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2020年7月17日【トピックス】

JAIA、ティル シェア理事長の定例会見を実施

松下次男

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 日本自動車輸入組合(JAIA)のティル シェア理事長(フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン社長)は7月17日、日本自動車会館(東京都港区)内で定例会見を開き、下期の市場展望や事業活動方針などついて所信表明した。市場については、新型コロナウイルス感染症の影響を受け「未曾有の厳しい課題に直面している」としながらも、店舗への「来店者は戻りつつある。魅力ある新型車投入も相次ぐ」と述べ、回復に期待感を示した。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

かつてない大幅減を余儀なくされ、輸入車全体でも同21・7%減の13 万7826台に

 

 シェア理事長は今年5月の通常総会で、上野金太郎前理事長(メルセデス・ベンツ日本社長)の後任としてJAIA新理事長に就任した。任期は2022年5月まで。
 まず輸入車の市場動向について、シェア理事長は、政府・自治体の緊急事態宣言の発令などにより3月下旬以降、「来店や販売店の営業活動に大きな影響が出た」ことで、上期の輸入車販売が大幅減になったとの見方を示した。最大の落ち込みは5月の販売で「47%近くダウン」した。

 

 この結果、1~6月の今年上期の外国メーカーの四輪車販売は11万4380台と前年同期比23・2%減と、かつてない大幅減を余儀なくされた。日本メーカー車を含めた輸入車全体でも同21・7%減の13 万7826台にとどまった。

 

 輸入車市場については昨年9月まで堅調に推移していた。それが10月から消費税率引き上げに加え、台風被害の影響もあり、減少に転じた。これにより昨年1年間の輸入車販売台数は30万台に届かなかった。
ところが今年1月以降は減少幅が縮小し、復調の兆しが見えていたなかで、コロナ禍に遭遇。結果的に、1月以降6ヵ月連続で前年同月を下回る実績となった。

 

新型車による需要喚起に期待感。店頭への来店者は戻りつつあるという明るい兆しも

 

 一方で、明るい兆しも出つつあるという。緊急事態宣言終了に伴いユーザーの「来店が増えている」ほか、各社から「魅力ある新型車が投入され、下半期も新型車発表が相次ぐ」と述べ、新型車による需要喚起に期待感を示した。
 販売活動についても、自動車流通10団体合同で「自動車販売業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定。これにより新しい生活様式の中で、販売活動が推進できることになった。

 

 また、新型コロナ感染症に対応したニューノーマルの中で、インターネット販売など、オンラインを活用した取り組みも加速するだろうと予測した。
 ただし、下半期の具体的な市場動向については算定が困難とし、需要予測を見送った。

 

 活動面では、まず税制で自動車税環境性能割の1%軽減措置が当初予定の9月末から半年間延長され、来年3月末までとなったことに感謝を示した一方で、日本の自動車に関わる税負担は国際的に見ても過重として軽減、簡素化を求めた。
 さらに喫緊の要望として、新たな排出ガス基準の適用時期について輸入車業界の置かれている状況を関係省庁に説明、要望したこと明らかにした。

 

国際的に過重な税負担の軽減に期待。自動運転の進展では国際協調を要望

 

 新技術については、地球温暖化対策の観点から自動車由来のCO2(二酸化炭素)削減が求められていることから、電動車普及活動に積極的に取り組んでいく考えを示す。ユーザーが望む優遇税制延長や補助金制度の継続、充電インフラの環境整備強化などについても政府や関係団体との対話を通じて進展を目指すとした。

 

 また、安全対策では、対歩行者AEBSの義務化や65歳以上を対象にしたサポカー補助金制度の緊急導入に賛同を表明するとともに、輸入車にも公平な制度となったことに感謝を述べた。
 安全面では、究極の事故ゼロを目指す自動運転技術が進化。日本でも高速道路でのレベル3、限定地域でのレベル4がスタートするが、魅力ある輸入車をスムーズに導入できるよう国際基準調和を求めた。

 

 具体的には、自動車基準調和世界フォーラム(UN/WP29)が制定を進める自動運転関連法規の適用や完全な型式認可の相互認証(IWVTA)の実現などを要望した。
 シェア理事長は、世界的に新型コロナ感染症の影響が広がっていることで、輸入車のメーカー本体の活動にも被害が及んでいることにも言及。工場の稼働停止や認証の遅れ、物流制約などの問題が生じ、結果的に日本での納期遅れにつながっているとしてサポートを要望するとともに、政府や関連団体と協力して対策を進めていきたいとした。  

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。