日本自動車輸入組合(JAIA)は6月10日、東京都千代田区の大手町三井ホールで「今から始める2035年~輸入電動車普及促進イベント」を開催した。JAIA加盟13社の代表が集結し、それぞれ自慢の電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を持ち寄り、電動車の普及促進をアピールした。(経済ジャーナリスト・山田清志)
4月から新たなプロジェクトを展開
「昨今、世界各国でカーボンニュートラル実現の気運が高まる中、電気自動車やプラグインハイブリッド車を含む電動車の急速な普及に期待が寄せられている。例えば、ドイツでは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策を背景に補助金が増額され、同国の2020年乗用車新規登録において、電気自動車は前年比3.1倍、プラグインハイブリッド車は前年比4.4倍になった」
JAIAのティル・シェア理事長(フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン社長)は冒頭の挨拶でこう話し始めた。カーボンニュートラルに取り組まなければ、これから自動車会社は生き残れないということかもしれない。
日本市場でも、今年1月に発表した政府の施政方針演説で、2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%実現が明言された。また6月2日には、政府が2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略で、充電インフラに関して、公共用の急速充電器3万基を含む充電器15万基を設置し、2030年までにガソリン車並みの利便性を実現するという方針が打ち出された。
そんな中、JAIAは4月から「輸入電動車普及促進プロジェクト」を展開。これまでどちらかと言えば特別なものとして捉えがちだった電動車が、これからは当たり前、ニューノーマルになっていく今、輸入車インポーターが一丸となって、BEVやPHEVなどの輸入電動車の魅力を発信することで電動車の普及促進を図ろうとなったのだ。実は、この裏にはショッキングな出来事があった。
日本ユーザーの50%が輸入電動車を知らなかった
国内の自動車市場で、輸入車の割合は登録車全体の約1割を占め、輸入電動車の販売台数も増加傾向にある。例えば乗用車については、BEVの販売台数は2020年、前年比200%を超え、電動車の割合は1.1%だったという。しかし、JAIAが行った2020年の調査で分かったのは、日本の自動車ユーザーの約50%が、輸入BEVやPHEVについて知らなかったことだった。
そこで、輸入電動車普及促進プロジェクトを展開するとともに、「輸入電動車の認知を高めてもらうために、今回のイベントを企画した」(シェア理事長)というわけだ。そして、会場に各社自慢の電動車11台を並べ、輸入電動車の魅力をアピールした。
ちなみにその11台とは、BMW「iX」、メルセデス・ベンツ「EQA250」、ボルボ「XC40 PHEV」
プジョー「e-2008GT」、アウディ「e-トロン・スポーツバック55・クアトロ」、FCA「ジープ・レネゲート・トレイルホーク 4xe」、テスラ「モデル3」、ジャガー「I-PACE」、ストリートスクーター「D17」、ポルシェ「タイカン・ターボS」、フォルクスワーゲン「e-ゴルフ・プレミアム」だ。
「電動車の普及には、政府による再生可能エネルギー供給の増加や、電動車への車両購入補助などの支援継続に加えて、目的や用途にあった充電インフラの拡充が不可欠。JAIAは公共充電設備の拡充や集合住宅における充電器の設置が、電動車の普及には非常に重要だと考えている。東京23区における登録車に占める輸入車の割合は約25%、港区においては50%となっており、特に都心部における充電設備の充実は喫緊の課題として捉えている」とシェア理事長は強調し、政府や関係省庁に働きかけていくそうだ。