日本総合研究所(以下「日本総研」)は7月14日、「DUAL MOVEコンソーシアム」を、2021年7月に設立すると発表した。
自動車産業では現在、”CASE”(Connected, Autonomous, Share, Electricity)の領域における大きな変化が起きている。特に、自動車がインターネットに接続するという”Connected”により今後さらに大きな変革が起きると考えられ、車載コンテンツの高度化・多様化に資する要素技術が進化している。
「DUAL MOVEコンソーシアム」では、自動車の車内での映像や音響などのコンテンツが飛躍的に高度化・多様化する時代を見据え、移動に伴って気持ちを動かすような車内空間のあり方を、将来的に車載コンテンツを制作・利用する主体と見込まれる旅行会社、小売企業、映像制作会社など関連事業者とともに検討していく。
今年度は、近い将来の車内空間をイメージした全天空型の映像・音響環境のプロトタイプにて動作する、DUAL MOVEコンセプトを体現するコンテンツの制作を行う。自動車で旅行する際の移動中や、ショッピングモールに向かう際の車内で用いることが望まれるコンテンツについて、リアルでの体験価値向上に関してノウハウを有する関連事業者と検討し、コンテンツとして表現する。
制作したコンテンツは、コンソーシアムのメンバー社で体験するとともに、一般の被験者に体験してもらい、体験中のバイタルセンシングで収集したデータやインタビューデータを収集し分析。また、将来的なサービスモデルやビジネスモデル、今後必要となる制度・業界基準等に関する議論を、日本総研による仮説をもとにメンバー社で検討する。
このような活動を通じて、車載コンテンツの魅力検証や魅力向上のためのソリューションを検討し、車載機器や部材を製造するメーカーにとって、自社の製品や技術の戦略検討に資する分析を行っていく。
■コンソーシアムのコンセプト
コンソーシアムでは、臨場感の高いコンテンツが移動者の気持ちに働きかけることで、移動体験をより豊かにする可能性に着目している。
例えば目的地がオフィスであれば「仕事に対してモチベーションが高い状態」で到着することで仕事の効率が向上したり、動物園であれば「(多くの場合は子どもが)本物の動物を見たい!と感じている状態」で到着することで動物園での楽しさが広がる可能性がある。
このように、自動車は、本来的に有している「利用者の身体を移動する(MOVE)機能」に加え、今後「利用者の気持ちを動かす(MOVE)機能」が求められるようになると考え、このようなコンセプトを、コンソーシアムでは”DUAL MOVE”と呼び、DUAL MOVEコンセプトを起点にコンソーシアムでの活動を推進する。
■参画企業
以下の領域にて事業を行う企業が15社程度参画する。
・車載機器メーカー
・部材メーカー
・商社
・旅行会社
・小売企業
・映像・ゲーム制作会社
■活動期間
2021年7月~2022年2月