大幅改良の狙いは先進安全機能など「電気電子プラットフォームの全面刷新」
マツダは10月5日、小型オープンスポーツカーの「ロードスター」を大幅商品改良し、同日から予約を開始したと発表した。発売は2024年1月中旬を予定。商品開発本部の齋藤茂樹主査はオンライン商品説明会で大幅改良の狙いについて先進安全機能など「電気電子プラットフォームの全面刷新」を掲げた。(佃モビリティ総研・松下次男)
ロードスターは1989年の発売以降、長く人気を続けるモデルだ。現行モデルは4代目。2015年に発売し、これまでに国内で類型約5・6万台販売した。
通常、スポーツカーは新車投入後、2年目がピークとなるが、4代目ロードスターは投入後7年目で反転、拡大し、8年目の「昨年、過去最高の販売台数を達成した」と国内商品マーケティング部の大関卓也氏は話す。
要因について、大関氏はコロナ禍で「移動手段が変化した」ことやロードスターは毎年、継続進化を続ける中、軽量化を追求した特別仕様車の「990S」が人気となったためと分析した。
コネクティッドの進化や人馬一体の走りを進化させる性能進化にも腐心
ちなみにロードスターはこれまでにグローバルで約190万台、国内で約22万台販売する。最大市場は北米で、続いて欧州、日本となっており、この3市場で97%を占める。
今回、大幅商品改良したの「ロードスター(ソフトトップモデル)」、「マツダ ロードスターRF(リトラクタブルハードトップモデル)」。齋藤主査はロードスターの大幅改良の目的について3点を掲げた。
一つ目が先進安全技術およびコネクティッドの進化。二つ目が「人馬一体の走りを進化させるためのダイナミック性能」の進化。そして最後がデザインの進化だ。
現行ロードスターは今年で9年目に入るが、自動車を取り巻く環境は大きく変化しており、「より安全に、より環境に優しい」性能が求められ、ロードスターも例外でないという。国際基準への対応も求められている。
そこで電気電子プラットフォームを全面刷新。定速走行や車間距離を保つレーダー・クルーズ・コントロース(MRCC)や後退時検知機能のスマート・ブレーキ・サポート(SBS―RC)をロードスターに初採用し、先進安全技術を進化させた。
デファレンシャルギヤの差動制限力の変化で旋回挙動も安定させる
コネクティッドも刷新。画面の縁部分をできるだけ狭くしたフレームレス構造を初採用したほか、スマートフォンからアプリを通じて車の状態を確認し、万が一の事故の際には自動で救急車を手配するコネクティッドサービスを搭載する。
先進安全機能を今回、一新したことについて齋藤主査はクルマの構造上、従来の機能では搭載が難しかったが、「先進安全機能が進化したことで実現できた」と話す。
この結果、今回の改良は4代目ロードスターで最大の商品改良となったという。
ダイナミクス性能では、加速・減速時のデファレンシャルギヤの差動制限力を変化させることでクルマの旋回挙動を安定させる新開発のアシンメトリックLSDを採用。1・5リットルエンジンも出力を3キロワット向上した。
これにより電動パワーステアリングおよびエンジンパフォーマンスフィールの進化とあわせ、リニアで軽快な走りに磨きがかかったとした。
デザイン面ではランプ類をLED化し、ホイールデザインを一新。ヘッドランプはデイタイムランニングライトへと変更し、スピード感やライトウエイトスポーツカーらしさを表現させている。
ストイックな走りはSシリーズに託し、同車ならではのDNAは残す
ホイールは、中央から周辺へまっすぐに伸びたスポークが車軸からタイヤに動力を確実に伝えるようなデザインを採用。これによりスポーツカーとしての力強さや精緻さを表現させたとしている。
ボディカラーではソリッドカラーのような鮮やかさとメタリックカラーならではの陰影感をバランスさせた「エアログレーメタリック」を新たに追加した。
今回の大幅商品改良にあわせて「ロードスターS レザーパッケージ V セレクション」が追加された。特別仕様車の990Sは廃止されており、齋藤主査は同等のグレードとしてSシリーズを推奨した。
車両価格(諸費税込み)はロードスター(ソフトトップモデル)が289万8500円~367万9500円。ロードスターRF(リトラクタブルハードトップモデル)が379万6100円~430万8700円。旧価格に比べて20万円から30万円強値上げされている。