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2019年11月28日【トピックス】

マツダCX-30快調な滑り出し、市街地でも扱いやすく

松下次男

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 マツダが9月下旬から予約受注をはじめた新世代商品第2弾の新型SUV「マツダ CX-30」が快調な滑り出しを見せている。拡大する国内SUV市場を追い風に、ブランド入り口のエントリー層から高評価を獲得し、計画を上回る受注水準が続く。実際に市街地で試乗してみたが、コンパクトカー並みの取り回しの良さを感じ、室内空間もユーザーターゲットとするヤングファミリー層ならば十分、納得感が得られる広さだ。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

 

エントリカーでもSUVの選択枝が増えるなど拡大する国内市場が追い風

 

 CX-30はまず10月24日から2リッター直列4気筒ガソリンエンジン「スカイアクティブ-G 2・0」と1・8リッター直列4気筒直噴クリーンディーゼルエンジン「スカイアクティブ-D 1・8」クリーンディーゼルを搭載車の2タイプを発売した。さらに2020年1月下旬に2リッター新世代ガソリンエンジンの「スカイアクティブ-X 2・0」搭載車を販売する。

 

マツダはスカイアクティブ・テクノロジーを第2世代へと進化させており、その新世代商品の第1弾が今春発売した「マツダ3」。CX-30はこのマツダ3とプラットフォームを共有する最初のクロスオーバーSUVである。

 

写真はMAZDAのCX-3からCX-8までの国内CXシリーズラインナップ。利活用毎に求められるサイズ毎、利用シーン毎に細やかなタイプが用意された。このため、この種のSUV車を希望する消費者層の全てのニーズを満たすフルラインナップ体制が構築される結果となった。

写真はMAZDAのCX-3からCX-8までの国内CXシリーズラインナップ。利活用毎に求められるサイズ毎、利用シーン毎に細やかなタイプが用意された。このため、この種のSUV車を希望する消費者層の全てのニーズを満たすフルラインナップ体制が構築される結果となった。

 

ここまでのCX―30の受注傾向をみると、ディーゼル車、ガソリン車の比率が半々で、販売台数は計画を上回る好調な滑り出し。背景に、国内のSUV市場が伸び続けていることがある。セダンやミニバンの縮小傾向が続くなか、SUV構成比はこの直近9年間で2・5倍へと増加しており、登録車の全セグメントのうち小型ハッチバックに次ぐ2位の市場規模へと拡大。

 

加えて、いまやSUVはオフロードなどの特別な乗り物でなく、市街地走行で使うクルマとして普通に選ばれるなど選択肢が広がっている。実際に、初めてクルマを所有するユーザー層でもSUVを選択する比率が高まってきた。

 

 

スカイアクティブ‐D搭載車の国内販売累計は2019年9月末で50万台に到達

 

 CX-30はこうしたSUVのエントリー層をターゲットに市場へ投入した。佐賀尚人主査は「従来のSUVはデザイン満足度と空間満足度がトレードオフの関係だったが、CX-30はこれをブレークスルーし、両方の満足度をともに高めた」と強調し、市街地でも扱いやすいクルマへの仕上がりに自信を示していた。

 

 現実に、CX-30購入者の下取り車をみると、幅広いセグメントから流入しており、半分はマツダ車からだが、それ以外に他銘柄車からの乗り換え、新規・増車の受注が半分を占めている。他銘柄車の下取り車トップスリーは、国産中型セダン(HEV)、国産小型ハッチバック、国産中型セダンの順。マツダ車の下取り車では、CX-3、CX-5からの乗り換えが多い。

 

 ユーザーから声としては「デザインが美しい」「キレイなSUVでサイズ感もちょうど良い」「一番びっくりしたのは室内空間の静粛性」などの評価が聞かれたという。

 

 

ヤングファミリー層から好反応、1月下旬発売のスカイアクティブ‐Xにも期待

 

 実際に、クリーンディーゼル車を試乗してみたが、エンジン音や振動はほとんど気にならず、室内の静粛性には驚かされた。このため、一度マツダのスカアクティブ‐Dのクリーンディーゼル車に乗ったユーザーは、再度、スカイアクティブ‐D搭載車を購入する比率が高いというのにもうなずく。

 

大型のゴルフバックを載せるには、後席の非対称可倒式のシートを利用しなければならないが、日常の生活環境や旅行程度であれば、高さ方向の余裕があるため、かなりの容積の荷物も飲み込む

大型のゴルフバックを載せるには、後席の可倒式のシートを利用しなければならないが、日常の生活環境や旅行程度であれば、高さ方向の余裕があるため、かなりの容積の荷物も飲み込む

 

また、マツダを筆頭にSUVの投入車種が増えるのに伴って、わが国のクリーンディーゼル車比率は年々高まっている。スカイアクティブ‐D搭載車の国内販売累計は2019年9月末で50万台に達した。
 室内空間やラゲッジスペースの比較では、ミドルクラスSUVのCX-5に比べるとやや手狭感が否めないが、ターゲットとする小家族のヤングファミリー層やクルマのエントリー層には全く問題ない広さといえるだろう。

 

 

 先進安全技術やマツダ・コネクトも標準装備し、快適な車内空間が過ごせ、様々なシーで楽しめるクルマだ。20年1月末には革新的な燃焼制御技術「火花点火制御圧縮着火」を採用したスカイアクティブ-X搭載車が投入される。燃費性能が向上したマイルドハイブリッド車もあり、CX-30の拡販が一段と期待されそうだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。