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2019年5月8日【エネルギー】

ホンダ19年3月期決算、国際展開中の派生車削減へ動く

松下次男

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新たな開発手法「ホンダ アーキテクチャー」による最初のモデルを来年投入

 

 ホンダは5月8日、東京港区の青山本社で2009年度・第4四半期の決算説明会を開催した。それによると2019年3月期連結決算は、二輪、四輪とも過去最高の販売台数を達成し、売上高は15兆8886億円と前期比3・4%増となった。

 

 

しかし為替や四輪体制変更の影響などから、営業利益は7263億円と同12・9%減、当期利益も前期の米国での減税効果が無くなった分、6103億円と同42・4%の大幅減益となっている。

 

前年2018年度決算では、二輪車が初めて2000万台越えになるなど過去最高の売上高となったが、2019年度は四輪車の在庫調整を実施することなどから減収を見込む。

 

 これを踏まえ2020年3月期は、売上高15兆7000億円、営業利益7700億円、当期利益6650億円とした。なお四輪車の小売り台数は、先の通りで前期比増を目指すものの卸台数を調整する考えから減収予想になるとしている。

 

 

 また同説明会に併せて同社・八郷隆弘社長が四輪事業の体質強化および電動化の方向性についての記者会見を行い、このなかで2025年までに量産車の開発工数を30%削減し、その工数を先進領域の研究・開発に振り向けることなどを明らかにした。

 

具体的にはグローバルモデルの派生車種の大幅削減や新たな開発手法「ホンダ アーキテクチャー」の推進などの事業方針を示した。

 

2019年度は減収を予想するも来期に向けて体質強化とコストダウンを進めて増益を目指す

 

 ホンダは地域ニーズにあわせてモデル数やグレード、オプション装備などの派生車の数を増やしてきた結果、生産効率が落ち、四輪事業の収益性が大きく低下していた。このため、4月からスタートした四輪事業の新たな運営体制の下で、海外6地域の市場ニーズや環境規制が近い地域同士で束ね、商品ラインアップの見直しと共有化を進める考えを打ち出す。

 

その手法は、2025年までにグローバルモデルは派生車を現在の3分の1に削減。地域専用モデルをより強いモデルに集約していくもの。

 

 

 車両開発についても部品共有化や効率化を推進した開発手法「ホンダ アーキテクチャ」を採用した適用モデルを来年投入するグローバルモデルを皮切りに順次、拡大していく。これにより2025年までに量産車の開発工数を30%削減し、開発余力をCASE(つながる、自動運転、共有、電動化)などの先進領域に振り向ける。

 

 また生産領域については、先に発表した英国、トルコ工場での生産停止を踏まえ、中国を除くグローバルでの稼働率を2018年の90%から2022年までにフル稼働に引き上げる。

 

HVを2モーター方式のi‐MMDに統一し、小型版i‐MMDを新型フィットから採用

 

 「燃費向上」「ゼロエミッション」という2つが求められている電動化の方向では、まずCAFE(企業平均燃費)の観点から「ハイブリッドを中心に進めていく」考えを示した。

 

 

このためHV(ハイブリッド車)の方式を2モーターハイブリッド「i-MMD」に統一し、同タイプの小型版を開発。今年の東京モーターショーで世界初公開予定の新型フィットから採用開始することを明らかにした。なおこうした量産化施策によって、i-MMDのコストも2022年までに2018年比で25%の削減を見込んでいる。

 

 一方、ゼロエミッションについては、バッテリーEV(電気自動車)を主体に展開する。展開については地域ごとに、北米では米GM(ゼネラルモーターズ)との共同開発コンポーネントを、中国では合弁会社のリソースなどを活用する考えだ。八郷社長は会見の席上で「FCV(燃料電池車)も引き続き開発を進めるが、インフラの関係からゼロエミッションの主体はバッテリーEVになるだろう」と述べていた。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 


 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。