マクラーレンの中古車販売店が10月4日にオープンした。同販売店はマクラーレン・オートモーティブ・アジアの販売店、マクラーレン東京が東京・有明の東京テクニカルセンター内に新設したもので、名称は「マクラーレン クオリファイド東京」。世界初の認定中古車販売店だ。そこにはどんなマクラーレンの狙いがあるのか。(経済ジャーナリスト・山田清志)
自銘柄の代替えが増えて新たなフェーズに
有明水素ステーションのすぐ近くにあるマクラーレン クオリファイド東京は、湾曲した大きな窓を採用して非常に明るく、開放感ある8mの吹き抜けのエントランスと、2階にはソファやテーブルなどを置いたVIPルームがある。英国にある本社の雰囲気を取り入れ、マクラーレンの世界観を演出したそうだ。そして、敷地にはマクラーレンの中古車がズラリと並ぶ。
マクラーレンは現在、中・長期戦略「トラック25」を推進中で、積極的な新車攻勢をかけている。日本での販売も好調で、グローバルで米国、英国に次ぐ第3位のポジションに位置している。
「今年5月に国内の保有台数が1000台を超えるという節目を迎えた。そのなかで自銘柄の代替え、つまりマクラーレンからマクラーレンに乗り換えるお客さまが非常に増えている。
そこで、今までの新車中心のビジネスとともに、これからはお客さまのケアをより充実させるようなアフターサービス、さらには下取りとして入ってくる良質な中古車を新しいお客さまに提供する活動をもっと積極的に展開していくフェーズに入った」とマクラーレン・オートモーティブ・アジア日本支社代表の正本嘉宏氏は説明する。
これまでは代理店が認定中古車を買い取り、販売していたが、マクラーレン自身が中古車ビジネスを展開し、ユーザーを囲い込もうと考えたわけだ。しかも、マクラーレンの中古車販売は世界的にも増加傾向にある。
「昨年同時期と比べると、全世界で27%増、日本が属するアジアパシフィックに関しては48%増と大きく成長している新しい分野となっている」と正本氏。文字通り、中古車ビジネスを展開するにはうってつけの時が来たということだ。
単に整備するだけではマクラーレンの中古車とは呼ばない
もちろん、展開するからにはマクラーレンならではのサービスを用意する。正本氏によれば、マクラーレン クオリファイドには、大きなポイントは大きく3つという。まずは最高の車両品質、次に安心した保証内容、そして万一の時をカバーするためのロードアシスタンスだ。
特に最高の車両品質について、正本氏は「単に整備するだけではない」と強調し、「マクラーレンはレーシングコンストラクターから始まっているブランドであり、お客さまの中にも実際にサーキットを走るユーザーも多くいる。
ということは、一般的に整備をして販売するだけではダメで、マクラーレンらしい究極のセッティングをクオリファイドといえどもしなければいけない」と付け加える。
当然、その整備はマクラーレン・オートモーティブが主催するトレーニングを受けた認定メカニックが、基準に応じてしっかりと行う。そして補修パーツはすべて純正のものを使う。そのすべてをクリアして初めてマクラーレン クオリファイドと呼ばれる。通常の認定中古車とは違うというわけだ。
「これからグローバルでマクラーレン クオリファイドとブランドとして徹底して強化していく。今までマクラーレンにはちょっと近寄りがたかったという新しいお客さまにも、マクラーレンが自信を持って提供するマクラーレン クオリファイドを体験してもらいたい」と正本氏は話す。
また、マクラーレン東京CEOの川本錦一氏も「マクラーレン中古車ビジネスのリーダー的存在になるための責任感と期待感でいっぱい。世界から注目を浴びているので、中古車のクオリティと保証、安心のロードサービスのアシスタンスなどで、しっかりとマクラーレンビジネスに邁進していきたい」とその意気込みを述べた。
今年の販売台数が9月末時点で約300台と、昨年の販売台数225台を大きく超えてしまったマクラーレン。その新たな挑戦がこれから始まろうとしている。