マツダはこのほど報道陣向けに国内販売についての事業説明会を開催した。その中で国内営業部門を担当する福原和幸常務執行役員は国内向けの車名を海外で使用している車名に統一すると明らかにした。
具体的には5月に全面改良した「アクセラ」を「MAZDA3」に変更したのに続き、7月4日に受注を開始した「アテンザ」を「MAZDA6」、近日発表予定の「デミオ」を「MAZDA2」という具合に、海外で使用している英数字を組み合わせた名称に変更する。ただ、「ロードスター」については、財産ということで例外扱いをして今後も継続していく方針だ。
「われわれは2012年からいろいろな取り組みをしていて、それが少し軌道に乗ってきたと思っている。7世代製品がMAZDA3から始まったのを機にわれわれは次のステージに行きたいと考えている。それを一言で言うと、個別製品で選ばれるのではなく、マツダというブランドで選ばれ続けたいということだ」と福原常務執行役員は説明し、こう付け加える。
「車名の変更については社内でもいろいろと議論をしたし調査もした。われわれがCX-5を出して以降、CX-3、8を出して、それが定着していったおかげかもしれないが、車名に対してはお客さまの抵抗もないという結果が出た。それでアクセラ、アテンザといった車名を変更することにした」
マツダは今年度から2024年度までの中期経営方針で「『人と共に創る』マツダの独自性」をスローガンに掲げ、ブランド力の強化を最重要視している。国内での車名の変更もその一環だが、それに合わせてクルマの改良も年次ごとに行っていく。
というのも、安全技術やコネクティッド関連の技術は日々進化しており、3年もすれば陳腐化してしまう。そこで年次改良をすることによって、最新の安全技術やコネクティッド技術を搭載してお客に選ばれる存在になろうというわけだ。その結果がすでに出ているそうで、マツダ車からマツダ車へ5年以内に乗り換えるユーザーの割合が55%にのぼっているとのことだ。
また、販売店についても、7月中旬に連結会社の関東マツダの本社である板橋店を全面改装してオープンする。都内では洗足店、目黒碑文谷店、高田名馬場展に続く4番目となるブランド発信店舗で、都心でのプレゼンスを高め、情報発信の場所として活用していく。
「販売店については今後、30年で全面建て替え、10年で大型改装、5年でリフレッシュ改装していく。一時期にすべてを新しくすると、販売会社の負担も大変だし、老朽化するタイミングも同じになるので、それを平準化して絶えず最新の店舗にしていきたい」と福原常務執行役員は話す。
そこで働く職場環境も変えていく。これまでは個人のコミッションセールス中心だったが、それを改めてチームで販売していく。もちろん人事制度改革も行い、固定給の引き上げをはじめ、業務の標準化・平準化、システムサポートによって効率化し、接客・研修時間を捻出してやりがいのある魅力的な職場にしていく。
このように、マツダはブランド力の一層の強化に向けてさまざまな取り組みを行っている。あとはこの取り組みがいかに収益に結びつき、低い営業利益率が改善されるかが注目される。(経済ジャーナリスト・山田清志)