国内の小型トラック駆け込み需要などで増収となるも中国ビジネスの不振などで減益
いすゞ自動車が8月2日発表した2020年3月期第1四半期(2019年4~6月)連結決算は、国内における排ガス規制前の小型トラック駆け込み需要やタイでの増販に支えられ増収を維持したものの、インドネシアやトルコでの販売不振さらに中国における一部都市でのピックアップトラック販売規制などによる販売減や為替変動などによる費用増が重なり減益となった。
いすゞの2020年3月期第1四半期連結売上高はグローバル販売台数が減少する中、前年同期比4.3%増の5091億円と増収となった。国内売上高が同4.7%増の1885億円となったほか、海外売上高もタイの増販に支えられ同4%増の3206億円を確保した。
ただし営業利益は同12.2%減の460億円、経常利益は同21.8%減の440億円、当期利益も同28.1%減の274億円と共に減益となった。原価低減活動などで39億円規模の増益を図ったが、鋼材などの原料高で25億円、バーツ高などの為替変動で31億円、また開発費などの費用増加で47億円が減益となった。
企画・財務部門統括の南真介取締役常務執行役員は第1四半期の業績について、「発表はしていないが、社内計画に対して、計画線上にある」とした。また通期予想では「為替の影響がかなり来ると思うが、台数とのイーブンもあり、とりあえず今回は5月発表の通り、据え置いた」と述べた。
詳細は企画・財務部門統括補佐の中俣直人執行役員が説明した。同第1四半期におけるグローバル販売台数は前年同期比5%減の14万9千台にとどまった。このうち国内CV(トラック)販売は、前年同期比15%増の1万9千台としたが、海外CV販売が同13%減の4万9千台と落ち込み、CV合計で同6%減の6万8千台でとなった。
またタイにおけるLCV(ピックアップトラック)ビジネスもタイ国内が好調だったが、中国向けなどLCV輸出が低迷した結果、前年同期比3%減の8万1千台にとどまった。タイ国内は4万1千台(同7%増)、LCV輸出は4万台(同12%)となった。
第2四半期後半は反動減が予想されるため、新型エルフの安全装備と好燃費を訴求していく
国内の普通トラック市場(全需)は第1四半期、2万1千台規模の微増で推移しているが、いすゞ車は厳しい競争環境の中で6千台規模、前年並みのシェア29%を維持した。小型トラック市場は2万5千台で前年に対して10%の伸びを示すなか、いすゞ車は1万1千台規模の増販を行ない、シェアを35.8%から45.4%に引き上げた。
中俣氏は「排ガス規制対応前の駆け込み需要を効果的に取り込めた。第2四半期も引き続き好調さを想定しているが、後半は反動減が予想される。新型エルフの安全装備と燃費の良さを訴求する」と語った。
タイのLCV市場(全需)は前年同期比5%増の12万6千台となったが、モデル末期を迎えたいすゞ車も4万台と市場並みに健闘して32%のシェアを維持した。LCV輸出は同12%減の4万台となった。欧州では規制前の駆け込み需要があって6千台と倍増させたが中国、アジア圏では4千台、3千台とそれぞれ半減させた。
産業用エンジンは「中国での建機需要に不透明感が出ている」ことから、3万台と前年水準に対して1千台減少しているほか、ディーゼルエンジンの生産ボリュームは19万7千台でほぼ前年並みとした。(佃モビリティ総研・間宮潔)