いすゞ自動車とボルボ・グループは30日、WEB会見を開き、昨年12月に締結した覚書を基にした商用車分野での戦略的提携に関する基本契約を正式に結んだと発表した。ボルボ傘下のUDトラックスの事業取得を含め、広範囲な協業(??ホリステック・アライアンス)を推進、先進技術分野でも補完し合う。このため20年以上の長期契約とし、両者は「パーフェクト・マッチ」の実現に努める。(佃モビリティ総研・間宮潔)
いすゞの片山正則社長は、「この長期的なパートナーシップが、商品・技術・地域での協力のもと、世界の物流業界の進化に貢献し、未来に向けて、お客様と共に新たな価値を創造していくことを確信する」と期待を込めた。
一方、ボルボ・グループのプレジデント兼CEOのマーティン・ルンドステット氏は「このアライアンスによって、それぞれの市場や商品セグメントにおける競争力が増すことに期待する。技術開発投資の成果を共有するだけでなく、相互の企業成長に貢献する」と述べた。
またルンドステット氏は「UDトラックスがいすゞグループの一員となることで、ボルボといすゞをつなぐ重要な役割を担うとともに、UDトラックス自身のさらなる成長につながる」とコメントした。
いすゞは中・小型トラックのリーディングカンパニーとして年間25万台を販売、そのうち25%を日本、18%をアセアンで販売するなどアジア圏が強く、欧州その他地域で弱い。一方、ボルボは大型トラックメーカーのリーディングカンパニーとして、欧米を中心に年間20万台を販売する。
いすゞとボルボはそれぞれの強み、得意とする分野を活かし、相互に補完して、製品・リソースの最適化を図り、ボリュームの拡大を図る。
具体的には、いすゞとUDトラックスがボルボ・グループの技術も活用して、日本及びアジア市場向け大型トラックのプラットフォームを共同開発する。
加えて商用車の自動運転、コネクテッド、電動化などの先進技術分野でも協業、将来を見据えた技術開発を加速させる。
協業開始は来年4、5月頃とし、いすゞはボルボからUDトラックスの事業譲渡を受ける。株式買い取りやボルボへの借入金の返済などを含め2820億円の資金を充てる。
両者は長期にわたり戦略的提携を具現化するため、両者トップ経営層で構成するアライアンスボードを設置しており、その実行部隊として日本とスウェーデンの双方にアライアンスオフィスを設置する計画だ。
いすゞとUDトラックスの日本でのサービス拠点は、合わせて400拠点にのぼり、今後重複拠点の見直しなどが検討される見通しで、物流効率化を後押しするコネクテッド・サービスでの拡大でも協業する。
また両者は製造段階でも共同開発に絡んで、部品調達など購買協業も追求していく構えだ。