関西ペイント(毛利訓士社長)が自社開発したリチウムイオン電池用材料が、本日10日から販売開始となった新型ヤリス・ハイブリッドの車載電池材料として採用されたと先の2月6日に発表した。(坂上 賢治)
関西ペイントは、自社が塗料製品の開発で手掛けてきた取り扱い部材の撹拌・分散(塗料製造工程)と塗膜形成工程などで、リチウムイオン電池用材料の開発・製造工程と類似性があることに着目。自らが温めてきた塗料のプロセス技術の転用が可能と考えていた。
そこで、先の2018年4月にリチウムイオン電池用材料の技術開発の開始を宣言。とりわけ色材の分散技術で例えば、顔料の表面状態に応じた分散剤の開発工程をベースに、リチウムイオン電池用部材(電極、パッケージ等)の開発に着手。今回その活動が実を結び、初めて実用化の運びついた。
より具体的には、車載用電池の正極膜を構成する導電助剤となる導電カーボンについて、導電性付与に最適なカーボンの分散状態を実現。従来品より粘度が低い液状物「正極用導電カーボンペースト(スラリー)」として開発した。
図は正極用導電カーボンペーストの構成
結果、最適な導電性を付与することで電池自体の性能向上と優れた安定性に結びつけた。加えて従来品よりも低粘度の液状物として提供可能となったことから、電池製造時における作業性や製造プロセスの改善にも寄与する。
なお、同社は今後も名古屋事業所(愛知県)と小野事業所(兵庫県)で、今実用化を糧に素材需要の増加に応える生産体制の構築を進めていくとしている。
同社では「急速に進む世界的な脱炭素化の潮流の中で、軽量かつ充電可能で耐久性も高いリチウムイオン電池を始めとする車載用電池市場の拡大は確実であり、今後、飛躍的な需要増加が見込まれます。加えて、車載電池の更なる性能向上、車載以外の用途への適用拡大なども見込まれます。
当社グループはこれからも、電池の性能向上や進化に寄与する開発を継続するとともに、各種基幹技術を活用できる新しい領域の開発にも積極的に取り組み、より一層の社会ニーズへの対応と貢献を目指してまいります」と話している。