マツダが9月下旬から予約受注をはじめた新世代商品第2弾の新型SUV「マツダ CX-30」が快調な滑り出しを見せている。拡大する国内SUV市場を追い風に、ブランド入り口のエントリー層から高評価を獲得し、計画を上回る受注水準が続く。実際に市街地で試乗してみたが、コンパクトカー並みの取り回しの良さを感じ、室内空間もユーザーターゲットとするヤングファミリー層ならば十分、納得感が得られる広さだ。(佃モビリティ総研・松下 次男)
エントリカーでもSUVの選択枝が増えるなど拡大する国内市場が追い風
CX-30はまず10月24日から2リッター直列4気筒ガソリンエンジン「スカイアクティブ-G 2・0」と1・8リッター直列4気筒直噴クリーンディーゼルエンジン「スカイアクティブ-D 1・8」クリーンディーゼルを搭載車の2タイプを発売した。さらに2020年1月下旬に2リッター新世代ガソリンエンジンの「スカイアクティブ-X 2・0」搭載車を販売する。
マツダはスカイアクティブ・テクノロジーを第2世代へと進化させており、その新世代商品の第1弾が今春発売した「マツダ3」。CX-30はこのマツダ3とプラットフォームを共有する最初のクロスオーバーSUVである。
ここまでのCX―30の受注傾向をみると、ディーゼル車、ガソリン車の比率が半々で、販売台数は計画を上回る好調な滑り出し。背景に、国内のSUV市場が伸び続けていることがある。セダンやミニバンの縮小傾向が続くなか、SUV構成比はこの直近9年間で2・5倍へと増加しており、登録車の全セグメントのうち小型ハッチバックに次ぐ2位の市場規模へと拡大。
加えて、いまやSUVはオフロードなどの特別な乗り物でなく、市街地走行で使うクルマとして普通に選ばれるなど選択肢が広がっている。実際に、初めてクルマを所有するユーザー層でもSUVを選択する比率が高まってきた。
スカイアクティブ‐D搭載車の国内販売累計は2019年9月末で50万台に到達
CX-30はこうしたSUVのエントリー層をターゲットに市場へ投入した。佐賀尚人主査は「従来のSUVはデザイン満足度と空間満足度がトレードオフの関係だったが、CX-30はこれをブレークスルーし、両方の満足度をともに高めた」と強調し、市街地でも扱いやすいクルマへの仕上がりに自信を示していた。
現実に、CX-30購入者の下取り車をみると、幅広いセグメントから流入しており、半分はマツダ車からだが、それ以外に他銘柄車からの乗り換え、新規・増車の受注が半分を占めている。他銘柄車の下取り車トップスリーは、国産中型セダン(HEV)、国産小型ハッチバック、国産中型セダンの順。マツダ車の下取り車では、CX-3、CX-5からの乗り換えが多い。
ユーザーから声としては「デザインが美しい」「キレイなSUVでサイズ感もちょうど良い」「一番びっくりしたのは室内空間の静粛性」などの評価が聞かれたという。
ヤングファミリー層から好反応、1月下旬発売のスカイアクティブ‐Xにも期待
実際に、クリーンディーゼル車を試乗してみたが、エンジン音や振動はほとんど気にならず、室内の静粛性には驚かされた。このため、一度マツダのスカアクティブ‐Dのクリーンディーゼル車に乗ったユーザーは、再度、スカイアクティブ‐D搭載車を購入する比率が高いというのにもうなずく。
また、マツダを筆頭にSUVの投入車種が増えるのに伴って、わが国のクリーンディーゼル車比率は年々高まっている。スカイアクティブ‐D搭載車の国内販売累計は2019年9月末で50万台に達した。
室内空間やラゲッジスペースの比較では、ミドルクラスSUVのCX-5に比べるとやや手狭感が否めないが、ターゲットとする小家族のヤングファミリー層やクルマのエントリー層には全く問題ない広さといえるだろう。
先進安全技術やマツダ・コネクトも標準装備し、快適な車内空間が過ごせ、様々なシーで楽しめるクルマだ。20年1月末には革新的な燃焼制御技術「火花点火制御圧縮着火」を採用したスカイアクティブ-X搭載車が投入される。燃費性能が向上したマイルドハイブリッド車もあり、CX-30の拡販が一段と期待されそうだ。