東海旅客鉄道(JR東海)は2月17日、新幹線車両(N700S、N700A/※1)で実施している全般検査と台車検査の検査周期を、今年4月から(※2)延伸すると発表した。
全般検査については、従来の「120万キロまたは36カ月以内」を「160万キロまたは40カ月以内」に、台車検査については、従来の「60万キロまたは18カ月以内」を「80万キロまたは20カ月以内」に、周期を延伸する。
JR東海は、安全で快適な旅客運輸サービスを提供するため、東海道新幹線に於いて、走行距離や期間に応じて車両の検査を計画的に実施している。また、安全性を高めた新型車両の積極的な投入や、走行中の車両データの監視体制の確立等により、車両故障の件数を減少させると共に、故障の未然防止を図るなど、より高い信頼性の実現に努めてきた。
その一方で、効率的な業務執行体制の構築のため、「業務改革」の一環として、最適な検査体制を目指し、過去3年分の検査・修繕実績や、実際に検査周期を延伸させた車両を検証するなど、全般検査と台車検査の検査周期延伸のための取り組みを続けてきたが、今回、これらの検証により安全性が確認できたとして、一般検査および台車検査の周期を延伸することとした。
※N700系にN700Aの機能の一部を追加した車両は除く。
※2:当面は同年4月以降に投入するN700Sに適用し、その後、令和8年度末までに全てのN700S及びN700Aに適用予定。
[検査周期延伸について]
<周期を延伸する検査内容>
・全般検査:主要部品を取り外して、車両の細部全般にわたって行う検査。
・台車検査:台車を解体して、台車の細部全般にわたって行う検査。
<周期延伸に向けたこれまでの取り組み>
新型車両の積極的な投入や、走行中の車両データの監視体制の確立等。装置の信頼性・耐久性・保守技術の向上。これを踏まえた各装置の信頼性・耐久性を確認するための検証。
・過去3年分の検査・修繕実績の検証。
・実際に検査周期を延伸させた車両での検証。
<検査周期の変更>
・全般検査:(従来)120万キロまたは36箇月以内 → (変更後)160万キロまたは40箇月以内
・台車検査:(従来)60万キロまたは18箇月以内 → (変更後)80万キロまたは20箇月以内
なお、周期延伸に伴い、全般検査で実施しているモーター部品の潤滑材交換を台車検査でも実施するなど一部の検査を強化する。
<対象車両>
N700S、N700A(N700系にN700Aの機能の一部を追加した車両は除く)
<効果>
・検査周期の延伸により車両を営業運行に充当できる期間が増え、全体として車両運用に余裕が生じ、柔軟な車両運用が可能となる。
・全ての車両に新しい検査周期が適用された際には、必要な検査要因や交換部品の削減が可能(年間約40億円)。
<実施時期>
2022(令和4)年4月
※当面は同年4月以降に投入するN700Sに適用し、その後、令和8年度末までに全てのN700S及びN700Aに適用予定。