自動車産業の世界的な調査会社であるJATO Japanは5月20日(JATO Dynamics 4月29日作成)、欧州の自動車市場についての最新レポートを公開した。
それによると以下のトピックがポイントとなっている。
● 欧州の3月の新車販売台数は、2020年を除いて2013年以来最も少ない
● ディーゼル車がこれまでで最も低いマーケットシェアを記録
● テスラ モデル3が好調で、欧州のモデル別販売ランキングで4位になった
2021年3月の欧州自動車市場では、新型コロナウイルスが発生した2020年3月と比較して、新車販売台数が63%増加した。JATOが調査した欧州26カ国のデータによると、昨年の842,094台から1,374,313台に増加し、第1四半期の台数は前年比1%増の3,045,703台であった。この増加にもかかわらず、2021年第1四半期の新車販売台数は、2020年を除くと1986年以来の低水準を記録している。
回復の兆しはあるものの、業界は感染拡大による経済的影響、継続的なロックダウン規制、消費者信頼感の欠如など、いくつかの課題に直面している。当月の販売台数は、2019年3月と比較して22%減少し、世界的な金融危機の影響で1,337,588台に留まった2013年3月以来、最も少ない結果となっている。この結果についてJATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munoz氏は「欧州自動車市場は、コロナ禍前の台数に到達するにはまだ遠く、各国政府は販売を促進し、消費者の信頼を回復するためにさらなる行動を起こす必要がある」と述べている。
電動車とSUVは、引き続き市場の成長をけん引している。電動車のマーケットシェアは、2019年3月にわずか3.4%、2020年3月には9.7%であったのに対し、2021年3月には16%という過去最高のシェアを記録した。このことについてMunoz氏は「消費者は、以前より広範囲で競争力のある電動モデルに積極的に反応している。しかし、これらの車両は内燃機関(ICE)を搭載したモデルよりも高価であることが多いため、従来の高排出ガス車で見られた大きな落ち込みを相殺するには至っていない」と述べた。
また、SUVのマーケットシェアは、2019年3月の37%から、2020年3月には40%、2021年3月には45%と、前年比で成長を続けている。中でも、スウェーデン、ノルウェー、スロベニア、ハンガリーでのけん引力は顕著で、2020年3月から2021年3月の間に10%ポイント以上のシェアを拡大した。Munozは「電動車とSUVの成功は、消費者の需要が今後発売される電動化されたSUVモデルに集中することを示す良い指標であり、今後の業界の成長を促す重要な起爆剤となるだろう」と述べている。
2021年3月、ディーゼル車のマーケットシェアは24%と、これまでで最も低い数値を記録した。欧州委員会(EC)が引き続き厳しいCO2規制を導入していることから、ディーゼル車をはじめとする排出ガスの多い車種からのシフトは今後も続くと考えられる。
欧州のモデル別販売ランキングでは、フォルクスワーゲン ゴルフが前年同月比12%増の26,265台を記録し、当月首位の座を取り戻した。フォルクスワーゲン ゴルフの電動バージョン(プラグイン・ハイブリッド車およびマイルドハイブリッド)は、この成長に貢献し、特にドイツでは同モデルの内36%を占めた。ゴルフは、第1四半期での販売首位であるプジョー208の販売台数を当月836台上回り、第1四半期の合計では約61,000台を販売した。オペル/ボクスホール コルサ(Opel/Vauxhall Corsa)も好調で、ルノー クリオ(ルーテシア)とフォルクスワーゲン ポロを上回った。
テスラ モデル3は、当月のモデル別販売ランキングで4位となり、ピュアEV(BEV)の販売ランキングでは3月と第1四半期の両方で首位となった。また、英国、フランス、ノルウェー、イタリア、オーストリア、スウェーデン、スイス、オランダ、デンマーク、ポルトガル、ポーランド、ギリシャ、スロベニア、クロアチア、ドイツにおいて、モデル3がフォルクスワーゲン ID.3を抑えてピュアEVとして販売首位となった。また、欧州車以外では、ヒュンダイ コナ(Hyundai Kona)が当月のBEV販売で第2位となり、好調な結果を残した。
最近発表されたモデルの結果は以下の通り。
販売数は、シトロエン C4が5,671台、オペル モッカ(Opel Mokka)が5,560台、フォルクスワーゲン ID.3が4,897台、ID.4が4,817台となっている。