若い担い手を掘り起こす「だれでもトラック」、ドライバー不足の解消に貢献か

いすゞ自動車は、国内唯一のオートマチックトランスミッション（ AT ）限定の普通自動車運転免許（ 普通免許 ）で運転できる小型ディーゼルトラック「エルフミオ（ ELF mio ）」を来たる7月30日から発売すると（ 7月24日に ）発表した。

ディーゼルエンジン搭載で総重量3.5トンに収まる商用トラックとしては国内初の製品であり、現行の普通免許で運転できる唯一のエルフとなる。国内目標販売台数は5000台（ 2024年度 ）で、東京地区での価格は365万5000円（ 税別 ）からとリーズナブルさにも注力した。2030年度の販売目標で1万2000台を目指す。

同社がディーゼルエンジンを搭載したエルフミオを発売した理由には、小口配送を担うラストワンマイル物流を筆頭に、その他の多様な自営業者（ 建築・農業・小売・施行サービスなど ）で、AT普通免許を持つ若い担い手を掘り起こすことを視野に据えてのこと。

実のところ同社では既に、ラストワンマイル用途も前提とした車両総重量3.5t未満の小型トラックに「エルフミオEV（ 2024年1月5日に発売開始 ）」を用意していた訳だが、BEVであるゆえに販売価格が嵩むことから広く市場浸透させる難しさもあった。

そこで、より広い様々な事業者に向けて、今回、求められ易い価格に抑えた小型のディーゼルエンジンを搭載した車両もリリースした。

ELFmio（専用色ペールブルー）

車両開発では具体的な使われ方を想定。堅牢性や耐久性にも拘り

開発・販売に向けては、できる限りの最大積載量を確保するべく、通常のエルフに対して200kgの重量削減に取り組んだ。しかし貨物車両ゆえに堅牢性や耐久性はおろそかにできない。

そこで、車両開発にあたって多様な自営事業者に於けるトラック車両としての利用状況や、配送業務等ではエリア集配など具体的な使われ方を精緻に想定。そのなかで、まず車両運用中に於いて重整備を行う間隔を25万〜30万kmとし、その間、消耗部品の交換を重ねてながら走り抜けるために充分以上の骨格設計に知り組んだ。

また動力源としては同社が、小型トラック用のパワーユニットとして主力に据えている3リットルエンジンから、ピックアップトラック（ D-MAX／Mu-Xへ搭載され、日本国内では発登場となる ）用1.9リットルターボ「RZ4E（ 最高出力88kW／最大トルク320Nm ）」とトルクコンバータ式6速ATの組み合わせに変更。

これをベースに貨物運行に適したセッティングに調整。結果、オイル交換サイクル2万kmなどの車両運用上のコスト低減にも向き合ったという。また燃費性能ではクラストップの13.6Km／L（ JC08モード ）を実現、中量車の新たな燃費基準に挑戦・達成した。

排出ガスの後処理システムには日本市場向けに、酸化触媒とディーゼル黒煙低減装置(  DPD )、尿素SCRを搭載。エンジン補機のEGR( 排ガス再循環 )システムとしてホットEGRとクールドEGRの2系統も組み合わせている。

ドライビングポジションの自由度を高め、エンジンの静粛性にも配慮

これに併せて取り組んだテーマがもうひとつある。それは普通免許を持つ一般ドライバーが、トラック車両をどれだけ違和感なく扱えるかにある。

そのためにディーゼルエンジン特有のノック音を抑えるなどの静粛性にも拘り、結果、既存の小型トラックの先入観を打ち破るキャブオーバータイプの乗用オフロード四駆に比肩する静かさを確保したとしている。

なおトラックの運転は難しいというイメージを払拭するべくキャビンの設計にも配慮。小径ステアリングの採用やシートスライドピッチの細分化によりドライビングポジションの自由度を高め、小柄な女性にも配慮した体格を問わない運転し易さに配慮。最小回転半径も4.4mに抑えた。

加えて上級グレード「SEカスタム」には、ホスピタリティ感を印象付けるアームレスト、シートヒーター、ランバーサポート付きシートや電動パーキングブレーキを装備。キャブバリエーションもシングルキャブの他、ダブルキャブ、更にシート後方の室内空間を拡張したスペースキャブも設定した。

販売面・車種ラインナップにも、新しく扱い易いトラック像を訴求

ELFmioストア　イメージ

また販売面では、スマートフォン（ スマホ ）やタブレットなどのデジタル端末で購入できるオンライン販売チャネル「ELFmioストア」を開設。いつでも、どこでも”購入できる、トラックの新しい購入スタイルも提案している。

スペースキャブ

ダブルキャブ

ボディカラーは標準のアークホワイトに加え、エルフミオ専用のペールブルーやダークカーキメタリック（ SEカスタムに設定 ）など、トレンドを取り入れた多彩なカラーバリエーションを用意して多様化するドライバーのニーズにも対応した。

安全面では「誤発進抑制機能」や「プリクラッシュブレーキ（ 直進時 ）」などの先進安全機能を標準装備。また市街地走行の多い使い方に最適な「ブラインドスポットモニター」「プリクラッシュブレーキ（ 右左折時 ）」（ いずれもオプション設定 ）により安全運行に貢献する。

コネクテッド領域では、高度純正整備「PREISM（ プレイズム ）」に対応。これは常時車両コンディションをモニタリングすることで、故障の予兆をとらえて「未然に防ぐ」と共に、万一の故障も「すぐ直す」ことで安定稼動をサポートするサービス。また、プレイズムのスマホアプリを使うことにより車両のコンディションをスマホでチェックすることも可能。車検や点検の期日も事前に通知されるという安心・安全を提供する。

更に自営業者向けに、加入費・年会費無料のサポートサービスであるELFオーナーズコネクトを用意。これには車両モニタリングやサポートサービスを受けられる他、いすゞ販売会社で初回から継続して車検を受けることで保証期間の延長も可能となる。

完成車のラインナップでは、平ボディを筆頭に、エルフミオ専用の軽量ドライバンや電動ダンプを完成車として用意・多様な用途に対応する。

軽量ドライバン

電動ダンプ

以上トラック未経験のドライバーをアルバイト、パートで集めるという観点でも、普通免許で乗ることができ、運転は準中型に比べて簡単、そしてシートのタッチが良く乗り心地も快適というエルフミオ誕生の意義は決して小さくないだろう。加えて同車の投入で、どれだけ収益力を高められるかは、いすゞ国内事業に於いて成長戦略に影響すると見られる。

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＜「エルフミオ」主要モデル諸元＞

型式： 3DF-NHR87AF
仕様： シングルキャブ 平ボディ フラットロー
エンジン型式： RZ4E
排気量： 1,898cc
トランスミッション： 6速AT
全長： 4,690mm
全幅： 1,695mm
全高： 1,960mm
荷台内寸法（長さ/幅/高さ）：3,120mm/1,620mm/380mm
最大積載量 ：1,300kg
車両総重量 ：3435kg
最小回転半径 ：4.4ｍ
乗車定員 ：3人

＜国内目標販売台数＞
5,000台（2024年度）

＜東京地区希望小売価格＞
3,655,000円（税抜き）

＊リース前に先駆けて展開されたティザーサイトURL（7月24日時点）

https://www.isuzu.co.jp/product/elfmio/lp1/

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だれでもトラック「ELF mio」の本田翼さんによる新TVCMも放送開始

なおいすゞは、普通免許で運転できる「エルフミオ」のイメージキャラクターに女優・モデルの本田翼さんを起用。TVCM「だれでもトラックELFmio / 登場」篇、「だれでもトラックELFmio / スマホで簡単」篇（各15秒、30秒）を発売日と同じ7月30日から全国で順次放送する。

新TVCMでは、主人公を演じる本田翼さんが、普通免許で運転できる“だれでもトラック”エルフミオに乗って、スマートに仕事をこなすストーリー。

明るくアクティブなキャラクターの女性ドライバーがトラックを乗りこなすという従来のイメージとは異なる斬新な設定や、フィルムを用いて撮影した叙情的な映像を採用する他、主人公のカッコいい姿に羨望の眼差しを向ける少年の心情を丁寧に描写することで、エルフミオと本田さんの魅力をより引き立たせながら表現した。

新TVCM概要
タイトル
　-「だれでもトラックELFmio / 登場」篇（15秒・30秒）
　- 「だれでもトラックELFmio / スマホで簡単」篇（15秒・30秒）
出演：本田翼
放送開始日：2024年7月30日（火）から順次放送
放送地域：全国

キャスト

本田 翼　TSUBASA HONDA

1992年6月27日生まれ
東京都出身
血液型 O型

MORE（集英社）、SPRING（宝島社）、ar（主婦と生活社）など各ファッション誌で活躍中。話題のドラマ、映画、CMなどにも多数出演。近年は「劇場版 ラジエーションハウス」、「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー／最後の錬成」、TBS系「君の花になる」、テレビ朝日系「6秒間の軌跡～花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱」、フジテレビ系「ブルーモーメント」などに出演。