東京海上日動火災保険(取締役社長:広瀬 伸一)と東日本旅客鉄道(代表取締役社長:深澤 祐二)は7月16日、今後のMaaS(Mobility as a Service)の加速化を見据え、安全・安心・快適なMaaS社会実装推進と新たな保険サービスの共同開発に向けた業務提携契約を締結した。(坂上 賢治)
両社は、この提携に基づく協業の第1弾として、今冬「代替交通手段としての MaaS サービス提供」をテーマに新たな保険サービス開発に向けた実証実験を実施するとしている。
提携に至った背景は、鉄道・バス・タクシーなどの様々な移動手段を決済を含めたひとつのサービスとして統合するMaaSが注目されていることにある。そうした動きを踏まえJR東日本も、東京海上日動もMaaS社会実装をキャッチアップするべく様々な取り組みを進めてきた。
そうしたなか元々、生活インフラを支えるJR 東日本の強みと、事故対応実績で年間200万件超の保険サービスを牽引する東京海上日動の強みを組み合わせることでMaaS 領域で新たな価値が提供できる可能性を見いだしたため。
より具体的には、(1)双方が展開するサービスやネットワーク・データ等を連携させることで、事故などのアクシデント発生時等にSuica 連携・MaaS サービスの提供を行う新サービスの共同開発を行う。さらに(2) JR 東日本が展開する「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」を筆頭にMaaS サービスで安全・安心を提供する保険サービスの共同開発を行うことなどが挙げている。
そこで上記の価値提供を柱に、2020年冬の首都圏でJR東日本が提供するSuica+MaaSサービス「Ringo Pass (SuicaのID 番号とクレジットカード情報を登録することでシェアサイクル・タクシーなど複数の交通手段をスムーズに利用することができるサービスを指す)」に、東京海上日動の保険サービスを組み合わせたユーザビリティ検証を予定しているという。
その一例としては「事故発生時の新たな代替交通手段の形として、鉄道・バス・タクシー・シェアサイクル等の広範囲なモビリティサービスを、シームレス・キャッシュレス・ペーパーレスに提供する新たな保険サービス開発」を踏まえた取り組みなどが想定される。
上の図は「Ringo Pass」の概要
今後の取り組みについて東京海上日動では「『安心と安全』」の提供を通じて、豊かで快適な社会生活と経済の発展に貢献」するという経営理念の下、多様なパートナー企業様・各地域の自治体の皆様等と広く連携し、保険・リスクノウハウをはじめとする自社の強みを活かしながら、「地域・社会」の課題解決や MaaS 関連事業のご支援、安心・安全・快適な MaaS 社会実装の推
進に向けて取り組んでいます。
保険事故発生時にお客様の状況に合わせて提供できる外部サービス(MaaS サービスを含む)を判定する仕組み、保険金支払い対象となるサービスについて利用実績に応じて保険金としてサービサーにお支払いする仕組みについて、特許出願中です」と話している。
JR東日本が目指す「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」
またJR 東日本では「グループ経営ビジョン「変革 2027」において、移動のための検索・手配・決済をお客さまにオールインワン で提供する「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」を構築し、「シームレスな移動」「総移動時間の短縮」 「ストレスフリーな移動」を実現することを目指しています。これにより、お客さまが 24 時間、あらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせてサービスを利用できる環境を実現します」と結んでいる。