米フォード・モーター・カンパニー(Ford Motor Company、本社:米国・ミシガン州ディアボーン、CEO:ジム・ハケット)は米国時間の7月20日、半導体大手でインテル傘下のモービルアイ(Mobileye、本社:イスラエル エルサレム、CEO:Amnon Shashua)からフォードへのADAS(ドライバー向け支援システム)供給で大型契約を交わしたと発表した。(坂上 賢治)
そもそもモービルアイとフォードは、Fordの車種ラインナップ全域でドライバー向けのアシスタンスシステム開発で協力しあってきた。これを踏まえ今回モービルアイは、ADAS用のビジョンセンシング技術を投入したEyeQチップを踏査した製品を提供する。
ちなみに、このEyeQチップは1999年にモービルアイを創立したイスラエル・ヘブライ大学のアムノン・シャシュア教授(Amnon Shashua)がソフトとカメラのみを用いたアルゴリズム処理で車両を検知する視覚システムを開発したことに端を発するもの。
同社はこの画像処理アルゴリズムを実用レベルまで発展させた後に組み込んだEyeQチップを完成させ、これにソフトウエアを組み合わせたOEM製品(original equipment manufacturer)を発表。
事実上、実用的な自動運転車向けADASとしての世界初の製品となったEyeQチップとそのソフトウエアは、GM、BMW、Volvo、さらに日本の日産にも自動運転レベル2の製品化するキーデバイスとしてある意味、一世を風靡した。
モービルアイは2006年、フィリピンで独自でアフターマーケット向け部門を立ち上げ、各国のディストリビューターを介してトラックやバスなどコマーシャル・ビークルに積極展開を図る他、世界の乗用車メーカーとの連携も続けている。
今回彼らモービルアイは、親会社インテルと共に改良を重ねてきた自動運転レベル1並びにレベル2をクリアするADASをフォードに対して大量提供していく。
そのユニットにはカメラからの検出機能を一層改良し、速度差を伴って検出される車両・歩行者・自転車などを把握。前方衝突警告を含むカメラが把握する周囲360度のサポート、ハイビームの防眩を自動切り替えする機能、さらにアダプティブクルーズコントロールやレーンキーピング機能などのセンシング技術のシステムスイート(詰め合わせパッケージ)を提供する。
これにより搭載対象となるフォード車のなかで、レベル1システムの搭載モデルはステアリング操舵や加速・減速などでの一部機能が実現され、レベル2システム搭載モデルはステアリング操舵と加速・減速機能に於ける多くの機能が自動化される。但しいずれもドライバーが車両の動きを監視する必要がある。
製品提供についてモービルアイCEOのアムノンシャシュア教授は「ADASのスイートパッケージをフォードのフルラインナップ車両に向けて投入していくべく今後、フォードと緊密に協力していくことを楽しみにしています」と話している。