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2020年11月5日【イベント】

マクラーレン、「765LT」を日本で初公開

山田清志

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マクラーレン・オートモーティブ・アジア日本支社の正本嘉宏代表

 

マクラーレン・オートモーティブは11月5日、新型スーパーカー「765LT」の発表会を開催し、その模様をオンライン配信した。LTシリーズの第3弾で、マクラーレンの最高の技術と知見を余すところなく投入した究極のクルマだという。もちろん日本で公開するのは今回が初めてだ。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

ルマンで優勝したクルマのDNAを受け継ぐ

 

「LTというのは、ロングテールの頭文字をとったもので、その起源は1990年代の『マクラーレンF1 GTR LT』に遡る。そのクルマはFIAのGT選手権において、全シーズン11戦中5勝を挙げると同時に、その年のルマン24時間レースでも、なんと3位に30周もの圧倒的周回差をつけて1、2フィニッシュを飾った、まさに伝説のレーシングカー。そのスピリットをロードゴーイングカーになんとか投入したいと開発したのがLTシリーズなのです」

 

マクラーレン・オートモーティブ・アジア日本支社の正本嘉宏代表は発表会の挨拶で、まずLTの由来について説明し始めた。そして、その市販化第1弾が2015年の「675LT」だった。究極のドライブエンゲージメントを提供するクルマとして、当時最もスパルタンなマクラーレンとしてファンの間で話題になった。

 

第2弾が18年の「600LT」で、徹底した軽量化と圧倒的なパフォーマンス、爆音とともに噴出するユニークなトップエグジット・エキゾーストなどでセンセーショナルなデビューを飾った。「日本でマクラーレンのプレゼンスとビジネスの基盤を形成するのに大きく貢献したモデル」(正本代表)とのことだ。

 

 

そして、第3弾となるのが今回の「765LT」というわけだが、正本代表によると、「マクラーレンの最高の技術と英知を結集したクルマで、LTの6つのDNAを持ったクルマだ」という。その6つとは、卓越したドライバーズエンゲージメント、徹底した軽量化、トラック志向のダイナミクス、最適化されたエアロダイナミクス、パワーアップしたエンジン、限定生産である。

 

最高速度が330km/hで、0-100km/h加速が2.8秒

 

その中で正本代表が真っ先にあげたのが軽量化だ。マクラーレンは軽量化で有名なブランドだが、765LTは新しいカーボンファイバー製ボディパネル、モータースポーツからインスプレーションを得たポリカーボネート、チタン製エキゾーストシステム、軽量デュアルスプリングサスペンションなどを採用し、細部にわたってグラム単位の軽量化を行ったそうだ。その結果、ベースとなる「720S」よりも80kg軽量化し、乾燥重量はわずか1229kgだ。

 

パワーアップしたエンジンということでは、4.0LツインターボチャージャーV8エンジンを搭載し、最高出力765PS、最大トルク800Nmで、最高速度は時速330km/h。しかも加速性能も抜群で、0-100km/h加速がわずか2.8秒、0-200km/h加速が7.0秒と異次元だ。「史上最もパワフルなLT」と正本代表が言うのも頷ける。

 

当然、制動力も優れているのは言うまでもない。最新世代のカーボンセラミックディスクに「マクラーレン セナ」を組み合わせたブレーキシステムは圧倒的な制動力を誇り、どんな過酷な状況においても全幅の信頼をおけるという。例えば、時速100km/hからわずか29.5mで停止できるのだ。

 

 

またエアロダイナミクスについては、フロントの大型スプリッターと拡張されたアクティブ・リア・ウィングが、カーボンファイバー製のフロア、ユニークなドア・ブレードやリアの拡張されたディフューザーと組み合わされたことにより、ダウンフォースが720Sに比べて25%増え、すでに秀でたエアロダイナミクス性能を新たな次元に引き上げている。

 

ロングテールのアクティブ・リア・ウィングを高位置に静止させることにより、ダウンフォースも向上し、エアブレーキの優れた機能性によって、急ブレーキ中もダイブ感が軽減される。これによって、フロント車軸のコンプライアンス特性が改善し、公道での走行がより快適になるそうだ。

 

 

「どのロングテールもとても特別なマクラーレンであり、デザイナーとエンジニアに、自分たちはこれ以上何ができるのか、自分たちはどこまで達成できるのかを自問させるマシン。765LTでは、このような問いかけから新しいカーボンファイバー技術が生まれ、大幅な重量削減、LT史上最大の出力とトルク、最速の加速、そしてトライバーとマシンとの高いレベルでの一体感を実現できた」と765LTのプログラム・マネージャーであるフィリポ・ダダモ氏はコメントしている。

 

765LTは全世界で765台の限定モデルで、2020年生産分はすでに完売しており、「日本でも多くのお客さまからオーダーをもらっている」と正本代表。12月から納入が開始される予定だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。