日本自動車輸入組合(JAIA)は1 月27 日、クリスチャン・ヴィードマン理事長(ビー・エム・ダブリュー社長)の新年記者会見をオンラインで開き、2022年の市場展望、JAIA活動方針などを示した。2022年の輸入車販売見通しについては、半導体不足の影響が継続する可能性があるとしながらも着実に回復、特に下半期に回復を期待していると表明した。具体的な数値は公表しなかった。(佃モビリティ総研・松下次男)
ヴィードマン理事長はティル シェア前理事長の後を受けて、2021年10月に就任した。任期は2022年5月の理事会終了時まで。
2021年の外国メーカー四輪車の販売についてヴィードマン理事長は「昨年後半、世界的な半導体不足やコロナ禍での部品供給の停滞による自動車生産の減少が影響し、受注が順調にも関わらず十分に供給できず、新規登録台数の実績に大きな影響が出た」と振り返った。実際に、2021年3月から8月まで6カ月連続で前年実績を上回ったが、9月以降は前年同月比マイナスが続いた。
この結果、外国メーカー車の2021年の年間販売台数は25万9752台で前年比1・4%増、日本メーカー車を含めた輸入車全体では前年比8・4%増の34万4552台の実績となった。
車種構成では、人気モデルのSUVが初めて販売比率4割を超え、電動車も各社が品揃えを拡充したことで大幅に増えたと強調。特に電気自動車(EV)は前年比2・7倍の8610台に達した。しかし、輸入車販売に占める日本でのEV比率は3%に過ぎず、諸外国と比べてまだまだ低い水準だと指摘した。
例えば、ドイツでは2021年の新車乗用車販売に占めるEV の割合が前年の6・7%から13・6%%へと拡大。プラグインハイブリッド車(PHV)の割合も前年の6・9%から12・4%へとアップし、合わせると電動車比率は26%へと着実に増加していると紹介した。
これを踏まえた2022年の輸入車販売の展望については、2021年から続く半導体不足の影響が残る懸念を示しながらも、着実に回復、特に下半期において回復することを期待すると表明。
今後、ワクチン接種など感染防止策が進み外出や移動が正常化することで消費マインド上昇を見込めるほか、受注と供給のバランスの正常化や積極的投入が予定されている電動車、SUVなどが寄与してくることに期待感を示し、政府の積極的な電動車への補助金の導入策も輸入EV、PHVを後押し、拡大することを想定しているとした。これらにより、「本年が回復の年として販売台数が改善していくことを期待する」と述べた。
JAIAの活動では、まず市場活性化について税制改正要望活動と環境エネルギー分野にも関係する電動車の普及促進と認知向上の取り組みを掲げた。具体的には、輸入電動車の魅力を高める展示会や電動車に特化した試乗会を昨年、初めて開催したのに続き、今年も継続開催するとともに、開催地域も含め新たな手法も取り入れたかたちへと拡充する予定とした。
ヴィードマン理事長は「電動車の普及のためには誰にでも使いやすい充電インフラの充足が不可欠」と述べ、とくに集合住宅を含めた都市部で喫緊の課題になっていると強調。垣根を越えて、関係企業と連携した活動をこうした展示会、試乗会などを通じて進めすことも表明した。
このほか、安全基準や自動運転関連法規などの国際調和への取り組み、必要に応じて政府へ支援、要望していく方針を示した。
輸入二輪車については、コロナ禍で三密を回避した移動手段や密にならない遊び方として趣味性が高く個性的な商品が受け、好調な販売で推移したことを紹介。また、JAIAの会員にカワサキモータースジャパンが加わり、二輪車の会員数が11社に増えた。