いすゞ自動車は8月5日、2021年3月期第1四半期連結決算の業績説明をWEBで配信、事後、メディアに電話会議で質問に応じた。業績説明、電話会議とも、南真介・取締役常務執行役員(経営業務部門、企画・財務部門統括)、中俣直人・執行役員(企画・財務部門統括代行、グループCFO)が応じた。(佃モビリティ総研・間宮潔)
業績の裏付けとなる車両販売(4~6月期)は、前年対比48%減の7万7000台と半減した。国内外で生産するトラックなどCV(コマーシャルビークル)部門で同31%減の4万7000台としたが、タイで生産するピックアップトラック(LCV=ライトトラックビークル部門)が同63%減の3万台と大きく落ち込んだ。
このため今第1四半期(4~6月)における連結売上高は前年同期比35.7%減の3274億円、営業利益は同95.2%減の22億円、経常利益も同98.8%減の5億円を計上した。
南常務は、世界的なコロナウイルス感染拡大という非常事態の中、「最初の3カ月は、初期目標を達成し、着実に対応できた」と評価、加えて「縮小する市場規模に合わせて、在庫調整を終了することができた」と述べた。
また「雇用を守る一方、支出削減に努め、何とか収益をブレーク・イーブンで乗り切ることができた」と指摘し、固定費の20億円削減や原価低減12億円などの成果を挙げた。
ただ新型コロナによる影響として、国内で11億円、海外で19億円の計30億円の特別損失を出し、当期純利益では98億円の赤字を計上した。
2021年3月期の通期見通しでは、期初の売上高1兆7000億円、営業利益500億円を据え置く一方、未公表だった経常利益は480億円、当期利益は120億円とする黒字化の方針を示した。一株当たり16円の年間配当を実施する予定だ。
グローバル販売台数は前期比19.3%減の48万4000台と期初予想に対して8000台上方修正した。「LCV輸出は減るが、タイ国内向けLCV需要が増える」との見通しを織り込んだ。
コロナ渦の影響は予断を許さないとしながらも、「日本で年後半にも2直生産へ」「タイでは一部、7月から2直稼働を始め、少しずつ先が見えてきた」とコメントした。
市場別の今後の動向としては、国内での普通トラック、小型トラックの受注ベースでは前期の80%まで回復し、登録ベースでは第2四半期で75%、第3四半期で80%、最終の第4四半期で90%まで回復すると想定している。
海外のCV部門は、第1四半期を底に後半期90%程度に回復する想定だが、中国や豪州の回復に対して、インドネシア、フィリピン、中南米の回復が遅れると予想する。
タイ国内でのLCV販売は、4月6000台、5月9000台、6月1万5000台と計3万1000台を販売、全需が6万9000台で前年の55%と水準にとどまる中、新型車効果によりいすゞ車が78%で健闘、シェアを前年32%から45%まで上昇させた。
ただタイでは観光産業の落ち込みが大きく、ファイナンスの引き締めもあって、年後半は「地合いは悪く、不透明」と中俣執行役員は指摘した。
なおUDトラックス買収案件については、ボルボ側の海外オペレーションの分離作業がコロナ渦で遅れているものの、「年内にも最終合意にこぎつけ、21年の早い段階で手続きを完了させる」(南常務)との見通しを明らかにした。