本田技研工業(ホンダ)の航空機事業子会社であるホンダエアクラフトカンパニー(Honda Aircraft Company/以下、HACI)は10月17日(本社のある米国ノースカロライナ州現地時間:16日)、世界最大のビジネス航空機ショー“2023 ビジネス・アビエーション・コンベンション・アンド・エキシビション(2023 NBAA-BACE/※1)”に於いて、新型小型ビジネスジェット機の名称を「HondaJet Echelon(ホンダジェット・エシュロン)」としたことを発表した。
NBAA-BACEの会場には、「ホンダジェット・エシュロン」のモックアップモデルと販売中の「ホンダジェット・エリートⅡ(HondaJet EliteⅡ)」の2モデルが初めて揃って展示。エシュロンは、今年6月に製品化と主要サプライヤーとの契約締結が発表(6月13日)。2028年の型式証明取得に向け、2026年の初飛行を目指し、今後も開発が進められるとのこと。
「エシュロン(Echelon)」の名前は、航空機の高効率な空力性能を実現する飛行パターンとして、燃費や二酸化炭素排出量削減などに効果があると言われる“梯形編隊飛行”のほか、フランス語で梯子の“段”の意味もあり、現在ではプレミアムカテゴリーを指す言葉としても使われていることから、ホンダジェットブランドの最上級モデルという意味合いが込められていると云う。
飛行イメージ。
発表に際して、同社の山﨑社長は、「ホンダジェット・エシュロンは、従来の小型ビジネスジェット機での移動の常識を覆し、航空業界に新たな価値を創造します。これまでに培ってきたホンダ独自の先進技術のノウハウを生かし、時間や移動距離といった制約から人を解放し、持続可能な社会の実現と人々の生活の可能性を拡げる喜びを提供していきます。ホンダの夢見る“空のモビリティ”の実現に向けて一歩前進し、次なるステージへと進みます」とコメントしている。
なお、今回の出展にあたり、HACIは、NBAA-BACEをより環境に配慮したイベントとすることを目指す、「2023 NBAA-BACE Sustainability Pledge(サステナビリティ誓約書)」に参加。出展ブースでの廃棄物や使用エネルギーの削減などに努めることに加え、ショーの会場まで機体をフライト輸送する際に、“SAFc(Sustainable Aviation Fuel Book and Claim)プログラム”を活用してSAFを導入するなど、航空業界のカーボンニュートラルへの取り組みも進めていると云う。
※1:10月17~19日まで米国ネバダ州ラスベガスで開催。
[エシュロンについて]
1.主な特徴
・HACI独自の技術である主翼上面エンジン配置や自然層流翼型・ノーズ、コンポジット胴体がさらに進化し、乗員・乗客合わせて最大11名が搭乗可能。
・競合のライトジェット機(※2)と比較して20%、上位カテゴリーの中型ジェット機(※3)に対して40%(※4)以上も燃費向上。ライトジェット機として世界で初めてノンストップでアメリカ大陸横断を可能としている。
・客室は、長距離飛行にも適した広いキャビン空間と優れた静粛性を実現。
・以上、あらゆる面に於いて、移動効率を向上、より上位の機体カテゴリーと同等レベルの飛行体験を提供する。
<仕様>
– エンジン:Williams FJ44-4C
– アビオニクス:Garmin G3000
– 最大定員:乗員1名+乗客10名(または乗員2名+乗客9名)
– 航続距離(NBAA IFR Range, 1乗員+4乗客/*):2,625ノーティカルマイル
– 最大巡航速度(*):450ノット
– 最大運用高度(*):47,000フィート
*目標性能。
※2:最大離陸重量が12,500ポンド以上、20,000ポンド以下の双発エンジンを搭載した機体。HondaJet Elite II(ベリーライトジェット)の一つ上のカテゴリー。
※3:最大離陸重量が20,000ポンド以上、35,000ポンド以下の双発エンジンを搭載した機体。
※4:アメリカ大陸横断(ニューヨーク ― ロサンゼルス間)の飛行距離で比較した場合。
2.製品化に向けた計画
・2021年10月12日:“2021 NBAA-BACE”にて「HondaJet 2600 Concept」を参考展示。
・2023年6月13日:製品化を決定。
・同年10月16日:“2023 NBAA-BACE”にて名称「HondaJet Echelon」を発表。
・2024年半ば(予定):初号機製造を開始。
・2026年(予定):初テスト飛行。
・2028年(予定):型式証明取得。
*日付は米国現地時間表記。
[HACI概要]
– 会社名:Honda Aircraft Company,LLC(ホンダ エアクラフト カンパニー)
– 設立:2006年8月
– 出資形態:American Honda Motor Co., Inc. 100%出資
– 代表者:取締役社長 山﨑 英人
– 所在地:米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市