EV移行期における内燃機関の高効率化で環境低減に貢献
マツダは新シリーズのラージ商品群の技術情報を公開し、その第一弾となるクロスオーバーSUV「CX―60」の日本仕様を4月7日、発表した。ラージ商品群は直列6気筒エンジンやPHEV(プラグインハイブリッド)、多段変速機などで構成されるマツダの上級車シリーズ。CX―60は今年初秋に発売する。(佃モビリティ総研・松下次男)
ラージ商品群技術フォーラムと題し、オンラインで記者会見した廣瀬一郎専務執行役員は世界的にEV(電気自動車)化の動きが加速する中で内燃機関によるラージ商品群を投入することについて「電動化への移行期は、多様な商品が混在し、内燃機関の高効率化追求は脱炭素化に寄与する」とその意義を強調した。
公表したラージ商品群のパワートレインは直列6気筒エンジンや48ボルト(V)マイルドハイブリッド、それにマツダ初となる直列4気筒エンジンと組み合わせてPHEV(プラグインハイブリッド車)などで構成される。
排気量、気筒数の増加で、エンジン燃焼を効率化、上級志向にも対応
廣瀬専務は「世界的にEVへの移行が進む中にあっても克服すべき課題は多く、一方で、内燃機関は残り、カーボンニュートラル液体燃料、バイオ燃料などの選択肢も現実のものとして十分、考えられる」としたうえで、「内燃機関を効率面でゴールといえるところまで進化させたい」と話す。
このため、排気量、気筒数を増やすことでエンジンの高効率化を実現し、ラージ商品群に向けて開発中の3・3リットル直列6気筒ディーゼルエンジンはカーボンニュートラル燃料、バイオ燃料にも対応する。
これに8速AT(変速機)との組み合わせやマイルドハイブリッド、PHEVなどのマルチソリューションを用意し、脱炭素化に貢献したいとしていた。実際、ラージ商品群の燃費は従来のスモール商品群に上位クラスに匹敵するという。
引き続きCX-70、80、90の商品展開を計画
開発に当たっては、ビルトインブロック構想、モベルベース開発などこれまで培って手法やソフトウエアファーストを活用することで、多様な商品群を一括で開発し、開発費は前世代比25%低減できるとした。
ラージ商品群の商品構成はCX-60を皮切りに、SUVのCX-70、80、90などをシリーズ化する計画だ。
商品の特色は、エンジン、モーター、トランスミッションを同軸上に置くとともに、縦置きエンジン、後輪駆動方式の4輪駆動方式などを採用。これによりバランスの良い重力配分が可能になるうえ、レイアウトの応用性が広がるとしていた。
ラージ商品群の第一弾のCXー60を公表。今年初秋に発売
そのラージ商品群の第一弾となるのがクロスオーバーSUVのCX-60。欧州向けに続き、4月7日に日本仕様をプレミアした。
CX-60日本仕様は「ドライビングエンターテイメントSUV」をコンセプトに、2列シートミッドサイズSUVとして発売する。
パワートレインは2・5リットルガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせたマツダ初のプラグインハイブリッドシステム「e―スカイアクティブ PHEV」、直列6気筒ディーゼルエンジンに電動化を組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステム「e―スカイアクティブ D」。
それに高出力化をクリーンな排ガス性能を同時に実現した直列6気筒ディーゼルエンジン「スカイアクティブ―D 3・3」、2・5リットルガソリンエンジン「スカイアクティブ―G 2・5」の4タイプを用意する。
販売目標や価格については、明言しなかった
さらにドライバーの異常を検知し、事故回避や被害軽減を支援する「ドライバー異常時対応システム(DEA)を初採用する。
車両サイズは、全長4740ミリメートル、全幅1890ミリメートル、全高1685ミリメートル、ホイールベース2870ミリメートルの大きさ。
ラージ商品群の第一弾をSUVで出すことについては「世界的にSUV市場が大きく伸びている」ことや「国内でこのクラスのSUVが少ない」ことなどを要因に掲げた。
販売目標や価格については、「発売時期に公表する」として明言しなかったが、マツダ車からの「上級志向も少なくない」など同一銘柄のほか、上級クラスの他銘柄、輸入車からの乗り換えを期待する。