車両リフト機能によって110mmから130mmに拡大できる。GTSの車両リフトシステムはGTのシステムから強化され、わずか4秒でノーズを昇降でき、2倍以上のスピードアップを果たした。
リアのカーボン・ファイバー製アッパー・ストラクチャーをモノコック・シャシーに組み込む設計によって、パッセンジャー・セルの後方には、利便性の高い広いラゲッジスペースが生まれた。そのカーゴエリアの容量は420リッターで、ノーズにも150リッターの収納スペースが設けられているので、荷室容量は合計570リッターとなり、現在発売されているマクラーレン車の中で最も実用的なスーパーカーになるそうだ。
インテリアは、このモデルが誇るパフォーマンス・レベルと洗練されたラグジュアリーな空間を融合したデザインとなっている。インテリアを彩るのは、精密な研磨加工やローレット加工を施したアルミニウム製のスイッチやコントロールで、その中にはステアリング・ホイールのシフトパドルや、グロスブラックのインフォテイメント・スクリーン・サウンド、センター・コンソールのギア・セレクター、エア・ベント、ウインドウ・スイッチなどがある。
10.25インチのデジタル・インストゥルメント・ディスプレーを装備し、鮮明でシャープなグラフィックによって、車速、ギア、エンジン回転数といったドライビングに不可欠な情報を表示する。また、標準装備のナビゲーションシステムも統合され、ターン・バイ・ターン方式で方向を示す。
中央には、7インチの縦型タッチスクリーン式インフォテイメント・システムも搭載。10コア・プロセッサーによってシャープに素早く反応し、スマートフォンスタイルのメニューや入力方法により、操作も簡単となっている。HEREのナビゲーションマップとリアルタイムの交通情報が表示される衛星ナビゲーション、ブルートゥース通話、メディア・ストリーミングに加え、DAB規格のデジタルラジオを標準装備。さらに、12スピーカーで構成されるバウワーズ&ウィルキンスの高級オーディオ・システムを搭載している。
エクステリアのカラーパレットも刷新され、マンティス・グリーン、タンザナイト・ブルー、アイス・ホワイトが新たに加わった。また、発表時のカラーであるラヴァ・グレーはGTS専用の新色で、このメタリックカラーには、光をとらえてきらめく赤いラメが配合されていて、他のグレートは一線を画す特徴的な効果を生み出すそうだ。