自動車部品メーカーの市光工業は、「人とくるまのテクノロジー展2019横浜(5月22日~5月24日・パシフィコ横浜)」に出展し、自動運転車の動きを周囲に伝える光の新技術「コミュニケーション ライティング」を採用した実物大モックアップを展示。同技術が実際にどのように見えるのかを来場者にアピールした。
大型グリルに光の文字やサインを表示
コミュニケーション ライティングは、従来ドライバーが他車両や歩行者へ行っているアイコンタクトやジェスチャーといった自車の動きに関する意思伝達が、自動運転中にはドライバーが周囲を見ていないケースも多いため「行われにくい」ことを前提に開発されたもの。
自動運転車が駐車や発進、停車や右左折などをする際はもちろん、歩行者や対向車に道を譲るといった意思表示を、様々な光やサインがドライバーに変わり周囲に伝えるためのシステムだ。
同社では、2018年の「人とくるまのテクノロジー展」で当技術を初披露。
当時は、スケールダウンモデルを使い車両全体でどのような光を出すかのイメージをアピールしたが、今回は特に車両フロントまわりの実物大モックアップを用意。システムをよりリアルに感じられる演出を行った。
展示されたのは、EVの自動運転車を想定し、大型フロントグリルに400個のフルカラーLEDを搭載したモックアップ。このグリルに様々な光の文字やサインを出すことで、前述の通り、車両の動きを自動的に周囲のドライバーや歩行者などに伝える試みだ。
フロントグリルを使用する理由を、同社担当者は、
「EVの場合、従来のガソリン車と比べ冷却のための走行風をフロントグリルにさほど多く取り入れる必要がなく、また、車両前方の周囲へ意思伝達をしやすい位置にある」
ことを挙げている。
また、モックアップでは、ヘッドライトは高性能化により極めて小型化され、前方のホワイトLEDが光るポジションランプの方が車両の存在を周囲に伝えるためにより多くの面積を取った仕様となっている。
加えて、フロントボンネット下の左右には、欧米で準備中のADS (Automated Driving System)ライティングの規格に合わせ、自動運転中を示すブルーグリーンのライトも装備している。
会場のデモでは、ドライバーなど搭乗者が車両を降りた際の見送り合図や
自動駐車中を示す「P」の文字
道を譲った歩行者に対し、歩行者の死角から自転車など他車両が近づいているため道路横断を中止することを知らせる「✕」マーク
など、フロントグリルに様々な光の文字やサインを表示。
また、大型スクリーンに映し出したデモ動画では、右左折時や停車時などでは、フロントグリルだけではなく、路面にも光を投影し、より周囲に注意喚起を促す活用例も紹介した。