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2023年9月14日【新型車】

マツダ、MX-30ロータリーEVを11月から発売

松下次男

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ロータリーエンジンを11年ぶりに復活させて発電機として使用

 

マツダは9月14日、ロータリーエンジンを発電機として使用したプラグインハイブリッド車(PHV)「MX-30 Rotary―EV(ロータリーイーブィ)」の予約販売を同日から開始したと発表した。11月から国内で発売する。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 

マツダが世界で初めて量産化に成功したロータリーエンジンを復活するのは11年ぶり。

 

オンラインで開いた新車発表会で国内営業担当の東堂一義執行役員はロータリーエンジンを復活した狙いについて「コンパクトなユニットを作るのに適したエンジンだ」と述べた。

 

新モデルの特色について上藤和佳子主査は「シリーズ式PHVで走る」ことと強調し、全てのシーンでモーターが駆動する。普段は電気自動車(EV)として使え、EVの使い方を拡張した新しい電動車と話す。

 

 

マツダ宇品第一工場から当面は日本・欧州に向けて出荷する

 

一充電当たりの当たりのEV走行距離は107キロメートル。調査によると、約9割のユーザーは日常の走行距離が100キロ以下とし、EV走行だけで多くの走行シーンをカバーする。「どのクルマよりもEVに近い」とアピールした。

 

車両は広島(宇品第一工場・広島県南区)で生産し、生産能力は年産約2万台。当面、販売市場はすでに先行予約と始めている欧州と日本のみとし、日本での販売は月間300台を計画する。

 

MX-30は、マツダの電動化を主導するモデルとして開発し、これまでにバッテリーEVとマイルドハイブリッドモデルを国内に導入済みだ。

 

 

マツダは車両電動化について完全にEVに移行するまでにはまだ時間がかかると見ており、しばらくは各市場のエネルギ事情に応じてマルチパスウエイで展開する考え。

 

ロータリー高出力化の鍵となったのは燃料噴射を直噴化したこと

 

その一つとしてPHVモデルを追加、投入することにしたもので、その発電用にロータリーエンジンを採用。ロータリーエンジンはコンパクトにユニット化できるのが特色で、小型車のハイブリッド化に適したエンジンという。

 

2012年の量産終了後もロータリーエンジンの開発は継続しており、今回のPHVモデルに搭載したロータリーエンジンは1から設計し、鋳鉄製だったサイドハウジングをアルミ化するなどで高出力で、より小型化を実現した。

 

 

その高出力化の鍵となったのは、燃料供給を直噴化したこと。しかしレシプロエンジンの直噴化とは異なり、三角形状の燃焼室容量が変化しつつ順次移動してサイクルが進むロータリーエンジンでの直噴化は簡単なことではなかった。

 

ロータリー・パワートレインの開発に取り組んだ富澤和廣エンジン主査によると、多くの試作ユニットを試作して最も燃焼効率が高いものを探し出す試行錯誤は困難を極めたという。結果、採用したロータリーエンジン(型式:8C)は旧来の13B-MSP(RENESIS型)とトロコイド寸法(ローターの円周運動が描く曲線形)自体も全く異なる0・830リットル、水冷1ローターで、ハイブリッド燃料消費量は1キロリットル当たり15・4キロ(WLTCモード)。

 

年間生産台数は2万台、価格は423万円とBEVより抑える

 

モーターは最高出力が125キロワット、最大トルクが260ニュートンメートル。ここで過去を振り返ると、そもそもMX−30EVのエンジンルームには、不思議な程の空間的余裕が残されていたが、丁度、そこに発電機と同軸で繫がるロータリーエンジンを組み込み、土井純一電気駆動主査によると極めてコンパクトな設計とした駆動用モーターに電力を供給する仕組みとなっている。

 

 

ちなみに搭載される燃料タンクは50リットル。これによりロータリーエンジンで発電した電力を貯めていくシリーズ式プラグインハイブリッドとなっているため、充電の不安なく長距離ドライブが可な仕様に纏め上げた。

 

 

また、用途に合わせて使い分けられる2種類のAC電源を設置しており、アウトドアで家電製品が使用できる。災害時には、17・8キロワットアワーのバッテリー満充電と燃料タンク満タンのロータリーエンジンの発電を組み合わせれば、約9・1日分の電力供給が可能だ。

希望小売価格は423万5000円~491万7000円。バッテリーを小さくすることで、バッテリーEVモデルに比べて価格を抑えた。

 

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。