炭素中立・ADS・AI・人材に5年間で150億ポンド(約2兆4,900億円)投資
2023年4月19日、英国ゲイドン発:ジャガー・ランドローバー(JLR)は(英国ゲイドン発)4月19日、世界をリードするモビリティ企業を目指し、事業革新計画を発表した。
この計画のなかで、まずは英ヘイルウッドの施設をBEV専用の生産構造へと改装。これにより次世代のミッドサイズSUVは、エレクトリファイド・モジュラー・アーキテクチャー(EMA/Electrified Modular Architecture)を採用するピュアBEVになる事を表明している。
具体的には、ゲイドンのJLRセンターに於ける記者会見で登壇したJLRのエイドリアン・マーデル最高経営責任者(CEO)は、「REIMAGINE」戦略を今後も強力に推進していく事を明言。
電動化を中心に据えたモダンラグジュアリーな自動車メーカーになるため、事業のポジショニングを再構築する事について改めて説明した。それによるとJLRは、2025年までにネットキャッシュフローをプラスに転換させ、2026年までに2桁のEBITマージンを達成するという財務目標を掲げた。
英マージーサイドのヘイルウッド工場は、ピュアBEV専用工場に改装
エイドリアン・マーデルCEOは、「2年前、私たちはREIMAGINE戦略を立ち上げる事が出来た。
それ以来、記録的な需要を喚起する事が出来たDEFENDERファミリーを皮切りに、高評価を受けた〝RANGE ROVER〟〝RANGE ROVER SPORT〟で大きな進歩を遂げる事が出来た、結果、パンデミックと半導体不足という深刻な逆風を受ける中でも第3四半期に利益を計上する事が出来ている。
加えて本日、英ヘイルウッド工場の刷新と、次世代のミッドサイズSUVアーキテクチャーを完全に電動化する事を発表出来た事を、今はとても誇らしく思う。
この投資計画の実行により、我々はモダンラグジュアリーな電動車の未来を見据えて新技術の開発に着手。2039年までに排出ガス量実質ゼロにする目標を可能にしていく」と述べた。
英マージーサイドのヘイルウッド工場は、ピュアBEV専用工場に改装
更にマーデルCEOは、「我々JLRは、次世代の電動化ロードマップを踏まえて今年後半から新型〝RANGE ROVER〟BEVモデルの予約受注を開始する。
次世代ミッドサイズ・モダンラグジュアリーSUVとして最初のBEVモデルは、RANGE ROVERファミリーから2025年に発売する予定だ。
なおこのモデルは、マージーサイドのヘイルウッド工場で生産する。これは英国自動車産業の未来に対するJLRのコミットメントを改めて再確認したものとなる。
その一方で〝RANGE ROVER〟と〝RANGE ROVER SPORT〟に採用しているフレキシブルなモジュラー・ロンギチューディナル・アーキテクチャー(MLA:Modular Longitudinal Architecture)は、内燃エンジン(ICE)、ハイブリッド車、BEVの生産用に今後も維持していく。
House of Brandsアプローチでモダンラグジュアリーの立ち位置を確立
これによりJLRは、排出ガス量実質ゼロという目標に向けて、様々な速度で歩みを進めている世界各国毎のニーズを満たすべく、それぞれのブランド(RANGE ROVER、DEFENDER、DISCOVERY、JAGUAR)独自の特徴を強化しながら柔軟な体制も併せて構築(House of Brands/ハウス・オブ・ブランズアプローチの実行)していく。
このHouse of Brandsアプローチについて、JLRチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるプロフェッサー・ジェリー・マクガバンOBEは、「私たちのREIMAGINE戦略にとって最も重要な要素は、House of Brandsアプローチの採用にある。
これは自然な進化であり、特徴的な英国ブランドの独自性を高め、それを更に強化する事を目的としている。私たちの最終的な目標は、お客様のために真にエモーショナルで魅力的なドライビング体験を提供する事だ。
それを達成する事で時間の経過と共に、私たちのブランドの長期的な価値が高まり、併せて永続的なサステナビリティも実現させる事も可能になる」と語っている。
ジャガーを再構築。最初モデルは英国ソリハルで生産する4ドアGTに
またJLRはジャガーを再構築し、その最初のモデルは英国ウェストミッドランズのソリハルで生産する4ドアGTになる事を明らかにした。
これはジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を備え、10万ポンドを上回る価格になる。この新型モデルは「JEA」と名付けられた新しい専用アーキテクチャーをベースに開発される。
この新しいジャガーの4ドアGTモデルの詳細は今年後半に発表される。2024年には一部の市場で発売し、2025年には最終顧客へ向けて納車を開始する予定だ。
これについて先のマクガバンOBEは、「私たちは、モダンラグジュアリー・ブランドとしてのジャガーを、根本的に再構築した。ジャガー変革の鍵は、そのデザインが他のどのクルマにも似ていないという事だ。」と付け加えた。
一方、マーデルCEOは、「ラグジュアリーSUVというカテゴリーを生み出した〝RANGE ROVER〟BEVは今年後半に予約受注を開始する。
また再構築を果たしたジャガーからは3つのBEVを投入する。その最初のモデルは2025年となる。これにより私たちは、モダンラグジュアリー・ビジネスを目指すメーカーとして新しい電動化の時代に足を踏み入れる事になる」と結んでいる。