トヨタ自動車傘下のレクサス(LEXUS)ブランドは、中国・広州で11月22日(金)~12月1日(日)まで開催予定の広州モーターショー(*)に於いて、LEXUS初の電気自動車(EV)市販モデルとなる「UX300e」を、世界初公開した。
UX300eの発売は2020年以降の時期を想定。販売地域としては中国や欧州などで順次展開され、現段階で日本へは2021年前半の投入が予定されている。
レクサスブランドは、そもそも2019年の東京モーターショーで電動化ビジョン「Lexus Electrified」を発表。この「Lexus Electrified」では、ハイブリッド技術で培ったモーター制御技術を軸に、パワートレーン・ステアリング・サスペンション・ブレーキなどのバランスをモーター動力の特性に合わせてチューニング。モーター動力独特のトルクの立ち上がりに配慮して駆動系をチューニングさせたとしていた。
対して今回の市販版となる「UX300e」では、搭載モーターに150kW(204PS)/300Nmの「4KM」型を正式搭載。これで前輪を駆動するオーソドックスな仕様とした。ドライビング時の姿勢制御については、EVならではの一定の力強さを維持しつつも、あえて緩やかな出力特性のピュア電動車とすることで、通常仕様のガソリン/ハイブリッドユニット搭載車とは異なるバランス取りを行っており、運転時の安定感と安心感の醸成に腐心したようだ。
特に回生ブレーキは、モーター走行のみとなるフルEVとしての強みを活かし「UX250h」などの既存のハイブリッドシステム「THS II」で採用しているECBよりも洗練度を高めた。結果、ペダル操作感を変えることなく停止直前までは回生ブレーキを働かせることができるというガソリン/ハイブリッドユニットなどからの乗り換えに気遣った設定となっている。但し減速中に回生が効くことに関しては有益に使われているから、ガソリン/ハイブリッドユニット搭載車よりはエネルギー回収率を高められる一因となる。従って一充電あたりの蓄電容量の維持には充分に貢献する。
レクサス初のEV市販モデルとなったUX300eは、トヨタブランドのC-HRと共通で既存エンジン搭載車やハイブリッド車と同じGA-Cプラットフォームがベース。これにコンパクトクロスオーバーのプレミア車に相応しいボディデザインや、利便性、取り回しのしやすさを継承。レクサスブランドならではのEVとして独自のテイストを追求したとしている。
動力性能面では先の通りで、自然な加減速フィールと高出力モーターによる加速性能の良さを両立させたとしており、パワー系ユニット類は物理的にプラットフォーム床面のほぼセンター付近、かつホイールベースの間に、リチウムイオンバッテリーのユニットを並べて配置した。
ボディコンストラクションという見方では、54.3kWhもの大容量のバッテリーを搭載しているため、車体下部に補強用のブレースを複数追加。その上でサスペンションの取り付け部分の剛性も高めている。フル充電した際の走行距離は400km(NEDC計測値)だ。なお同一ブランド・同一車種のエンジン車やハイブリッド車に比べ、腰上の重量物が相対的に低位置となることから走行時の安定感が高まる結果となっている。
なお実走行時には、ドライバーに対してEVらしい手応えを提供するべく、「ASC(アクティブサウンドコントロール)」と同社が名付けた疑似音をスピーカーを介して演出。運転時の愉しさの提供を狙っている。
[以下はレクサスブランド自身が謳う主な特長]
レクサスのEVならではの上質な走り・静粛性を追求
・ドライバーの意図に忠実な滑らかな加速フィーリングを追求。ドライブモード選択で、EVならではの力強い加速フィーリングも楽しめる。さらに、パドルシフトで減速度を4段階から選択することで、ガソリン車のエンジンブレーキと同様の減速操作も可能。
・モーターやバッテリーを車体下部へ配置して重心を低くしたほか、前後重量配分や慣性モーメントの最適化などを施し、優れた運動性能を実現。
・GA-Cプラットフォームの基本性能をさらに磨き上げるべく、ブレースの追加やショックアブソーバーの減衰力最適化など、EV化による運動特性の変化に合わせ、細部に至るまでチューニングを実施。
・EVならではの優れた静粛性をさらに高めるべく、床下バッテリーに遮音壁としての機能を持たせたほか、エンジンやトランスミッションの音がないゆえに聞こえる風切り音や小石・砂などの巻き上げ音にも配慮。
・アクティブサウンドコントロール(ASC)を採用し、車両の走行状況を感じられるドライビング環境を実現。
ハイブリッドで培った電動化技術を進化
・大容量バッテリーを採用したほか、ハイブリッド車で培ったモーター、インバーター、ギヤ、バッテリーといった主要装備の効率を最大化。システム全体としての性能向上を図ることで、航続距離400kmを確保。
・低温/高温下でも正常に動作するようバッテリーに温度調整機能を備えるほか、過充電防止システムや、多重監視のセーフネットにより、高い信頼性を実現。
・最新のコネクティッド技術を採用。専用アプリによるスマートフォンとの連携で、バッテリー残量や走行可能距離表示、充電の必要があるかを確認できる。また、充電完了までの時間の把握や、充電タイマーの設定も可能。さらに車外からエアコンやシートヒーター、デフロスターなどの稼働もできる。
[モーター主要諸元]
[UX300e バッテリー主要諸元]
*NEDCで計測した数値。走行条件によって異なる。
デザインと機能性
・UXのデザインや機能性を継承し、優れたパッケージングを実現。タフな力強さと俊敏な走りを想起させるエクステリアに加え、優れた空力性能を確保するために専用ホイールや床下空力カバーを新開発。
・インテリアは、シフトバイワイヤを採用したセンターコンソールなど、すっきりとした操作系を実現。
・先進安全技術として、予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」を採用したほか、運転支援時にドライバーにとって自然で、安心感のある車両挙動を追求。
*:正式名称は「Guangzhou International Automobile Exhibition」(プレスデ-:11月22日、特別招待日:11月23日~11月24日、一般公開日:11月25日~12月1日)。