英国マクラーレン・オートモーティブは4月26日、新型スーパーカーのマクラーレン「750S」を発表した。750Sは2017年に発売した「720S」の後継モデルで、4リッターV8ツインターボエンジンを搭載する。その最大出力は750ps、最大トルクは800Nmで、0~100km/h加速が2.8秒、0~200km/h加速が7.2秒、そして最高速度が332km/hを誇る。文字通り、“怪物マシン”と言っていいだろう。( 経済ジャーナリスト・山田清志 )
30%の部品を刷新・変更して30kgの軽量化
「非常に多くのドライバーからベンチマークと認められているモデルがある場合、さらに優れたものを生み出すためには、あらゆるディティールを検証し、さらなるレベルアップのために懸命に努力を重ねる必要がある。私たちはこの新750Sでそれを実行した。軽量さとV8エンジンのパフォーマンス、卓越した動的性能が組み合わされて、スーパーカーのドライビング・エクスペリエンスが新たな高みに到達し、真の高揚感を生む感情的な一体感が実現した」
マイケル・タイターズCEOがこう話している750Sは、先代モデルの720Sを徹底的に分析し、約30%のコンポーネントを刷新、または変更した。カーボンファイバー製モノコック構造を中核に軽量化を図り、720Sより重量を30kg削減。最軽量仕様の乾燥重量は1277kgと、競合モデルよりも193kg軽いという。
最大出力、最大トルクについても、720Sよりもそれぞれ30ps、30Nmアップ、7速トランスミッションも、加速を引き上げる最適なギアレシオに変更。その結果、0~100km/h加速を0.1秒短縮している。
さらに、720Sよりもフロント・トレッドを6mm拡大し、新サスペンション・ジオメトリーを採用することによって、フロントエンドのグリップが向上して、俊敏性でも先代モデルを上回っているという。また、750Sでは、ステアリング・レシオがさらにクイックになり、パワーアシスト用ポンプも新型になった。
インテリアはドライバーが中心になるように変更
750Sのインテリアについても、情報用と計器用のディスプレーをドライバー中心のデザインになるように変更した。インストゥルメント・ディスプレーはステアリング・コラムにマウントされ、これと一緒に動く。このドライバー重視のディスプレーを覆うビナクルには、パワートレインとハンドリングのモードを選択するスイッチが両サイドに配置されている。そのため、ドライバーはステアリングに手を置き、目に前の道路に集中したまま、アクティブ・ダイナミクスコンフォート、スポーツ、トラックの各設定に容易に変更できる。
もうひとつ750Sでは、マクラーレン・コントロール・ローンチャ(MCL)という新技術を搭載。これによって、ドライバーは、空力、ハンドリング、パワートレイン、トランスミッションの各設定から好みの組み合わせをつくり、自分だけの設定を記憶させて、MCLボタンを押すだけで、即座にその組み合わせを呼び出すことができるのだ。
ドライバーを支える新機能としては、アップル「CarPlay」をはじめ、急速充電が可能なUSB-CやUSB-Aのコネクターも装備、セントラル・インフォメーション・スクリーンも新しくなり、さらに豊かで詳細なグラフィックが楽しめるそうだ。リアビューカメラとサラウンドビューカメラもアップグレードされ、一層高解像度のクリアな映像となった。また、新ビークルリフト・システムでは、フロントを上昇させる所要時間が720Sの10秒から、わずか4秒に短縮された。
「われわれのチームが重点を置いたのは、750Sのパフォーマンスをありのままに体感してもらうこと。また、デザイナーたちも、ハイテクでドライバー中心というキャビンの設計に注力した。例えば、新たにステアリング・コラムにマウントされたインストゥルメント・ディスプレーや、そこに一体化されたアクティブ・ダイナミクス・コントロール、複数のHDディスプレーなどがすぐ目につく。それだけでなく、どこを見てもどこに触れても、750Sにはクラフトマンシップが息づいている」とチーフエンジニアのサンディー・ホルフォード氏はコメントしている。