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2023年3月30日【一部改良】

レクサス、バッテリーEV「UX300e」を一部改良

NEXT MOBILITY編集部

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トヨタ自動車傘下のレクサス(LEXUS)ブランドは3月30日、バッテリー式電気自動車(以下、BEV)の「UX300e」を一部改良し、全国のレクサス店を通じて、同日発売したと発表した。価格(税込み)は630万円から。

2018年にレクサスのラインアップに加わった「UX  」は、“クリエイディブ・アーバン・エクスプローラ(Creative Urban Explorer)”をコンセプトに、新たなライフスタイルを探求するきっかけ(CUE:キュー)となることを目指した都会派コンパクトクロスオーバー。

 

そのBEVモデルとなるUX300eは、レクサスの電動化ビジョン“レクサス・エレクトリファイド(Lexus Electrified)”のドアオープナーとして、2020年にブランド初のBEVモデルとして誕生。個性的なデザインと取り回しに優れたボディサイズに加え、BEVならではの走りと静粛性が好評を得て、世界シリーズ累計販売(約28万台/2023年2月末時点)に占める電動化率は約80%に。BEV専用モデルの「RZ」と共に、レクサスの電動車の普及をグローバルで後押しする一台となっていると云う。

 

 

今回の一部改良では、シリーズ全体を通して実施された走りの味の深化や予防安全技術の機能拡充、先進装備の進化に加え、新開発の電池パックの導入により、電池容量を54.4kWhから72.8kWhに増強。航続距離を512km(*1)(従来型比+約40%)に伸長させる等、基本性能の進化が図られた。

 

走りの味の深化に於いては、リヤに標準装備の「パフォーマンスダンパー」に加え、ボディのスポット溶接打点を20点追加することでボディ剛性を強化。その上で、電池パックの床下配置によるBEV特有の低重心パッケージの基本性能の高さを更に引き上げるべく、トヨタ・テクニカル・センター下山(Toyota Technical Center Shimoyama)での徹底的な走り込みを通じて、EPSやアブソーバーの最適化を図り、すっきりと奥深い走りを実現したと云う。

 

 

また、先進装備の進化では、より安全に運転が楽しめるよう、予防安全技術「レクサス・セーフティ・システム・プラス(Lexus Safety System +)」の機能を拡充。また、大型化/高解像度化したタッチディスプレイを搭載した最新のマルチメディアシステムを採用すると共に、インストルメントパネルおよびコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化。その他、充電用USBコネクタ(Type-C)をコンソール前方に2個新たに設定するなど、使い勝手も向上させたと云う。

 

なおレクサスでは、UX300eの発売に併せて、BEVと共に過ごす時間をより豊かにするためのサービスプログラム「レクサス・エレクトリファイド・プログラム(LEXUS Electrified Program)」の提供を開始する。

 

 

 

[UX300eの主な特長]

〇:昨年10月改良から変更なし/☆:昨年10月改良以降の追加を一部含む/★:昨年10月改良以降追加。

 

1.BEVとしての進化

 

・電池パックの床下配置による低重心化により、前後重量配分や慣性モーメントなど、操縦性に有利なBEVならではのパッケージを採用。

 

・リヤに「パフォーマンスダンパー」を採用することで走りの上質さに磨きをかけ、ドライバーとの一体感を向上。

 

・電池パックに遮音壁としての機能を持たせた他、エンジンやトランスミッションなど駆動系の音が少ない故に聞こえてしまう風キリ音や小石・砂などの巻き上げ音にも配慮し、室内空間の静粛性を実現。

 

☆新開発の電池パックにより、航続距離を512km(*1)に(従来型比で約40%伸長)。

 

★クルマへの充電に加え、クルマに蓄えた電気を自宅へ供給できる「V2H(Vehicle to Home)」に対応。UX300eに「V2H機器」を繋げることで、充電と給電が可能。なお、電力供給時間は約2.5日(*2)(満充電/消費電力400W時)。

 

<主要諸元>
– 航続距離:512km(*1)
– 電費:141Wh/km(*1)
– 電池容量:72.8kWh
– 急速充電規格:CHAdeMO
– 最高出力(kW[PS]):150[203]
– 最大トルク(N・m[kgf・m]):300[30.5]

 

*1:WLTCモード(国土交通省審査値)。
*2:一般家庭が日常使用する電気量1日当たり10kWh(平均消費電力400W)として、電力変換効率=80%、満充電から駆動用電池充電警告灯が点灯するまでに使用できる電池容量=44kWh、補機消費電力=160Wとして試算。電力使用状況や、外気温などの条件により電力供給時間は変わる可能性がある。

 

 

2.走りの味の深化(ボディ剛性の向上等

 

〇サイドドアとバックドア周辺のボディ開口部のスポット溶接打点を、計20点追加してボディ剛性を向上。走りの味を熟成すべく、トヨタ・テクニカル・センター下山での走り込みを繰り返すことで、EPSやアブソーバー、ブレーキなどのチューニングを繰り返し、あらゆる走行シーンで減速・操舵・加速がシームレスに繋がる気持ち良さなど、ドライバーの意図に忠実でリニアな応答を追求した。

 

3.予防安全技術の機能拡充と先進装備の進化

 

・新型UXでは、従来型に対してレクサスの予防安全技術であるレクサス・セーフティ・システム・プラスの機能を拡充。

 

・先進装備として、スマートフォン(以下、スマホ)によりドアロック/アンロックやEVシステム始動などの操作ができるデジタルキーや、車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助するパノラミックビューモニター床下透過表示機能を追加した。

 

 

<レクサス・セーフティ・システム・プラス>
〇単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能な「プリクラッシュセーフティ」の対応領域を拡大し、交差点右折前に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能に。加えてドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援などの機能も追加した。

 

〇同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援する高度運転支援機能「レーントレーシングアシスト(Lane Tracing Assist/以下、LTA)」の車線認識にAI技術を活用することで支援範囲を拡大し、よりスムーズで途切れにくい操舵支援を実現。

 

〇自動車専用道路などに於いて、設定した車速内で前走車との距離が一定になるよう加減速制御する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」に、カーブの大きさに合わせてあらかじめ減速するカーブ速度抑制機能を追加した。

 

〇ドライバー異常時対応システムを追加。LTA制御中にドライバーの無操作状態が継続した場合、音と表示と緩減速による警告でドライバーに操作を促す他、ハザードとホーンで車外に異常を報知しながら自車線内に減速停車し、自損・加害事故の回避・事故被害低減を支援。停車後は、ドア解錠やヘルプネット自動接続による救命要請も行うなど、早期のドライバー救命・救護に寄与する。

 

<デジタルキー>
〇デジタルキー専用のスマホアプリのインストールで、この機能を有する車両に対してスマホをデジタルキーとして使用することが可能。ドアのロック/アンロックや、携帯したスマホのアプリを起動した状態でパワースイッチを押すことでEVシステムを始動することも可能。所有するデジタルキーに対応した車が複数ある場合でも1台のスマホだけで操作できる。また、スマホ間でデジタルキーの受け渡しが可能なため、家族や友人間で離れた場所での車両の貸し借りも行える。

 

<パノラミックビューモニター>
〇車両の前後左右に搭載したカメラの映像を合成してセンターディスプレイに表示するパノラミックビューモニターに、過去に撮影した路面の映像を車両直下に合成表示することで、車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助する床下透過表示機能を追加した。

 

 

4.最新のマルチメディアシステム&コックピットの使い勝手向上

 

・大型化/高解像度化した12.3インチタッチディスプレイを採用。それに伴いインパネとコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化。

 

・直感的な使いやすさを追求した最新のマルチメディアシステムを搭載。OTA(Over The Air)ソフトウェアアップデートによる最新化や充電ステーションの表示(*3)が可能。

 

・コネクティッドサービスや「マイセッティング」など、G-Link機能を大幅に拡充。

 

・その他、充電用USBコネクタ(Type-C)をコンソール前方に2個新たに設定するなど、使い勝手を向上。

 

 

<コックピットの使い勝手の向上>

〇大型化/高解像度化した12.3インチタッチディスプレイをドライバー側へ搭載することで、運転姿勢を崩さずにタッチ操作を可能とした。また、これに伴い、インパネやコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化。インパネセンターに搭載していたシートヒータースイッチ等をコンソール上部に配置し、コンソール前方の空きスペースに充電用USBコネクタ(Type-C)を新たに2個設定。加えて、おくだけ充電のスペースも上下方向に拡張し、上部にLED照明も追加するなど、使い勝手を向上した。

 

<マルチメディアシステムとコネクティッドサービス>

〇直感的な使いやすさを追求した最新のマルチメディアシステムを搭載。ナビや音楽、車両設定などの各種メニューの選択スイッチを運転席側に常時アイコンで表示することで、優れたアクセス性を実現すると共に、画面全体のレイアウトも最適化した。

 

〇クラウド上の地図情報を活用し、交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得するコネクティッドナビを採用。さらに、従来の車載ナビとコネクティッドナビを組み合わせたハイブリッド型のナビゲーションを採用した。

 

〇ステアリングのトークスイッチ操作による起動に加え、ディスプレイのマイクアイコン操作や音声による起動ができる最新の音声認識機能を採用。予め設定された起動ワード(例:ヘイ・レクサス!など)を発話することで、スイッチ操作や再生中の音楽停止をすることなく、音声認識機能の起動が可能な他、会話するような自然な発話での操作にも対応。

 

〇iPhoneやAndroidデバイスの専用機能を車載機ディスプレイを通して使用できる、「アップル・カープレイ(Apple CarPlay)」や「アンドロイド・オート(Android Auto)」を設定。アップル・カープレイでは、従来のUSB接続に加えてWi-Fi無線接続(*4)にも対応。

 

〇DCM(Data Communication Module)を活用したインターネット接続により、Webサイト(ニュースやブログ、ストリーミング音楽、YouTube動画など)を閲覧することができるWebブラウザー機能を設定。

 

〇「マイセッティング機能」では、Bluetooth機器(スマホなど)に紐づけてナビやオーディオなどのマルチメディアシステムの個人設定を車両に登録することが可能。また、G-Link契約中は、マルチメディア設定がデータセンターに格納され、別の車両でも利用することができる。

 

〇「マイ・レクサス(My LEXUS)」では、クルマの電池残量や航続距離がスマホで確認できる他、リモートエアコンなども利用可。任意の期間、EVシステムの始動を停止することできる「マイカー始動ロック」の利用で、夜間や長期の旅行・出張等の際など、クルマを使用しない間のセキュリティを高めることができる。

 

〇DCMによる無線通信でソフトウェアの更新が可能となるOTA(Over The Air)ソフトウェアアップデート機能を採用。マルチメディアの表示内容や操作性の改善に加え、新機能の追加や性能向上などが行える。

 

*3:種類、定休日、営業時間、価格などの確認や、航続可能距離が一定値以下でのリスト表示ですぐに目的地設定が可能。
*4:Wi-Fi接続はApple CarPlayのみ対応。

 

 

 

[UX300eメーカー希望小売価格](10%消費税込み)

<バージョン、駆動、価格(*)>
– version C、2WD(FF)、6,300,000円
– version L、2WD(FF)、6,850,000円

*北海道地区のみ価格が異なる。リサイクル料金は含まれない。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。