3カ月単体で増収増益/通期予想を上方修正
いすゞ自動車は2月8日、2021年3月期の第3四半期連結決算(4~12月累計)の業績説明をWEB配信したほか、電話会議で記者の質問に答えた。また昨年秋、政府が発表した「2050年までのカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」、12月の経済産業省がまとめた「グリーン成長戦略」に対応して、いすゞが推進するカーボンニュートラルへの取り組みを改めて説明した。(佃モビリティ総研・間宮潔)
2021年3月期第3四半期(累計)の連結売上高は前年同期比13.8%減の1兆3082億円、営業利益は同44.5%減の630億円、当期純利益は同57.8%減の285億円としたが、第3四半期単体での業績はCV(普通トラック、小型トラック)およびLCV(ピックアップトラック)共に市場が回復し、増収増益に転じた。
これを受け、通期の業績予想は前回見通しからそれぞれ上方修正した。連結売上高は1000億円上積む1兆9000億円(前期比8.7%減)、営業利益は200億円上積む900億円(同36%減)、当期利益は130億円上積む320億円(同60.6%減)に修正した。
第3四半期単体のCVグローバル販売は前年同期比5.5%増の6万4600台。うち国内は同4.8%増の1万5800台、海外が同5.7%増の4万8800台と共に増加した。中国が前年の2200台から当期1万600台に大きく回復したが、半面、インドネシアが3200台と半減するなど国地域で市場回復の遅れがあった。
一方、タイ生産のLCVグローバル販売は、前年同期比23.6%増の9万4000台で、タイ国内での新型ピックアップトラックが貢献した。新型モデルを導入した豪州も7800台と3倍近い伸びとなったが、アジア、中南米、中近東で前年割れした。
通期のグローバル販売台数は、CV・LCV合計で前期の60万台実績に対して56万台(前期比6.5%減)とした。前回発表の52万2000台に対して3万8000台の上積みとなる。
半導体不足の生産への影響については、「今までのところ部品供給は繋がっている。来期前半までは良いが、それから先をウォッチしている」と中俣直人執行役員(企画・財務部門統括代行)グループCFOは述べた。
またコロナの影響については、「国によって濃淡がある。来期、感染拡大の第4波、第5波が考えられ、事業計画策定上、予断を許さない」とコメントした。
カーボンニュートラルの取り組みとして、いすゞ独自にEV小型トラックを開発、2022年度に量産モデルを投入する計画だ。
一方、大型車の電動化は積載効率が不利になることから本田技術研究所と組んで、FCV大型トラックの共同研究をスタート、22年度にもモニターを開始する予定だ。
南真介取締役常務執行役員(経営業務部門、企画財務部門統括)は、「FCV量産化にはまだ時間がかかる」とし、商品面だけでなく、IT事業者と組んだ物流効率化にも注力する。
先ごろ、カミンズから中型トラック用6気筒ディーゼルエンジン供給を受ける契約を結んだことについて、南氏は「互いにディーゼルエンジンメーカーとして同じ悩みもっている。いすゞは4気筒エンジン開発に集中、棲み分けていく」との考えを示した。