非常用FC定置電源
本田技研工業は3月6日、米国現地法人アメリカン・ホンダモーターの敷地内に燃料電池( FC )定置電源を設置。米国現地時間3月3日から同社のデータセンター向けの非常用電源として実証運用を開始したと発表した。
この実用性検証の取り組みは、同社にとって将来の商用化に向けた第一歩になると述べている。使用を開始したFC定置電源は、燃料電池自動車(FCEV)「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」のFCシステムを再利用したもの。
4基のFCシステムから構成される約250kWのユニットを2台接続する事で、合計約500kWの出力を確保した。またユニットを追加接続する事で、更なる高出力化が可能としており、その際は、各ユニットの配列を上から見てL字形やZ字形など、設置環境に合わせた形にしていく可能性があるとしている。
同社がこうした取り組みを始めた背景には、近年、クラウドやビッグデータ活用の広がりによってデータセンターの必要電力が急伸し、BCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)の観点でも非常用電源へのニーズが高まっているため。
データセンターは災害時でも安定した電力供給が求められており、従来ディーゼル発電が主流の非常用定置電源を、クリーンで高品質な電力を供給できるFCシステムに置き換える需要は、今後急速に高まることが予想されるという。
そこで同社は同需要の高まりを予想し、既に30年以上に亘って水素技術やFCEVの研究・開発のノウハウ蓄積に取り組んできた。
今後はこの実績や知見の蓄積を生かし、クリーンで静かな非常用電源から発電領域に於けるFCシステムの適用を提案していきたい意向だ。
その中で今回の実証運用は、FC定置電源の商用化に向けた第一歩となる。また併せて同社では、国際環境下の自社工場等にも適用していく事で、自社で排出した温室効果ガスの低減も図っていく構えだ。
実証運用で使用する非常用FC定置電源の主要諸元は以下の通り