NEXT MOBILITY

MENU

2020年2月10日【テクノロジー】

関西ペイント、自社開発の電池材料が新型ヤリスに採用

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 関西ペイント(毛利訓士社長)が自社開発したリチウムイオン電池用材料が、本日10日から販売開始となった新型ヤリス・ハイブリッドの車載電池材料として採用されたと先の2月6日に発表した。(坂上 賢治)

 

 

関西ペイントは、自社が塗料製品の開発で手掛けてきた取り扱い部材の撹拌・分散(塗料製造工程)と塗膜形成工程などで、リチウムイオン電池用材料の開発・製造工程と類似性があることに着目。自らが温めてきた塗料のプロセス技術の転用が可能と考えていた。

 

 

そこで、先の2018年4月にリチウムイオン電池用材料の技術開発の開始を宣言。とりわけ色材の分散技術で例えば、顔料の表面状態に応じた分散剤の開発工程をベースに、リチウムイオン電池用部材(電極、パッケージ等)の開発に着手。今回その活動が実を結び、初めて実用化の運びついた。

 

より具体的には、車載用電池の正極膜を構成する導電助剤となる導電カーボンについて、導電性付与に最適なカーボンの分散状態を実現。従来品より粘度が低い液状物「正極用導電カーボンペースト(スラリー)」として開発した。

 

図は正極用導電カーボンペーストの構成

 

結果、最適な導電性を付与することで電池自体の性能向上と優れた安定性に結びつけた。加えて従来品よりも低粘度の液状物として提供可能となったことから、電池製造時における作業性や製造プロセスの改善にも寄与する。

 

なお、同社は今後も名古屋事業所(愛知県)と小野事業所(兵庫県)で、今実用化を糧に素材需要の増加に応える生産体制の構築を進めていくとしている。

 

 

同社では「急速に進む世界的な脱炭素化の潮流の中で、軽量かつ充電可能で耐久性も高いリチウムイオン電池を始めとする車載用電池市場の拡大は確実であり、今後、飛躍的な需要増加が見込まれます。加えて、車載電池の更なる性能向上、車載以外の用途への適用拡大なども見込まれます。

 

当社グループはこれからも、電池の性能向上や進化に寄与する開発を継続するとともに、各種基幹技術を活用できる新しい領域の開発にも積極的に取り組み、より一層の社会ニーズへの対応と貢献を目指してまいります」と話している。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。