マツダは9月20日、新型クロスオーバーSUV「マツダ CX-30」の予約受注を同日から開始したと発表した。丸本明社長兼CEO(最高経営責任者)は東京都内で開いた新車発表会で「世界的にSUVシフトが進んでおり、新たなクルマを投入することで、より成長できるだろう」と述べ、CX-30の拡販に期待感を示した。日本では10月24日から順次、販売を開始し、月間2500台の販売を目指す。(佃モビリティ総研・松下 次男)
日本に続きメキシコ工場で生産。他の海外拠点でも生産に乗り出す考え
CX-30はマツダ-3に続く、新世代商品群の第2弾。グローバルで拡大するSUV市場を見据え、新たにラインアップしたもので、日本に続きこの9月からメキシコ工場で生産を開始し、さらに将来的に他の海外拠点でも生産に乗り出す考えを明らかにした。
マツダはコンパクト、ミドルクラスのSUVシリーズとしてすでにCX-3、CX-5を市場投入しているが、今回のCX-30はこの中間に位置する。このため、カニバリズムの懸念もなくはないが、丸本社長は「競合というより、成長できるクルマだ」と強調。車格、デザインコンセプトで上級感を打ち出し、プレミアムブランドなどに対抗する。
丸本社長は世界の新車市場について「SUVシフトは米国市場だけではない、欧州、オーストラリア、さらに中国でも進んでおり、グローバルで拡大している市場だ」との見方を示した。このため、CX-30を投入することで、SUVのラインアップが一段と充実し、アジア新興国を含めたグローバル市場で拡販、成長できるとした。
米国では販売店への誘引を愚直に進めていくことが大切。地域改善を継続していく
新型CX-30は、新世代車両構造技術「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー」を採用することにより、人間の感覚にフィットした乗り心地と操縦安定などを実現。また、パワートレインには2リッター新世代ガソリンエンジンの「スカイアクティブ-X 2・0」、2リッター直列4気筒ガソリンエンジン「スカイアクティブ-G 2・0」、1・8リッター直列4気筒直噴クリーンディーゼルエンジン「スカイアクティブ-D 1・8」の3タイプを設定した。
さらに全輪駆動車(AWD)には進化した「オフロード・トラクション・アシスト」機能を採用し、様々な路面環境で安心、安全の走りを提供する。わき見や居眠りを検知し警告するなどの予防安全でも最新技術を搭載。コネクテッドサービスでは、全機種に車載通信機を標準設定し、スマートフォンとの連携や緊急通報サービスに対応する。
丸本社長はCX-30を含めたマツダの事業展開について「日本では現在2万台のオーダーがあるなど、日本とメキシコではほぼ予定通りの進捗だ。オーストラリア、欧州もほぼ計画並みに推移している」と述べ、一部報道で流された苦戦報道を否定した。
ただ、北米市場については全需が落ち込んでいることもあり、引き続き課題市場に掲げた。このため、米国では基本に返り「販売店に来てもらい、クルマに触って確かめてもらうこと。これを愚直に進めていくことが大切だ」と述べ、改善を継続していく考えを示した。
CX-30の国内販売は2リッターガソリンエンジン搭載車と1・8リッタークリーンディーゼルエンジン搭載車については10月24日から。新世代エンジン「スカイアクティブ-X 2・0」搭載車は2020年1月以降の販売予定だ。希望小売価格(消費税10%込み)は239万2500円~371万3600円。