いすゞ自動車は12月23日、大型路線バス「エルガ」と中型路線バス「エルガミオ」を改良し、同日より全国一斉に発売すると発表した。
今回の改良では、ドライバー異常時対応システム(Emergency Driving Stop System/以下、EDSS)への自動検知機能の追加と、周囲の照度に応じて自動的にヘッドランプのロービームを点灯/消灯するオートライト機能の追加に加え、バックカメラとモニターを標準装備とするなど、主に安全性の向上が図られた。
[主要改良点]
①EDSSに自動検知機能を追加
2019年に標準装備されたEDSSは、走行中にドライバーが急病などで安全に運転できない状態に陥った場合に、乗客やドライバーが非常ブレーキスイッチを押すことで、減速して車両を停止させるものであったが、今回、ピラーに搭載されたカメラでドライバーの脇見や居眠り、異常をモニターする自動検知式EDSSを採用(国内の路線バス初採用)。
<自動検知式EDSSについて>
・脇見や居眠りを検知:運転席シートのバイブレーターで注意。
・ハンドルに伏せる等、運転姿勢の崩れを検知:
運転席シートのバイブレーターに加え、運転席のEDSSスイッチを点滅させて運転の継続が可能な状況にあるかを確認。その後、ドライバーの異常(※)を判定するとEDSSが自動で作動し、減速して車両を停止させる。その一方、車内の乗客には、音声アナウンスと赤色フラッシャーランプにより、異常時であることを伝達。さらに、車外には、ホーンを鳴らし、ハザードランプとブレーキランプを点滅させて異常事態を知らせる。
※ドライバーの異常:国交省ガイドライン規定の7パターン(突っ伏し・うつむき・仰け反り・えび反り・首のみ横倒れ・横倒れ・横もたれ)をドライバーステータスモニターが検知した場合。なお、マスクやサングラス等で顔の一部が隠れると検知できない場合がある。
②2025年度燃費基準適合
・自動車の省エネルギー化と地球温暖化対策の更なる推進のため策定された、2025年度を目標年度とする新たな重量車(GVW3.5トン超、トラック・バス等)の燃費基準に対応。大型路線バス「エルガ」で2025年度燃費基準値を達成した。
③法規対応
・周囲の照度に応じて、自動的にヘッドランプのロービームを点灯/消灯するオートライト機能を追加し、夕暮れ時や夜間走行時の視認性を向上(オートライト法規:2023年10月から)。
・バックカメラとモニターを標準装備し、車両後退時の事故抑制に貢献(バックカメラモニター法規:2024年5月から)。
④バス車内の抗菌対策・換気性能の向上
・新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた取り組みとして、車内の握り棒や伝い歩き棒など多くの人が直接触れる部分の抗菌化を標準仕様とした。
・新たに一部座席の足元にエアアウトレットグリルを追加するなど、車内外からの排気・吸気能力の向上を図り、換気性能を向上。