いすゞ自動車は2月7日、東京・浜松町で2020年3月期の第3四半期連結決算(4~12月累計)を発表した。連結売上高は前期比4.4%減の1兆5183億円、営業利益は同21.1%減の1137億円、当期純利益は同28.3%減の674億円と「減収減益」の決算とした。過去最高の収益を計上した前期と比べると様変わりの業績となった。(佃モビリティ総研・間宮潔)
いすゞ決算の全景
営業利益の増減要因は、原価低減活動で94億円のプラスとしたものの、その他項目で減益となった。売上変動/構成差で175億円、経済変動(鋼材値上げなど)で69億円、為替変動で123億円、労務費・一般管理費の増加などで31億円の減少を余儀なくされた。
南真人取締役常務執行役員(企画・財務部門統括)は第3四半期(3カ月)の数値について、「中間期決算時に説明した通り、各国の需要の低下、あるいは排出ガス規制に伴う在庫対応相当があり、前年より低い水準になる」とし、「想定通り」と説明した。
第3四半期(10~12月)グローバル販売台数はコマーシャルビークル(CV)、ピックアップトラック(LCV)合計で、前年同期比17%減の13万7000台と大きく落ち込んだ。
特に国内の小型トラックは9月実施の排出ガス規制を前にした駆け込み需要が上期に発生し、その反動が下期にでた結果、国内CV部門が同24%減の1万5000台と大きく落ち込んだ。
海外CV部門は同20%減の4万6000台で、インドネシアの回復遅れや新たに豪州の景気減速の影響が出始めている。
一方、タイにおけるLCV国内出荷は同8%減の4万2000台で、家計債務に対する審査の厳格化などが影響した。LCV輸出も同21%減の3万4000台となり、インドネシア、豪州の景気減速が響いた。
いすゞ決算で説明に当たる幹部
ちなみに第3四半期(4~12月)の累計グローバル販売台数は前年同期比10%減の43万4000台となった。CV合計が同8%減の21万2000台、LCV合計で同13%減の22万2000台となった。
これに対して、通期のグローバル販売台数は、前回予想より2万6000台少ない60万8000台(前年比7%減)とし、下方修正した。
国内CVは前回に予想より1000台少ない8万4000台(同1%増)とし、「必達」の数値とした。海外CV は前回より8000台少ない20万9000台(同6%減)した。タイLCVでは前回予想より6000台少ない16万5000台(同1%増)と下方修正したが、「新型ピックアップトラックの投入で挽回を図る」とした。
輸出LCVでは中国、インドネシア、豪州の減少を織り込んで前回発表より1万1000台少ない15万台(同16%減)とした。この結果、通期の連結売上高は、前回発表より600億円下方修正して2兆1000億円(前期比2%減)、営業利益も80億円下方修正する1420億円(同20%減)、当期純利益も50億円減額の850億円(同25%減)にいずれも下方修正した。
いすゞの南真介取締役常務執行役員
下方修正の大きな要因としては、米中間の摩擦がアジア全体に広がっているとの見方を示した。
新型肺炎の影響に関連して、「いますぐ生産が滞ることはない」としながらも、「長期化すれば、何らかの影響がでてくる可能性がある」とした。
現在、いすゞは重慶市と南昌市に関連工場、合弁工場があり、中国からの部品調達(エンジン部品)もある。「ティアワン、ティアツーも含め在庫状況を調べ、代替案など慎重に見極めている段階」とした。