日本自動車工業会(自工会:JAMA)は、2019年度に実施した乗用車市場動向調査の結果を取りまとめ、その内容を4月8日に公表した。
調査は、単身世帯を含む全国の一般世帯における乗用車の保有、今後の購入意向などを隔年毎に調査し、需要の質的変化の見通しに役立てようとするもの。
今年度の調査では、保有状況・使用実態・今後の購入意向等について、時系列の動きに主眼を置き、また、トピックとして次世代自動車・先進安全技術・次世代技術・高齢層および若年層などに注目した。
調査結果の概要は、以下の通り。
I.時系列調査結果の主な特徴
1.乗用車市場動向
・乗用車世帯保有率は79.8%。地方圏、高年収層、家族期で高い傾向は変わらず。
・軽乗用車の保有、および軽乗用車複数保有が増加傾向と軽移行が継続。また、ハイブリッド等の次世代エンジンの増加が継続。
・非保有理由は維持費負担が上位で増加傾向。今後の購入意向は低水準。
2.乗用車ユーザーの特性と使用状況
・女性比率の増加が継続し、主運転者のほぼ半数を占める。
・「買物・用足し」中心の使用は変わらず。維持費は5割弱が負担を感じている。
3.購入状況
・同タイプ・クラスからの買替が中心。
・保有期間はさらに長期化。
4.今後の保有・購入動向
・減車意向・保有長期化意向が継続。
・同クラス意向が高い傾向が継続。次世代エンジン意向は約4割。
II.トピック調査結果の主な特徴
1.次世代自動車への意識
・各次世代自動車の認知は大きく変わらなかったものの、各次世代自動車とも購入意向が前回(2017年度)より上昇しており、受容が拡大。ただし、価格が高いことが購入のネック。
2.先進安全技術車に対する意識
・高齢者事故報道の影響もあり、運転手の運転ミスをカバーする安全技術への要望が高い。
3.次世代技術に対する意識
・自動運転車関心層は5割弱。「レベル3(条件付運転自動化)以上」を望む人が4割強。
・超小型モビリティの名前を知っている人は約5割。特徴まで理解している人は約1割。購入意向のある人は約1割。利用意向を合わせても約2割程度。
・利用意向の高いコネクティッドサービス・機能は「ナビ地図データの自動更新」「盗難防止/盗難時通報サービス」「ビッグデータ交通情報サービス」。
4.保有形態に対する意識
・インフラ整備が進んでいる首都圏中心部を中心に「カーシェア」の利用意向が上昇。
5.高齢層分析
・まだまだ運転意欲はあり、身体的衰えを「先進安全技術」でカバー。約8割は次も車を購入する予定。
6.若年層分析
・車の使用価値は認識しており、「カーシェア利用意向」「自動運転車への関心」が全体に比べて高い。
7.自動車に支払える費用
・車関連出費は負担感が強く、今後減らしたい出費の上位項目にあがる。年間維持費が30万円以内の人は、10万円程度は削減したい意向。
8.支払方法や安全技術と買替サイクルの関係性
・残価設定ローンの利用は増加傾向。利用により買替サイクルを短期間化。先進安全技術は買替時期の早期化を後押し。
■(JAMA)2019年度乗用車市場動向調査の概要:http://release.jama.or.jp/sys/news/detail.pl?item_id=1920
■(JAMA)2019年度 乗用車市場動向調査(全文/PDF):http://www.jama.or.jp/lib/invest_analysis/pdf/2019PassengerCars.pdf