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2024年2月20日【カーリース】

IDOMら、クルマの未来残価を自動予測するAIを共同開発

坂上 賢治

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AIを介した高精度の残価予測で、顧客の費用負担軽減を目指す

 

IDOM傘下で定額リース「ノレル( NOREL )」を手掛けるIDOM CaaS Technology( ICT/本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山畑 直樹 )は2月20日、AIの技術開発を担うセカンドサイトアナリティカ( SX/本社:東京都千代田区、代表取締役社長:高山 博和 )とクルマのデータとAIテクノロジーを組み合わせた未来残価予測モデルを開発した。

 

この未来残価予測モデルでは、クルマごとの車両生涯価値( CarLTV/カーライフタイムバリュー )の算出で、両社が最も重要としている残価を6年に亘って算定。その結果を元に自社製品に換えて様々な新価値を提供するという。

 

 

そもそも「残価」こと「残存価値」は、ある特定の車両について、一定の期間が経過したタイミングでの売却価格のを指す。

 

これを踏まえ、多くのカーリースや残価設定ローンは、あらかじめ契約年数が満了した時のクルマの残価を予測し、車両本体価格から残価を差し引いた金額を月額料金として支払う仕組みになっている。

 

AIの算出技術を定額リースのノレルとノレルGOに活かしていく構え

 

例えば新車価格で300万円の車両を3年間のカーリースを契約する場合、3年後に180万円の価格がつくと予測した際は、新車価格の300万円から残価の180万円を差し引いて、120万円を月々の料金に分けて支払うことになる。

 

 

つまり、残価を高く設定するほど顧客への提供料金は安価にすることが可能だ(契約終了時に実際の査定額が設定残価を下回った場合は、差額分がユーザー負担となる場合もある)。

 

そうしたなかで両社は、ICTが提供するサービス「ノレル」・「ノレルGO( IDOMが審査無し手続きを謳う定額リース )」の顧客へ適正価格で定額リースを行うことを目的に開発した。

 

これまでICTでは、提供する車両の未来残価の予測を一台一台人の手で行っていたが、今回開発したAIの未来残価予測モデルを活用することで、業務を効率化するだけでなく、より正確な未来予測を実現したという。

 

 

開発にあたり、ICTはガリバーの査定のノウハウと膨大なデータ提供を、SXは先進的なAI開発技術をそれぞれ提供し、両社の専門知識を結集したAIモデルになったとしている。

 

サービス提供時料金を抑制することが可能になったと謳う

 

このAIモデルは、「車種名」「年式」「走行距離」などの基本情報だけでなく、「色」「特定装備の有無」「今後の想定走行距離」など、現在、一台あたり95に及ぶ特定車両のデータを入力することで将来残価を予測する。

 

全体の80%以上を占める代表車種40車種と、それでカバーできない範囲を埋めるためのボディタイプ(SUV・軽自動車など)毎のモデル8種の併せて48のモデルを構築。これらは現在価値予測モデルと将来予測モデルがそれぞれあるため、全部で数十のモデルを運用している。その結果、車種やモデルごとに高精度な残価予測が可能となった話している。

 

一般的にリースやレンタカーは、事業者から見るとクルマを買う・運用する・売るの3つのフェーズに分かれる。こうした際の提供金額は、車両の仕入れ時の金額と売却時の金額の差額を上回るように設定することで収益を得ているが、通常、売却時の金額は車両を運用しているタイミングでは正確に判らないことから、車両運用の収益が売却時の差額を下回らないように提供料金を高めに設定することが多い。

 

 

しかし、売却時の車両の価値が高いことが予め予測され、高い残価を設定することができれば、顧客が支払う金額を抑えることができ、これは提供者側・利用者様側双方にとってメリットになり得る。両社は、この先進的な技術により、正確な将来残価を根拠にした柔軟なプライシングが実現し。結果、顧客に対するサービス提供時料金を抑制することが可能となり、より良いカーライフを提供できる。

 

以上を踏まえ両社は今後、クルマの売却タイミングや顧客が保有しているクルマの残価などをタイムリーに管理できる機能の搭載を進め、よりスマートなカーライフを提供していく。また、ガソリン車やハイブリッド車だけではなく、今後普及するEV車の将来残価予測にも対応できるよう検証を進めていく構えだ。

 

両社の会社概要
商号:株式会社IDOM CaaS Technology(イドム カース テクノロジー)
設立:2020年4月
代表者:代表取締役社長 山畑 直樹
事業内容:CaaS事業(カーリース事業、レンタカー事業、カーシェアリング事業)
所在地:東京都千代田区大手町2-7-1 TOKIWAブリッジ 7階

 

商号:セカンドサイトアナリティカ株式会社
設立 :2016年6月
代表者:代表取締役社長 高山 博和
事業内容:アナリティクスとテクノロジーを活用したサービスを提供する専門企業
所在地:東京都千代田区神田西福田町3番地 RBM神田ビル 6階

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。