新たな開発手法「ホンダ アーキテクチャー」による最初のモデルを来年投入
ホンダは5月8日、東京港区の青山本社で2009年度・第4四半期の決算説明会を開催した。それによると2019年3月期連結決算は、二輪、四輪とも過去最高の販売台数を達成し、売上高は15兆8886億円と前期比3・4%増となった。
しかし為替や四輪体制変更の影響などから、営業利益は7263億円と同12・9%減、当期利益も前期の米国での減税効果が無くなった分、6103億円と同42・4%の大幅減益となっている。
前年2018年度決算では、二輪車が初めて2000万台越えになるなど過去最高の売上高となったが、2019年度は四輪車の在庫調整を実施することなどから減収を見込む。
これを踏まえ2020年3月期は、売上高15兆7000億円、営業利益7700億円、当期利益6650億円とした。なお四輪車の小売り台数は、先の通りで前期比増を目指すものの卸台数を調整する考えから減収予想になるとしている。
また同説明会に併せて同社・八郷隆弘社長が四輪事業の体質強化および電動化の方向性についての記者会見を行い、このなかで2025年までに量産車の開発工数を30%削減し、その工数を先進領域の研究・開発に振り向けることなどを明らかにした。
具体的にはグローバルモデルの派生車種の大幅削減や新たな開発手法「ホンダ アーキテクチャー」の推進などの事業方針を示した。
2019年度は減収を予想するも来期に向けて体質強化とコストダウンを進めて増益を目指す
ホンダは地域ニーズにあわせてモデル数やグレード、オプション装備などの派生車の数を増やしてきた結果、生産効率が落ち、四輪事業の収益性が大きく低下していた。このため、4月からスタートした四輪事業の新たな運営体制の下で、海外6地域の市場ニーズや環境規制が近い地域同士で束ね、商品ラインアップの見直しと共有化を進める考えを打ち出す。
その手法は、2025年までにグローバルモデルは派生車を現在の3分の1に削減。地域専用モデルをより強いモデルに集約していくもの。
車両開発についても部品共有化や効率化を推進した開発手法「ホンダ アーキテクチャ」を採用した適用モデルを来年投入するグローバルモデルを皮切りに順次、拡大していく。これにより2025年までに量産車の開発工数を30%削減し、開発余力をCASE(つながる、自動運転、共有、電動化)などの先進領域に振り向ける。
また生産領域については、先に発表した英国、トルコ工場での生産停止を踏まえ、中国を除くグローバルでの稼働率を2018年の90%から2022年までにフル稼働に引き上げる。
HVを2モーター方式のi‐MMDに統一し、小型版i‐MMDを新型フィットから採用
「燃費向上」「ゼロエミッション」という2つが求められている電動化の方向では、まずCAFE(企業平均燃費)の観点から「ハイブリッドを中心に進めていく」考えを示した。
このためHV(ハイブリッド車)の方式を2モーターハイブリッド「i-MMD」に統一し、同タイプの小型版を開発。今年の東京モーターショーで世界初公開予定の新型フィットから採用開始することを明らかにした。なおこうした量産化施策によって、i-MMDのコストも2022年までに2018年比で25%の削減を見込んでいる。
一方、ゼロエミッションについては、バッテリーEV(電気自動車)を主体に展開する。展開については地域ごとに、北米では米GM(ゼネラルモーターズ)との共同開発コンポーネントを、中国では合弁会社のリソースなどを活用する考えだ。八郷社長は会見の席上で「FCV(燃料電池車)も引き続き開発を進めるが、インフラの関係からゼロエミッションの主体はバッテリーEVになるだろう」と述べていた。(佃モビリティ総研・松下 次男)